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零「Delete」ジャケ写

Delete

THE RAMPAGE・川村壱馬が歪んだ社会に投じる、剥き出しのヒップホップ

文 / 小林千絵

近年のTHE RAMPAGEのライブで自作のラップを披露するなど、ラッパーとしての才能も開花させ続けてきたTHE RAMPAGEのボーカリスト・川村壱馬がソロデビュー。「川村“壱”馬が、アーティストとして“零”から再出発する」という思いから、彼は自身を“零(レイ)”と名付けて活動をスタートさせた。

「自分をさらけ出し、リアルを吐き出す」というラッパーの姿に強く惹かれ、零は自ら作詞を手がけている。THE RAMPAGEの一員としてバラエティ豊かな楽曲を発表し、多彩な表現を見せてきた地位や覚悟があるからこそ、ソロでは自身の思いを自身の言葉で発したい。そんな強い気持ちを持ってリリースしたデビューシングル「Delete」で歌っているのは、「お前らも生きる未来『良くしたい』とは 思わないもんか?」という問いかけであり、その裏にあるのは強いメッセージだ。「無関心さこそ自分の首を絞める」「Don’t ever give it up 何故目を背ける? 自分が良けりゃ良い? 自分は関係ない?」と、歪んだ社会やそれに甘んじる人類に対しての強い憤りを巧みなラップで畳みかけていく。

メッセージが込められているのはリリックだけではない。「王道なJ-POPの構成から逸脱したい」という思いから、「Delete」の構成はいわゆるAメロ、Bメロ、サビと流れるJ-POPの王道パターンから逸脱。ダークなトラップを軸に、スリリングなラップを畳みかけていくことで、零はその憤りを表現した。決してキャッチーとは言えない構成であるにもかかわらず、楽曲を世に広く知らしめるきっかけとなったのがTikTokだ。2人組クリエイターのローカルカンピオーネが「パワーダンス」と銘打ち、まさに力強い振付を考案。「Money」(金)、「Fame」(名声)、「Power」(力)といった単語を羅列する冒頭のリリックと、力強くもキャッチーな振付がリンクし、楽曲の持つ力をさらに増幅させている。

大のアニメ&ゲーム好きとしても知られる川村がソロアーティストとして音楽を発信するにあたり、アニメソングなどを多く発表しているバンダイナムコミュージックライブの音楽レーベルMoooD Recordsを選んでいることも、そのアイデンティティを感じさせる。リアルなヒップホップで社会を変えたいと意気込む零は、THE RAMPAGEと、その影響力、アニメ好き……など、自身の武器をフル装備して、この先も世の中へ一石を投じていくだろう。

零「Delete」ミュージックビデオ

零「Delete」
2025年1月29日(水)配信開始 / MoooD Records
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作詞:L.E.I.
作曲:Yungaskody、SKYBEATZ

(レイ)

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE ・川村壱馬のソロアーティスト名義。2014年に「VOCAL BATTLE AUDITION 4」に合格し、同年にTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカルメンバーとなる。2017年にTHE RAMPAGEとして1stシングル「Lightning」でメジャーデビューを果たした。俳優としては、2018年にスタートした「PRINCE OF LEGEND」シリーズでデビュー。2019年に「HiGH&LOW THE WORST」のドラマと映画で、物語の中心を担う花岡楓士雄を演じた。2024年10月にソロアーティスト・零名義で、バンダイナムコミュージックライブの音楽レーベル・MoooD Recordsからソロデビューすることを発表。2025年1月に零としての1stシングル「Delete / Enter」をリリースした。