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カラノア「風邪っぴき」ジャケ写

カラノア 風邪っぴき

平坦ではない“生活”を突き破るカタルシス

文 / 天野史彬

2020年11月に結成され、渋谷や下北沢を中心に活動を開始した4ピースバンド・カラノア。「貴方の生活を彩るロックバンド」というバンドコンセプトを掲げているが、その音楽を聴けば、カラノアにとって「生活」とは平坦で滑らかなものではなく、むしろとても凸凹しているもので、それはときにまばゆく光輝き、それはときに目を背けたくなるくらいに扱いづらいものなのだということがわかる。そんな「生活」の複雑さをカラノアは音楽に投影している。

「風邪っぴき」は5曲入りEP「BOMB」からのリード曲となる1曲。荒々しくノイジーなギターやドラムンベース並みの性急なビートが織り成す、混乱し、疲弊し、もはや自暴自棄寸前な人間の脳内を覗くような、鋭利でカオティックなサウンド。そんなカオスを突き破るように現れる伸びやかで開放感のあるサビには、散らかって空気も淀んだ部屋のカーテンと窓を一気に開けて、太陽の光と新鮮な空気を目一杯吸い込む瞬間のようなカタルシスがある。出口はない。解決はない。でも行くしかない。ちくしょうが。そんな精神状態が見事に捉えられた3分弱。嘘くさい希望では治らないし、治りたくもない人に向けられた音楽。「僕の傷跡で、僕の苦しさで / あなたの痛みを癒してあげるよ」と歌われる歌詞は、誰かの弱さや悲しさが、ほかの誰かを癒すことがあるのだと伝えているようである。

カラノア「風邪っぴき」
2024年7月17日(水)配信開始 / SKID ZERO
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作詞:雄大
作曲:コウタ

カラノア(カラノア)

カラノア

2020年11月に結成されたロックバンド。メンバーは雄大(Vo, G)、虹太(G, ,Cho)、樹(B)、かずき(Dr)の4人。東京・渋谷や下北沢を中心に活動している。2022年11月に初音源となるシングル「ナイト」を配信リリースし、初の自主企画ライブを開催。翌2023年8月には「MONSTER baSH 2023 オーディション」のグランプリを獲得した。同年11月に東京・shibuya eggmanで初のワンマンライブを開催。2024年3月にリリースしたシングル「ねむ」はフジテレビ系「奇跡体験!アンビリバボー」のエンディングテーマに使用された。7月17日に新作EP「BOMB」をリリース。7月26日にはshibuya eggmanにてHalf time Oldとthe quiet roomをゲストに迎えた自主企画ライブを行う。