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Genesis Girl「GOLGOTHA」ジャケ写

Genesis Girl GOLGOTHA

ツェッペリン+X JAPAN? 伝統の様式美を詰め込んだ全部乗せメタルチューン

文 / ナカニシキュウ

Genesis Girl「GOLGOTHA」は、先日紹介した「MORE」に続く6週連続配信リリース第4弾にあたる挑戦的かつ野心的な1曲だ。神秘的なムードの静謐な冒頭パートと、激しくシンフォニックな後半パートからなるダイナミックな楽曲構成が取られており、メタル音楽特有の喜びをこれでもかと詰め込んだ“全部乗せ”ナンバーに仕上がっている。

このような組曲的な展開はハードロック / ヘヴィメタル界における定番のひとつで、壮大な世界観をトゥーマッチに表現するにはうってつけの形式。イエス・キリストが磔になった丘の名を冠する本楽曲にはまさにシンデレラフィットする手法と言えるだろう。

一聴してわかるとおり、冒頭パートではLed Zeppelin「Stairway to Heaven」を大胆にオマージュ。そのハーモニー構造とメロディラインにハードロック好きが思わずニヤリとすることは間違いなしで、寂しげに爪弾かれるアコースティックギターと抒情的なメロトロンが耳を引く──のも束の間、一転して荒れ狂うストリングスとともに高速倍テンビートとメロディアスなツインリードが炸裂するという疾風怒涛の展開を見せる。そのダイナミズムの演出はさながらX JAPAN「紅」のようでもあり、ここで「ゴルゴタだー!」などの絶叫が挟まれないことを不思議に感じるリスナーも少なくないかもしれない。また、Bメロに相当するパートでは8分の6拍子を2拍3連ライクなアプローチで自然に織り交ぜるというテクニカルなプログレ精神も楽しむことができる。

曲が始まってからサビが聴けるまでに2分以上を要するという時代に逆行するような確信犯的構成も含め、昨今の音楽シーンにおいてめっきり耳目に触れる機会の減った「様式美」という単語を思い出させてくれる1曲だ。それだけの信念と美学に満ち満ちた、極めて意欲的な楽曲と言うことができる。2026年の全米進出を視野に入れているという彼女たちならではのスケール感とフロンティア精神の片鱗を、本楽曲を通じてぜひ感じ取ってほしい。

Genesis Girl「GOLGOTHA」
2025年2月26日(水)配信開始 / I.Y.O
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作詞:北野ダリ、油布賢一 a.k.a KENNY
作曲・編曲:油布賢一 a.k.a KENNY

Genesis Girl(ジェネシスガール)

Genesis Girl

オーケストラ×ラウドロックを基調とした楽曲を届ける“サイバーメタルアイドル”。メンバーはMei、Nana、Anji、Yu-hi、Renの5名。アイドルの枠を超えた本格メタルサウンドが注目を浴び、配信シングルは15作連続で「iTunesメタルチャート」1位を獲得している。2024年4月に初のアルバム「BABEL」をリリース。2025年2月5日より6週連続配信を行っており、2月19日にEARTHSHAKERが1984年にリリースした1stシングルの表題曲のカバー「MORE」を発表。そして26日に新曲「GOLGOTHA」をリリースした。3月20日に東京・SHIBUYA REXにて生バンドによるワンマンライブ「Mephisto」を開催する。ライブのチケットはlivepocketにて販売中。