コミックナタリー PowerPush - 映画「Z~ゼット~」

相原コージが自らゾンビになるほど入れ込んだ 描き下ろしマンガの先行公開も

ロメロ原理主義者も納得の内容

相原コージ

──先ほどの凛子の話でもありましたが、映画から原作へのフィードバックもありそうでしょうか。

実は映画の中で原作の割と重要な設定が明らかになってるんです。

──原作で語られていない部分で。

はい。そのあたりのことを8月に発売される映画のDVD-BOXの特典用に短編マンガとして描き下ろしてます。そういう点でいうと影響は受けてるんじゃないかな。あと原作は基本的にオムニバス方式で描いてるんですが、ちょっと長めの話を入れてみてもいいかなと思ったりもしましたね。

──では最後に、ゾンビ好きの読者へのメッセージをお願いします。

そうですね、映画はもちろんマンガもそうなんですが、うるさいゾンビ好きの目に適う作品になっていると思います。僕自身もそういう毛があるんですが、「ゾンビは走るな」みたいなことを唱えるいわゆるロメロ原理主義者の方たちが見ても納得できる内容ですよ。

映画とリンクした3つのエピソードも

映画「Z~ゼット~」DVD-BOX

映画「Z~ゼット~」の世界は本編に加え、同時期に制作された3つのドラマから重層的に構築されている。映画を別視点から描く「狂気と天使」「友情と悪夢」、本編の後日譚「まだ見ぬ夜明け」。このエピソードと本編の計4作品を収めたDVD-BOXが、映画の公開から時を置かずして8月6日にリリースされる。

さらにBOXの特典ブックレットには、相原コージの描き下ろしエピソード「名前」を収録。ここでは「狂気と天使」「友情と悪夢」「まだ見ぬ夜明け」のエピソードを紐解くとともに、「名前」の冒頭1ページを先行公開する。

「Z~ゼット~狂気と天使」

狂気と天使あらすじ

ひきこもりの青年・古守にとって、唯一優しい笑顔を向けてくれた看護師の陽菜が、“Z”と呼ばれるゾンビのような存在へ変わり果ててしまう。

それでも妄信的に愛を捧げる古守だったが、生前の陽菜が医師と不倫関係にあったことを知り……。

「Z~ゼット~友情と悪夢」

友情と悪夢あらすじ

中学生のカッチンとムッツーは、侵入した廃墟でZと遭遇してしまう。病院へ逃げ込んだ2人は、先立って籠城していた大人と行動をともにすることに。

閉塞感が漂う中、性への好奇心につき動かされた彼らは、院内の探検に繰り出す。

「Z~ゼット~まだ見ぬ夜明け」

まだ見ぬ夜明けあらすじ

バンデミックから3年が経過し、政府から安全宣言が発せられた世界。当時中学生だったカッチンは、Zを駆除する「Z特別処理班」の一員となっていた。彼はある思いに掻き立てられ、3年前と現在の映像を繋げたムービーを作成する。

相原コージ描き下ろし「名前」の冒頭1ページを先行公開

ブックレットに収録されるエピソード「名前」は、全6ページの短編。
原作ではこれまで明かされてこなかった、ある設定が明らかに。

映画「Z~ゼット~果てなき希望」

7月26日(土)より、シネマート六本木、シネマート新宿ほか全国順次公開

映画「Z~ゼット~果てなき希望」

女子高生のあかりは幼なじみの親友・恵に失恋の悩みを打ち明けていた。他愛の無い会話に興じる2人の日常が一変する──。釣り人に突然襲いかかった男が2人にも襲い掛かって来たのだ。絶体絶命の2人を救ったのは1人のアイパッチの少女。少女はナギナタを振りかざし、Zと呼ばれる生ける屍たちを斬り倒した。3人は妊娠中のあかりの姉・香澄と合流し、市の総合病院へと向かう。病院はZたちに占拠されたかに思えたが、7階に少数の人間が立て籠もっていた。生き延びていたのはたった6人。襲いくるZたち、非日常下での異常な精神状態、香澄の死を賭した出産、そしてZ出現の謎──。果たして彼等は無事、生き延びることができるのか──!?

  • 出演:川本まゆ、木嶋のりこ、田中美晴、佐藤永典
  • 監督:鶴田法男
  • 脚本:酒巻浩史・鶴田法男
  • 製作:香月淑晴
  • エグゼクティブプロデューサー:櫻井由紀
  • 企画:小野誠一
  • プロデューサー:鈴木伸明・西前俊典
  • 制作プロダクション:Takujiクリエイト
  • 製作:エスピーオー
  • 原作:相原コージ「Z~ゼット~」(日本文芸社「別冊漫画ゴラク」連載)
「Z~ゼット~」2巻 / 2014年7月19日発売 / 637円 / 日本文芸社

「コージ苑」「サルでも描けるまんが教室」「ムジナ」など、日本ギャグマンガ界の重鎮的存在である相原コージが、満を持して描くゾンビ・パニック・ホラー「Z~ゼット~」。

発生初期、発生中期、発生後期の3段階でストーリーは展開されるが、その構成は毎回バラバラのオムニバス。また、ゾンビ化も人間だけには留まらず、細分化された肉体さえもゾンビとして襲ってくるという、まさに手の付けようのない状態。

一筋縄ではいかないゾンビ・ホラーの傑作誕生!!

相原コージ(アイハラコージ)
相原コージ

1963年5月3日北海道登別市生まれ。日本デザイナー学院まんが専攻科卒業。1983年、漫画アクション(双葉社)にて「八月の濡れたパンツ」でデビュー。ギャグマンガの方程式を覆す革新的な手法に定評がある。1989年、ビッグコミックスピリッツ(小学館)にて連載された竹熊健太郎との合作「サルでも描けるまんが教室」は、人気マンガの分析・パロディといった業界風刺的内容が話題を呼び、現在も根強い人気を誇る。また、ビッグコミックスピリッツ(小学館)にて同じく竹熊健太郎とともに審査員を務めた「相原賞」は、榎本俊二やほりのぶゆきなど後に人気マンガ家となる新人を数多く輩出した。近年は「漫歌」「真・異種格闘大戦」「下ネタで考える学問」などを発表し、現在は別冊漫画ゴラク(日本文芸社)にて「Z~ゼット~」を連載中。2013年に画業30周年を迎えた。