コンビニのカレーめんを品切れさせた（？）「ゆるキャン△」

──演技のこだわりを聞き、全食事シーンを観直したくなってきました。おふたりは作中でお気に入りのキャンプ飯はありますか？

花守　私は、朝霧で鳥羽先生が食べるベーコンです。キャンプロケのときにお土産に買って帰りました。分厚いので自分が食べられるサイズに切って、ジューッと焼いて食べて……ものすごく美味しかったです。

東山　いいなあ、聞いてるだけでもう……今（インタビュー時）は夕飯時なんだから、時間を考えて！（笑）

花守　お腹減った！

──鳥羽先生と言えば、四尾連湖で美味しそうにお酒を飲んでいたのも印象的です。

花守　あそこは（伊藤）静さんの演技へのこだわりがすごかったんですよ。「もっと今のところは軽いほうが」とディレクションされても「でも飲んでるときはこうなると思うので」とおっしゃっていて。経験にもとづく演技について勉強させていただきました。

──東山さんの、特に思い入れのある食事シーンは？

東山　悩みますね……。キャンプ飯もいいんですけど、私は1話のカレーめんが印象に残っています。普通のカレーめんのはずなのに、あの寒空の下で食べると美味しそうなこと！ 声優の友達があのシーンを観てカレーめんが食べたくなってコンビニに行ったらしいんですよ。そうしたら売り切れていたらしく。

花守　え、カレーめんだけ？

東山　そう、だから「『ゆるキャン△』効果じゃない？」って言われました。スタッフさんからも同様のことがあったと聞き、やっぱり映像の影響力はすごいと思わされました。

花守　リンも言っていた、温かい物を寒い中で食べるマッチポンプ感ですね。

東山　マッチポンプ、マッチポンプ。それとリンたちはいろんなキャンプ場に行きますけど、それぞれに特徴があるのもいいですよね。中でも4話で野クルメンバーが行ったほったらかし温泉の温玉揚げ。あれもすっごく美味しそうだった！

花守　絵がもう、ね。実物が気になって画像検索したけど、飯テロだったからしなければよかった！ しかもあれは自分の家で作るのが難しくて、すぐに食べられないから余計に（笑）。

──アニメの温玉揚げ、本当に美味しそうでしたよね。

東山　そうなんですよねえ。黄身がとろりとしていて。

花守　いやー、美味しかった。

東山　うん、目が美味しかった（笑）。

まず観てほしいのは、景色も心情も美しい5話

──12話が未放送の段階で恐縮ですが、最後に「まだ『ゆるキャン△』を観ていないけど興味はある」という人に向けて、おふたりで「これを観れば作品の良さがわかる」というエピソードを選んでください。ただし1話以外で。

花守　（放送リストを見ながら）1話以外だと、やっぱりこれかな。

東山　これだね！

──2人とも即答で5話「二つのキャンプ、二人の景色」ですね。

花守　もうみんな、5話の最後のリンとなでしこが星を見上げながら写真を送り合うシーンを観たら「これは駄目だ。1話から観よう」ってなると思うんですよ。

東山　「きれいだね」って言うところね。

花守　観ているこちらも思わず「きれいだね」って言っちゃうくらいでした。

──なでしことリン、2人が違う場所にいるけどつながっているというシーン、原作だとかなり小さなコマですよね。それをあんなふうに印象的に見せてくれたのも感激しましたし、アニメ版のキャッチコピー「きっと、そらでつながってる。」を体現しているシーンですしね。

花守　オンエアであんなにきれいな描写になっているのを観て「ああ、よかったな」と心底思えました。

東山　キャンプといえば悠々自適に過ごすというイメージがありますけど、「ゆるキャン△」のキャラクターもみんないい意味でマイペースというか、思うがままに過ごしている子が多いと思っているんです 。しかも互いに思い合ってはいるけど、女子ならではの少しがんばった気遣いとかがなくほどよい距離感で。それぞれに一番楽しめる雰囲気で一緒にいられる感じがすごく好きです。5話でもなでしことリンは距離的には遠くにいるけど、お互いのことを思い合っていて、「大切な人に素敵な景色を見てもらいたい」という気持ちで通じ合うという。とても大切で、美しい気持ちが描かれていました。

花守　いつか私も泊まりでキャンプに行ったら、奈央さんに写真を送りますよ。

東山　ありがとう！ だけどやっぱり一緒にキャンプやりたいよね。

花守　でも5話を再現するには、2人が違うところに行かないと（笑）。

──そのなでしことリンが7話では一緒にキャンプに行きますが、5話を経たからか少し気安くなったというか、距離が近づいているように感じました。

東山　確かに。7話のラストなんて、リンは「私は1人で寝る」なんて言っていたのに最終的にはなでしこのテントに忍び込んで。

花守　朝、起きたなでしこがそれに気付いて「えへへ」って喜んで。そのあと、湖でボートを漕いでいるなでしこを静かに見ているリンちゃんが自然と笑顔になって。そういう距離感がいいですよね。でも、5話と7話もそうですけど、よく観ると1話から何気ないやり取りを通じて少しずつ2人の距離が縮んでいるんですよ。だからアフレコで私たちも気持ちを作りやすかったです。キャンプの描写だけでなく、そういった部分も丁寧に作ってくださってるアニメですよね。

東山　自然にお芝居してるだけで、物語がゆっくりと進んでいく感じがしました。

花守　そういった部分も感じてもらいたいので、5話を観て気に入ってくれたら全話じっくり観ていってほしいです！