東京の賃貸物件を紹介する不動産会社のサンズハウス。そのサンズハウスのWebサイトで、オリジナルのマンガが全話無料で読めるのをご存知だろうか? コミックナタリーではサンズハウスのマンガに注目した特集を展開。不動産会社ならではの“街”に寄り添った作品をはじめ、“街”にとらわれないさまざまなジャンルのマンガまで、コンテンツが充実したサンズハウスのサイトの見どころを紹介していく。
構成 / コミックナタリー編集部
「マンガと楽しくお部屋探し!」をキーワードとしているサンズハウス。不動産会社ならではの強みを活かし、東京のさまざまな街の風景を描いたマンガと、その街のおすすめスポットを紹介する企画を連動して行うなど、思わずその街に足を運びたくなるようなコンテンツが充実している。しかもサイト内のマンガは、すべて無料で閲覧可能。これらの取り組みは「賃貸のお部屋探しとマンガを組み合わせる新しい形で、お部屋探しをもっと楽しんでいただきたい」という思いをきっかけに始まったという。「マンガから街や引っ越しへの興味を持ってサイトを利用してもらえたらと考えて、サンズハウスの“街紹介マンガ”ができました」と担当者は語った。
さらにサンズハウスでは“街紹介マンガ”はもちろんのこと、映画研究会を舞台に描く青春群像劇、SFの世界観で繰り広げられる物語など、およそ不動産会社のサイトで公開されているとは思えない、さまざまなジャンルのオリジナルマンガを多数掲載。これは社長の伊藤和芳氏が「花の24年組」と呼ばれるマンガ家たちから大きな影響を受け、「あの頃感じたマンガから得られる感動体験を、サンズハウスでも広げていけたら」という思いから“街紹介マンガ”のみならず、読み応えのある連載作品や読み切りマンガを多く取り揃えるに至ったとのこと。
サイトでは「東京トイボックス」「スティーブズ」のうめによる連載、「セッちゃん」の大島智子、「家が好きな人」の井田千秋による読み切り、小説賞「otoCoto presents OtoBon ソングノベルズ大賞 ~音楽を感じる小説~ DREAMS COME TRUE編」の受賞者である伊藤秋樹が原作を手がけた作品などが公開されている。
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新居探しのため東京の街をぶらりと散策
うめ「ブラガール」
連載中「東京にはこんなにたくさん駅があるのに 一度も降りたことのない駅がほとんど──」。部屋の更新が近づくメグリは、友人のアユムとともに知らない街をぶらりと巡りながら、まったりと新居探しを楽しむ。
「東京トイボックス」「スティーブズ」で知られるうめによる「ブラガール」では、谷中や押上、銀座に東大前など、丁寧に描写された東京の風景の中を、女子2人がゆったりと散策する様子が描かれる。グルメ情報、ちょっとした街のトリビアなど、思わず足を運びたくなる描写が盛りだくさん。マンガを片手に、メグリとアユムが訪れたスポットに遊びに行ってみては。
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映画研究会を舞台に繰り広げられる青春群像劇
ののもとむむむ
「TOKYO2020」
(原作:伊藤秋樹)連載中
物語の舞台は、東京オリンピック・パラリンピックが予定通り2020年の夏に開催された架空の東京。自身をさらけ出せず、幼少期から孤独を感じ続けていた高橋亮子は、大学で岩井という4年生に声をかけられ、映画研究会へと入部する。19人の部員の中、女子は亮子1人だけ。サークルの中で女優として活動する亮子は、監督を務める岩井に自分の意見を受け入れてもらえたことをきっかけに、1本の脚本を書き上げる。しかし亮子の脚本を“駄作”と感じた岩井と脚本担当の川崎は、川崎と亮子、どちらの脚本がいいか、部内でコンペを開くことを決断。亮子はサークル内の冴えない男子たちを内心「キモい」と感じながらも、自身が“女の子”であることが武器になると自覚し、部員たちと「契約関係」を結んでいくが……。
サンズハウスの公式サイトでは、第1部のフィナーレまでを公開中。第2部では中学生時代から亮子に思いを寄せる田中一郎を軸に物語が展開される。大学生による映画の全国大会で亮子の姿を見つけた田中。突然の再会に衝撃を受けながらも、自分たちの映画が優勝すると確信していた田中は、岩井の映画に敗れたことに愕然とし……。伊藤秋樹原作による映画研究会を舞台とした青春群像劇が、新鋭・ののもとむむむの解釈を交えた表現で紡がれていく。
ののもとむむむ コメント
「TOKYO2020」では、原作の伊藤先生の文章の魅力を多く引き出せるよう精一杯努めています。また原作にはない自分の解釈に基づいた表現も寛容に受け入れてくださるので、とても楽しく描かせて頂いてます。
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1人の少女に降りかかる理不尽な混沌
ナヲコ
「ロード・ムービーみたいな」
(原作:伊藤秋樹)連載中仕事熱心で真面目、さらには責任感が強すぎるがあまり鬱病になってしまった中学校教師の御徒町。精神病院に入院することになった御徒町は、そこで森田まゆみという1人の少女に出会う。塞ぎ込んでいた御徒町の心は、まゆみとの触れ合いの中でほぐされていく。
その後、退院しそれぞれの道を歩むこととなった2人。務めていた学校に別れを告げ、春から新しい中学校に転職を決めた御徒町は、その学校で生徒であるまゆみと再会する。しかし、まゆみは御徒町の存在に気づいた素振りを見せるも、他人のふりを決め込む。煮え切らない気持ちを抱いた御徒町は、ある過ちを犯してしまうのだった。
これらのエピソードが展開される第2話までは、物語の序章。第1章の始まりとなる第3話では、第1話の冒頭にも登場した青年・ヒロシと、まゆみの出会いが描かれている。
ナヲコ コメント
原作付きマンガを描くのが初めてなこともあり、さまざまな勉強をさせていただいています。
伊藤さんの原作を拝読して感じた「現実に生きるキャラクターたち」の世界を等身大に、最後まで描けたら……というのが今の目標です。
サンズハウスでは「今が旬の、フレッシュな作家の作品をサンズハウスで!」という言葉をスローガンに、バラエティに富んだ作家陣による新作読み切りを掲載している。
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彩乃浦助
「幸せを食べている」前後編
(原作:伊藤秋樹)地球ではない別の惑星。殺人をも厭わない壮絶な過去を背負う主人公は、純粋な心を持つ少女と共同生活を送ることで、ささやかな幸せを感じていた。しかし、過去に一緒に仕事を組んでいた男から「一緒に帰ろう」「俺が面倒みてやる」と執拗に誘われ続け……。
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大島智子
「生きていけます」イラストレーターとして活動し、マンガでは「セッちゃん」などで知られる大島智子。「生きていけます」ではあやふやな世界を過ごす、少女の心が描かれた。最後のセリフは、読者も思わず自分の脳内で反芻してしまうだろう。
サイト内には東京の魅力をたっぷりと紹介する「街紹介マンガ」コーナーも。気鋭のマンガ家やイラストレーターが、昭和の香りが残る下町、流行の先端を行く都心の風景などを、それぞれの視点からマンガとして描き下ろしている。
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やべさわこ
「まちたび」「町屋・三ノ輪編」「浅草編」の2つのエピソードが公開されている「まちたび」。やべのレトロなタッチで描かれる下町の風景を見ていると、思わず足を運びたくなること間違いなし。
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井田千秋
「板橋ってどんなところ」(原作:黒野伸一)地方出身で家探し中の18歳。派手な街は苦手な主人公が「畑と家しかない」と言われる板橋へと赴き、商店街や両面焼きそば店、温泉などを楽しむ。街の居心地のよさを実感するとともに、実家の父への思いを馳せる姿を、「家が好きな人」の井田千秋が素朴なタッチで描写している。
そのほかにもサンズハウスのサイトには「otoCoto presents OtoBon ソングノベルズ大賞 ~音楽を感じる小説~ DREAMS COME TRUE編」の受賞作をやべさわこがマンガ化した「大好き!」を完結まで掲載。
朝陽昇による読み切り「meet mom」では、レズビアンのカップルを軸とした物語が展開される。“家族”を愛する彼女とともに、自身の親に挨拶をしに行くこととなった主人公。登場人物それぞれが、素直な気持ちをさらけ出す様子が丁寧に綴られている。
8月以降には「服を着るならこんなふうに」の縞野やえ、「田舎ねこ とらちよが行く!」の沖たばかりによる新作読み切りが登場する予定。またサイトでは街紹介マンガとの連動企画として、サンズハウスおすすめエリアのグルメ・街歩きスポットを紹介している。サイトに訪れた際には、ぜひともこちらもチェックしておきたい。
不動産会社ながらさまざまなジャンルのマンガが読めるサンズハウスのWebサイト。「不動産会社のサイトでオリジナルマンガが読める……?」と、最初は意外に感じるかもしれないが、実際に作品を読み進めていくと、“不動産会社だから”と侮ってはいけない渾身の作品ばかりであることがわかる。家との出会いだけではなく、新たなマンガ作品、作家との出会いがサンズハウスでは待っている。誰しもきっと心に残るお気に入りの作品が見つかるはずなので、マンガ好きは今後も要注目だ。
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