「きれいすぎる役がきてしまった」と思っていたら……
──沼倉さんのお話にもありましたが、「恋愛暴君」に登場する女性キャラクターはタイトル通りどこかしら“暴君”な部分を持ち合わせていると思います。皆さんが感じたご自身が演じるキャラの第一印象や、自分と似ていると思った部分があれば教えてください。
青山 うーん……グリはいい意味でも悪い意味でも破天荒というかおバカで(笑)。本当はキューピッドとして男女の恋を成立させないといけないのに、自分の趣味で男性同士をカップルにしたりと、好きなことを好きなだけやる子なんだなと思いましたね。もちろんその中に、「人を幸せにしたい」っていう自分の芯になる思いを持っているんですけど。
大坪 よっぴーは、飄々としているところがけっこうグリに似てるよね。
青山 グリに似てるって、Wake Up, Girls!のメンバーからも言われるんですよ。「急に歌い出したりするし、破天荒なところが似てるよね」って。「それは褒めているのか?」って思うんですけど。
沼倉 茜さんは愛にひたむきに生きる女という面がありつつ、コミカルな部分もたくさん見せてくれるので幅が広い子だなと思っています。オーディションを受けたときにいただいた台本だと、茜さんのバイオレンスな成分が少なめだったんですよ。私はあまり女性らしいキャラを演じることがなかったので、最初は「きれいすぎる役がきてしまった」と、すごく驚いたんですけど、蓋を開けたらすごい暴君キャラで。キャスティングに納得してしまったのがちょっぴり悔しかったですね(笑)。
原 私は逆にオーディションの段階から、ぶっ飛んだ台詞が多くて。「人の大切なものを壊したい」って言うような女の子なので、すごそうなキャラだなと思っていたんです。ただ原作を読み進めていくと、いろいろと寂しい思いをしてきて今のキャラクターができあがったということがわかって。それからは私も樒に対する見方が変化してきて、この子の色々な面を見せていきたいと思うようになりましたね。
青山 でも「樒にここが似てる」って言われたら困っちゃいますよね。
原 確かに。自分では似ている部分はないと思うけど……。
沼倉 エロいところは似てる(笑)。
原 えっ、私にそんな一面あった(笑)?
大坪 (笑)。私が演じている茉莉ちゃんは一見するとまともなんですけど、実は先生を手玉に取ったりとすごく小悪魔なんですよね。私も小悪魔なので(笑)、そういうところは似ているかもですね。
沼倉 人をうまく転がしているイメージはあるかも(笑)。
原 でも大坪さんも茉莉ちゃんもしっかり者だから、そういう部分はご本人とリンクしてますよね。
大坪 うれしいです! 私もすごく似てるなって。
一同 あはは(笑)。
何度も各キャラにスポットが当たる
──原作やこれまでに演じてきたアニメのエピソードで、特にお好きなお話はありますか?
沼倉 アニメの第6話、原作だと4巻に収録されている、みんなで海に行くエピソードですね。この回って、個人的には茜さんが青司の妹のあくあをオトす話だと思っているんですよ。茜って学校でモテモテっていう設定なんですけど、柚も好いてくれているし、樒も茜に興味を持っているし、女子に人気のあるキャラなのかなと6話を収録したあたりで気付いて。それ以降は「女の子たちをオトしていく」っていうのが、自分の中で裏テーマになっていますね。
原 個人的には現場で神様役の大塚芳忠さんと、魔王役の子安武人さんの掛け合いを見れた回がいろんな意味で興奮しましたね。自分が声優を志したころから憧れていた大先輩だったので。「『恋愛暴君』ありがとう!」と思いました。
青山 アニメのアフレコでは「これが表示されている尺の中でしゃべってください」という目印として、ボールドというものが画面に出るんですけど、あのおふたりの掛け合いの部分は「ボールドなしでずっと聞いていたい」って思っちゃうくらい圧巻のお芝居でしたね。
大坪 たしかに。茉莉的には先生から「好きだ」っていう気持ちを聞いたうえで、「私を想って綴った今までの詩を今度は口に出して聞かせてね」って言うシーンですかね。
青山 手を先生の口に当てて「チュ」ってするところだ!
大坪 そうそう。直前まで茜さんが暴れていたとは思えないくらいきれいな空間で(笑)。すごくキュンキュンしましたね。
長野 私は柚と青司さんのやり取りや、柚、樒、茜の幼少期が描かれる、アニメの第4話が好きですね。それまで自分の気持ちに素直になれなかった柚が、“お姉さまに近づく虫けら”くらいに思っていた青司さんとちゃんと向き合えたし、茜さんにも自分の思いをぶつけることができて。柚がすごく成長できた回だと思っています。
青山 「恋愛暴君」ってヒロインにスポットが当たるのが「各ヒロインごとに1回だけ」じゃないんですよね。ハーレムものって男性主人公の物語になりがちだったり、ヒロインにスポットを当てるとしてもアニメならワンクールに1回だけだったりするじゃないですか。でも「恋愛暴君」は柚で言えば第4話で成長を描いたあとに、また新たな成長を描くエピソードが出てくるんです。そうやって何度も各キャラクターにフォーカスして丁寧に成長を描いてくれるのが、いちファンとしても「あっ、ええやん」って思うポイントですね。
アドリブシーンでとりあえず怒る
──アフレコ序盤のころは、原作者の三星めがね先生がよく見学にいらっしゃっていたとうかがっています。三星先生とはどのようなお話をされましたか?
沼倉 とても腰が低い方でひたすら恐縮なさっていて。「ありがとうございます」ってひたすら喜んでくれているのを見て、こっちまでうれしくなっちゃいました。
大坪 三星先生、女性の方なんですよね。初めて読んだときに下着のディティールや、体のラインに女性ならではのこだわりがあるなと感じまして。「おっ、このアングルですか、いいですね」みたいな構図もあり、「先生かなりマニアックだな」と思いました。
青山 「早口ばっかりになっちゃう原作でごめんなさい」と、私たちのことを気遣ってくださったりもして。第1話の収録時にはあまりお話することができなかったんですけど、COMICメテオに掲載された、三星先生のアフレコレポートで、キャラクターに対して「君達の声はこうだったんだね」って描かれているのを拝見して、思わずホロリってしちゃいました。(参照:恋愛暴君11巻本日発売、メテオにはアニメのアフレコレポや三星めがね過去作)
──たしかにアニメはキャラの激しい掛け合いで早口になるシーンも多いですよね。原作からして情報量が多いのに、アニメの第1話では原作の単行本1巻のうち、4分の3のエピソードをテンポよく消化しましたし。
沼倉 そうですね。やっぱり第1話って視聴者の心をつかまなきゃいけないすごく大事な回なので、そこでこれだけの情報量を伝えるためにはどうすればいいのかっていうのは考えました。やっぱり自分が楽しんで演じて勢いを乗せていくことが大切なんだろうなとは思っていて。アフレコ前はすごくワクワクしていましたね。
長野 柚役に決まったあと原作を読みながら練習していたんです。原作だと自分の好きなペースで「このくらいかな?」ってゆっくり読んだりできたんですけど、いざ台本をいただいて映像に合わせて演技するってなったら、原作で練習していたときに比べて、すごく早くしゃべらないといけなくて。毎回「早口だけど感情は全部捨てずに凝縮する」ってことを意識しながら演技するのは大変です。
原 私も原作を初めて読んだときにスピード感をすごく感じていて。アニメになったとき「こういう感じになるんだろうな」っていうのが想像できました。
大坪 いち視聴者としても「恋愛暴君」を観ていると、テンポがいいっていうのは感じますね。ツッコミの瞬発力がすごい。
青山 あと「恋愛暴君」はアドリブのパートもすごく多いんですよね。グリと茜さんがケンカするパートなんてほぼそうで。今日もアフレコがあったんですが、1ページまるまるアドリブだったんです。その中でグリらしさを出して、かつどうやって面白いことを言うかっていうのは難しくもあり楽しいです。
沼倉 ケンカのパートで茜さんが怒るとき、大きな声を出しすぎて自分の声しか聞こえなかったりする(笑)。「今グリに何を言われたんだろう?」って思いながら、とりあえず怒るみたいな。そういうお芝居のズレを観てもらうのも面白いと思います。
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1分30秒も心が穏やかになる浄化エンディング
- 三星めがね「恋愛暴君」11.5巻短編集
- 2017年5月12日発売 / ほるぷ出版
TVアニメ2017年4月スタート、「恋愛暴君」の短編集が登場!
文化祭で柚が決意にいたるエピソード「第24.5話」、5人のヒロインたちの日常にスポットライトを当てたスペシャル4コマ漫画、恋愛暴君と世界観を同じくするメイド喫茶が舞台の「桃と牡丹と百合の花」ほか、11巻のあのシーンを描いた短編集限定の描き下ろしマンガなどを収録。
短編集でも、グリや茜たちがキュートに大暴れします!
- テレビアニメ「恋愛暴君」
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ある日突然、男子高校生・藍野青司のもとに任意の二人を強制的にキスさせるという不思議アイテム「キスノート」を持った死神風の少女・グリが現れ、“24時間以内にキスしないと書いた者(グリ)は死に、書かれた者(青司)も一生童貞のまま生涯を終える”と告げ……。
愛のキューピット(?)グリと青司とその仲間たちが“キスをする相手”を求めて繰り広げるハイテンションラブコメディにあなたもきっと恋がしたくなるはず(!?)。
- 放送情報
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- テレビ東京 毎週木曜日26時35分~
- BSジャパン 毎週土曜日24時30分~
- AT-X 毎週土曜日23時30分~(リピート放送:毎週日曜日26時30分~、毎週火曜日15時30分~、毎週金曜日7時30分~)
- スタッフ
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- 原作:三星めがね(COMICメテオ連載)
- 監督:濁川敦
- シリーズ構成:高橋ナツコ
- キャラクターデザイン:いとうまりこ
- 総作画監督:谷津美弥子
- アニメーション制作:EMTスクエアード
- キャスト
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- グリ:青山吉能
- 藍野青司:小野賢章
- 緋山茜:沼倉愛美
- 黄蝶ヶ崎柚:長野佑紀
- 白峰樒:原由実
- 藍野あくあ:高橋李衣
- コラリ:檜山修之
- 神様:大塚芳忠
- 魔王:子安武人
- 鶴岡太郎:内匠靖明
- ストラス:堀内賢雄
- テレビアニメ「恋愛暴君」Blu-ray / DVD Vol.1
- 2017年6月30日発売 / エイベックス・ピクチャーズ
- 初回限定特典(Blu-ray / DVD共通)
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- キスノート風ブックレット
- キャラクターデザインいとうまりこ描き下ろしスリーブケース
- イベントチケット優先販売申込券
- 青山吉能(アオヤマヨシノ)
- 熊本県出身、5月15日生まれ。声優、歌手。主な出演作に「Wake Up, Girls!」(七瀬佳乃役)、「この素晴らしい世界に祝福を!」(フィオ役)など。声優ユニット・Wake Up,Girls!のメンバーとしても活動しており、5月24日にシングル「恋?で愛?で暴君です!」がリリースされる。
- 沼倉愛美(ヌマクラマナミ)
- 神奈川県出身、4月15日生まれ。声優、歌手。主な出演作に「THE IDOLM@STER」(我那覇響役)、「だがしかし」(遠藤サヤ役)、「アイカツ!」(藤堂ユリカ役)など。6月14日にファーストアルバム「My LIVE」がリリースされる。
- 長野佑紀(ナガノユキ)
- 広島県出身、6月27日生まれ。声優。「恋愛暴君」でテレビアニメデビューを果たす。
- 原由実(ハラユミ)
- 大阪府出身、1月21日生まれ。声優、歌手。主な出演作に「THE IDOLM@STER」(四条貴音役)、「オーバーロード」(アルベド役)、「ブレイブウィッチーズ」(アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン役)など。
- 大坪由佳(オオツボユカ)
- 千葉県出身、6月11日生まれ。声優、歌手。主な出演作に「ゆるゆり」(歳納京子役)、「アイドルマスター シンデレラガールズ」(三村かな子役)、「あいまいみー」(蛯原愛役)など。クリエイターのゆうゆとのユニットsmileY inc.としても活動しており、5月24日にシングル「『スキ』を教えて」がリリースされる。