ミュージカル「王家の紋章」キャストは、
原作をどう読んだ?
ミュージカル「王家の紋章」出演者たちは、当然のように原作も読み込んでいる。そんな彼らに、これから原作を読む人に向けて、作品の注目ポイントを語ってもらった。
今夏、ミュージカル再々演!
2016年に初演、2017年に再演され、今回が4年ぶり3度目の上演となるミュージカル「王家の紋章」。メンフィスを演じるのは、初演と再演で同役を務めた浦井健治と、新キャストの海宝直人。キャロル役には、いずれも新キャストとなる神田沙也加と木下晴香がキャスティングされている。また脚本・作詞・演出は荻田浩一、作曲・編曲はシルヴェスター・リーヴァイが手がける。
- ミュージカル「王家の紋章」
- 2021年8月5日(木)~28日(土) 東京都 帝国劇場
- 2021年9月4日(土)~26日(日) 福岡県 博多座
- スタッフ
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原作:細川智栄子あんど芙~みん「王家の紋章」(秋田書店「月刊プリンセス」連載)
脚本・作詞・演出:荻田浩一
作曲・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
- キャスト
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メンフィス:浦井健治、海宝直人(Wキャスト)
キャロル:神田沙也加、木下晴香(Wキャスト)
イズミル:平方元基、大貫勇輔(Wキャスト)
アイシス:朝夏まなと、新妻聖子(Wキャスト)
ライアン:植原卓也
ミタムン:綺咲愛里
ナフテラ:出雲綾
ルカ:前山剛久、岡宮来夢(Wキャスト)
ウナス:大隅勇太、前山剛久(Wキャスト)
イムホテップ:山口祐一郎
ミヌーエ:松原剛志
セチ:坂口湧久
天野朋子、小山雲母、堤梨菜、藤咲みどり、山田裕美子、横関咲栄、米島史子、大山五十和、折井洋人、川口大地、熊野義貴、五大輝一、佐野隼平、下道純一、千田真司、長澤風海、橋田康、若泉亮
プリンセスでは3号連続でミュージカルとの連動企画!
「王家の紋章」を連載中の月刊プリンセスは、毎月6日発売。7月号から9月号までは、3号連続でミュージカル「王家の紋章」キャストのブロマイドが付属し、キャストのグラビアとインタビューも掲載されている。ブロマイドは紙版のみの付録なので注意しよう。
- 月刊プリンセス7月号
- 発売中 / 秋田書店
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- グラビア&インタビュー
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メンフィス:浦井健治/海保直人
キャロル:神田沙也加/木下晴香
Kindle版(電子書籍)
税込652円
- 月刊プリンセス8月号
- 発売中 / 秋田書店
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- グラビア&インタビュー
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イズミル:平方元基/大貫勇輔
アイシス:朝夏まなと/新妻聖子
Kindle版(電子書籍)
税込652円
- 月刊プリンセス9月号
- 2021年8月6日発売 / 秋田書店
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- グラビア&インタビュー
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ルカ:前山剛久/岡宮来夢
ウナス:大隅勇太/前山剛久
ミュージカル東京公演と同時に、複製原画展もスタート!
帝国劇場にてミュージカルの東京公演が行われる8月5日から、会場近くの帝国ホテルでは、「王家の紋章」複製原画展を開催。初日の8⽉5日からは「キャラクターソロ 編」、9⽉上旬からは「渦巻く愛憎劇 編」、10⽉上旬からは「キャロルとメンフィス愛の軌跡 編」と、日程ごとに異なる原画が展示されるので、何度でも足を運ぼう。またミュージカル「王家の紋章」とのコラボ企画として、キャストの写真展も開催される。会場ではオリジナルグッズも販売予定だ。
浦井健治(メンフィス役)
「王家の紋章」は人を愛することの大切さを学べる作品ですよね。人間の永遠のテーマと言ってもいい、“究極の愛”について描かれているな、と原作を読んでも思いますし、ミュージカルで初演、再演を通じてメンフィスを演じさせてもらった立場としても思います。メンフィスはキャロルのことを、最初は獲物として捉えているわけですよね。エジプトにはいない真っ白な肌で、髪の毛も金髪で、自分たちと違う異物だから、彼女に対する気持ちは所有欲から始まっている。もちろん時代も違うし、メンフィスは王として育てられているから、人を人と思わない性格になってしまったという部分もあるんですけど、そこから身分とかを超越して、キャロルを愛するようになっていく。最初は王と獲物だったメンフィスとキャロルがつながりを持って、人間と人間の関係に成長していく。細川先生が描きたいのは、そういう普遍的なテーマだと思います。そこはミュージカルを通して、お客様にも感じてほしいですね。
個人的に好きなのは、エジプトの宰相であるイムホテップというキャラクターです。メンフィスやアイシスといった王族として生まれた者たちを、イムホテップがどのように愛し、育て、そして責任を持って見守っていくかという、その愛情表現にとても惹かれています。これから読む方は、イムホテップに注目して読んでみてください。
海宝直人 (メンフィス役)
「王家の紋章」は学生時代になぜか家にあったんです。僕が読んだ数少ない少女マンガだと思いますね。古代エジプトという現代とはまったく価値観が違う世界にタイムスリップして、ロマンチックな恋をするという、とてもドラマチックで壮大なストーリーに、ワクワクしながら読んでましたね。
ストーリーや、誌面から飛び出してくるような絵の躍動感もすごいですけど、一番の魅力はキャラクターの感情がすごく豊かなことでしょうか。人を愛するにしても、憎むにしても、とにかくエネルギーがすごいんですよ。序盤だとメンフィスの姉であるアイシスの愛憎は、とても印象に残っています。弟のメンフィスに近づく女には容赦がなくて、彼を手に入れるためだったら手段を選ばない。ミタムンという、メンフィスに好意を持っていた異国の王女は、アイシスに焼き殺されてしまいましたからね。そういったシーンを見て「あそこまでむき出しで人を愛せるのか? むきだしで憎めるのか?」と考えると、とてもじゃないけどできないなと。現代を生きている僕たちにはない思いの強さは「王家の紋章」を読んでいてとても痛快な部分です。
神田沙也加(キャロル役)
とっても長編の作品なので、最初は挑む気持ちがありましたが、ひとたび読み始めたら時間があっという間に過ぎる作品です。
わたしが好きな王子様はイズミル(笑)、お気に入りのキャラクターはルカです。
原作であるマンガを読んでから舞台版のお稽古をしていると、ルカの心情を色々な角度で考えてしまいます。
マンガの中のルカはウナスと一緒に、心身共にキャロルを救って大活躍しますよね。
でもその心の中たるや、イズミルに絶対的忠誠心を持ちながら、ナイルの娘に感じるものとの葛藤で溢れている。人間らしくて好きなキャラクターです。
好きなシーンは、33巻の迷宮事件の後、ウナスがキャロルとテティを激しく叱るところです。
命に代えてもキャロルを護る、メンフィスの想いをしっかりと受け継いでそばに居るんだ、というウナスの決意が伝わりますし、女の子としてもエジプトの王妃としてもついつい浮き足立ってしまうキャロルに、ちゃんと叱ってくれる人がいるというぬくもりと自覚を植え付ける大切なシーンだと思います。
メンフィスみたいにいつも怒っているわけじゃないからこそ、余計に響くのかもしれませんね(笑)。
木下晴香(キャロル役)
実は、私が「王家の紋章」の原作と出会ったのはキャロル役を務めることが決まってからでした。
私も初心者のひとりです!
読み始めてすぐ幻想的な世界観に引き込まれて、展開も驚きの連続。古代エジプトの厳格なしきたりや残酷な当たり前の中、それとは裏腹に、登場人物たちの美しさや瞳の輝き、エネルギッシュさがすごく印象的でした。特に、感情が本当に豊かでお転婆で、まっすぐすぎる程の強さを持っているキャロルの運命の行く末は見届けたくなること間違いなし! そんな愛らしいキャロルの表情には注目して読んでもらいたいですし、演じるうえでも、その豊かさは大切にしたいなと思っています。愛の矢印が複雑に交差するのも見どころです! 原作通りのセリフも多く登場しますので、ぜひ原作を読まれたうえでミュージカル版も楽しんでいただければと思います。
平方元基(イズミル役)
ヒロインのキャロルは様々な経験をして成長していきますし、読者の方々にとっては人生訓というか、バイブルのひとつになっているんじゃないかなと思いますね。先生方の人生がすごく反映されているんだろうなと僕は感じていて、想像もつかない方向に話は進みますが、リアリティが全くないわけではない。
そこも長年愛される所以ではないでしょうか。
僕はイズミルを演じますが、台詞の一つ一つ、先生方・読者の皆さんの想いを汲み取って、丁寧に大切に演じなくてはいけないなという気持ちで臨んでいます。
40年以上連載を続けて、何世代もバトンを渡していっているすごい作品です。まだ読んだことのない方は、一気読み必至なのでお休みの前日から読み始めるのがおススメです(笑)。
大貫勇輔(イズミル役)
非現実的なタイムスリップモノのラブロマンスと、実際の歴史をベースにしているからこその説得力。2つが合わさっていることが、この物語の魅力を際立たせていると思います。
自分が同じようにタイムスリップしてしまったらどういう決断をするんだろう?という空想も出来ますし、読む側によっていろいろな楽しみ方がありますね。
多くの登場人物達がキャロルの魅力に振り回されて(笑)、物語がどんどん複雑になっていきます。そこが面白いところであり、次は何が起こるんだろうと気になって読んでいます。
僕が一番好きで共感出来るキャラクターはイズミルなので、今回演じられることはとても嬉しいです。
朝夏まなと(アイシス役)
「『王家の紋章』のミュージカルは、マンガでいうと大体4巻くらいまでだからそこまで読めばよくわかるよ!」と言われ、読み始めたんですが、気づけば15巻まで読んでしまいました。先の展開が気になりすぎて、やめ時を失ってしまう……これが王家の紋章マジックです。メンフィスとイズミルに愛されるキャロル、そこに絡んでいくアイシス。全員美形で濃いキャラ、面白くないわけがありません。やはり、私はアイシスに感情移入してしまいますね、あぁもどかしい!! 果たして3次元でそれをどこまで表現できるか…王族の皆さんにも認めていただけるアイシスを目指します!
新妻聖子(アイシス役)
ミュージカル版はコミックス第4巻あたりまでの出来事をまとめていますが、実際に「王家の紋章」の物語がうごめき出すのはその後。そういう意味で舞台版は「序章」であり「王家」入門編と言えるのかもしれません。
古代エジプト王妃となった金髪の少女キャロルを諸外国のメンズが次々と奪い合う……一見すると単純なお話に見えるかもしれませんが、緻密な時代考証に裏付けられた古代の描写がリアルで、本当に三千年前の世界を覗き見しているかのような錯覚に陥ります。
更に物語の根底に流れる「謎」に想いを馳せることにより、何倍も面白くなるのが本作の魅力なのです。
ミイラの姿から弟への愛ゆえ現代に蘇り、憎きキャロルを古代へと連れ去ったアイシス。しかし何度試みてもキャロルの暗殺だけはうまくいかない。謎かけのように放たれる「なにか…わたくしの知らぬ未知の力が動いているのであろうか…」というセリフ。若くして亡くなったはずのファラオ・メンフィスの運命はこの先どうなるのか。砂漠の熱風の中、時を超えイズミル王子に銃弾を放ったライアン兄さん。タイムスリップの舞台となる神秘なるナイル河。古代と現代、その境目は? 誰が、どこで、この運命を動かしているのか…。妄想が膨らみすぎてもはや私の脳内では壮大なハリウッド映画が作れそうです(笑)。
ピラミッド誕生の謎が依然解き明かされていないことからも、古代エジプトの世界はミステリーとロマンに満ちています。その空気感を最大限に増幅させるのが「王家の紋章」だと言えるでしょう。古代文明、ミイラ、ピラミッド…これらのワードにときめく方ならきっとハマるはず! ようこそこちらの世界へ!
植原卓也(ライアン役)
3000年の時空を超えた愛に、ロマンを感じます。
それぞれのキャラクターの強い愛が交差し、時に翻弄されるキャロルの姿に目が離せません。
どこか心配な気持ちにもなっていて、気付けば“ライアン兄さん”の目線で物語を追っていました。
それも読む上で、楽しみポイントの一つです。
前山剛久(ルカ / ウナス役)
「王家の紋章」はなんて壮大な作品なんだろうというのが僕の第一印象です。
当時の国同士の関係や、古代エジプトの背景など勉強になる部分も多く、キャラクターひとりひとりも多彩で魅力的ですし、純粋な楽しさがあります。
僕はミュージカルの方が入り口で、あとから原作を読んだのですが、原作ではルカの登場は5巻で、本来はミュージカルで描かれているストーリーのあとに出てくるキャラクターなんです。「王家の紋章」はすごく壮大な世界観が描かれていますが、キャラクターの気持ちや内面などにあえて言葉にしない「余白」があります。そこを掘り下げることができるからこそ、愛されている作品なんだと思います。
これまで話したように、多彩なキャラクターに動きのあるストーリー、バトルもあり、歴史的な楽しみもある。この作品を考えられた細川先生方の手腕に改めて感動しています。
そんな憧れの「王家の紋章」に二役で出演することが決まった時はすごく驚きましたが、原作へのリスペクトを持ち、自分らしいルカとウナスを皆さんに届けられたらと思っています。
岡宮来夢(ルカ役)
「王家の紋章」は設定がとにかく面白いなと思います。
原作を読ませていただいたときに、三千年前のエジプトに行くことになった経緯やミュージカルには登場しない原作のキャラクターも含め、登場人物たちにとても魅力を感じました。
現代では当たり前とされている心臓マッサージなどの治療法や、水をろ過する方法で、キャロルは神の娘として崇められていきますよね。
奴隷や戦争が当たり前のようにあった三千年前の世界に少女が一人飛び込んでいって奇跡を起こしていく…本当に壮大な面白さがあります。
僕がいまキャロルのようにタイムスリップして古代エジプトに行ったら「神の子」になれるんだろうか…と考えるとキャロルのように強く生きていく自信はないですが、覚悟を決めて今持っている知識を総動員して民を救っていける王様になりたいです。
平和を重んじる、争いのない、農業に力を入れる国を作りたいですね。
クフ王より大きいピラミッドを作ってもらえるようにします(笑)。
大隅勇太(ウナス役)
僕はよくマンガやアニメを見るときに「こんなこと実際にあったらいいのに」「こんな人が実際にいてほしい」というのを考えながら見ているのですが、「王家の紋章」はその部分がしっかりエンタメとして描かれているなと感じます。
三千年前のエジプトにタイムスリップして、古代の人たちと一緒に過ごす。絶対に面白いですよね。
逆の立場(古代エジプト人)だったとしても「未来から来た神の娘・キャロル」という存在を受け入れる側になる…そんな非日常的な「こうだったらいいな」という願望を描いているのが「王家の紋章」が長年愛されている理由なのではと思います。
そして、魅力のあるキャラクターたちも詰まっていて、自分がその中の一人になれるというのはすごいことですし、緊張感も持って頑張っています。稽古中、原作を読んだときに、ウナスは常にメンフィスやキャロルの近くに付き従っているんだと改めて気付かされたので、ウナスとしてしっかりと2人を引き立たせることができるような動きを心がけていきたいです。
山口祐一郎(イムホテップ役)
この「王家の紋章」に登場する若者達の煌めきに満ちた姿はとても眩しく、様々な鎖に縛られた生活を送る現代社会人にとって、太陽とナイルの世界へと解き放たれる歓びを感じられる作品だと思います。私が舞台で演じるイムホテップ同様に彼らを見守る目線で読んでしまうのですが(笑)、細川智栄子先生・芙~みん先生が魂を込めて長年精力的に取り組んでいらっしゃる、このような素晴らしい物語に関わらせていただく事が出来て大変光栄です。これからも末永く見守らせていただければと願っております。