「MAO」梶裕貴インタビュー |梶裕貴が高橋留美子ファンと公の場で初宣言!「犬夜叉」の系譜を継ぐ、新たなるーみっくわーるどをどう読んだ?

敵のことをなかなか嫌いにはさせてくれない高橋留美子先生。憎いことしてくれます(笑)

「MAO」1巻より。怪我をした際、摩緒に解毒をしてもらってから菜花は何らかの力が解放される。

──本作はまだ物語の序盤ということで、謎がたくさん残されています。「これって伏線では?」という描写もちりばめられていますが、梶さんが特に気になったところは?

まず第1巻で、身体能力が解放された菜花が猫のような瞳に変化したところには驚きましたね。そして第2巻の最後、今度は覚醒した摩緒が同じように猫の目になるんですよね。このシーンでもう、一気に次の展開が気になりまくったんですよ!(笑) そして次のエピソードでは、摩緒が猫鬼に呪われているだけではなく、まさかの身体的に融合してしまっているというのが明らかになる。加えて菜花とのつながりも少しずつ見え始め……もうその辺から「おお! 来た来た来た来た!」って(笑)。

──テンションが上がったと(笑)。

一番知りたいのは、900年前に摩緒と猫鬼の間に本当は何があったのか。お互いに誰かにしてやられているというか、勘違いさせられてしまっている。そこが早く明らかになってほしいなと思います。

──猫鬼も摩緒と対峙したとき「わしときさまが争ったところで何も終わらんのだ」というようなことを言ってました。たしかに、蠱毒である猫鬼を生み出した元凶となる人間もいるわけですからね。

「MAO」3巻より。摩緒と猫鬼がついに直接対決する。

もしかしたら、猫鬼もかわいそうな宿命を背負っているのかもしれない。「犬夜叉」で言うところの奈落もそうだったんですけど、事実と違うところで本人が苦しめられているのが本当に許せないというか。まあ核心の部分なので、真実がわかるのは最後の最後になると思うんですけど。その辺り、ただただ敵を嫌いにならせてくれない感じも、「高橋留美子先生、今回も憎いことしてくれるな」って思ったりします(笑)。

──先ほど話に出た「高橋留美子本」で、留美子先生は「当面は摩緒、菜花、乙弥で物語を回し、代わりに敵キャラクターがどんどん多くなっていく」とおっしゃっていました。例えば「犬夜叉」から、梶さんが今後「MAO」に敵として登場してもらいたい妖怪のキャラクターのイメージを挙げてみてもらってもよいでしょうか。

うーん……難しいですけど、殺生丸ぐらい主人公と近い関係性のキャラクターですかね。「犬夜叉」って、犬夜叉と殺生丸が兄弟同士なのにも関わらず敵対しなきゃいけない、っていうところに大きなカタルシスがあったと思うので。先に読ませていただいた第3巻では、そのあたりを想像させる人物も最後のほうに登場しましたもんね。それと、好きなキャラクターになっちゃうんですけど……敵だったのに思わず手を差し伸べたくなってしまう神楽みたいな人物も欲しいです。あと「犬夜叉」っていかに鉄砕牙を強くするか、どう使いこなすかっていうところが大事なポイントのひとつとしてある上で、戦いの中で犬夜叉が成長していき、そこには何人かの刀鍛冶も関わってきたじゃないですか。なので敵キャラではないんですけど、摩緒をさらに一回り大きくさせるための人物なんかにも期待していますね。

梶裕貴

──ほかに、摩緒の仲間としていてほしいキャラクターは?

それはもう、何より七宝ですよ! 先ほども七宝が好きというお話はしましたけど、ああいった癒しキャラは大切ですよね。多くの作品において、ちょっと頼りないキャラであっても最後のほうって確実に成長するじゃないですか(笑)。まあ七宝も妖術昇級試験で少しレベルアップしたりもしましたが……結局は犬夜叉に放った渾身の術があっさり破られてしまって「わーんわーん」と泣いちゃう、みたいな。そんなふうにキャラクターの“らしさ”を変えないでいてくれるところが、高橋留美子先生の作品で好きなところでもあります。

高橋留美子先生の作品に出演するのは、声優としてひとつの夢

──気が早いですが、もし今後「MAO」がアニメ化されるとしたら、それぞれのキャラクターに当てはめてみたい声優さんはいますか?

そんなことを僕の口から言うのはおこがましすぎて、とてもじゃないですけど答えられませんね……(笑)。でも、やっぱり、高橋留美子先生のアニメ作品に出演するというのは、声優としてひとつの夢ですよね。子供の頃から触れていたあの“るーみっくわーるど”に自分が関われたとしたら、それはもう信じられないぐらい喜ばしいことだと思います。でも……今日こんなに「MAO」のことを語っておいて、いざアニメ化されたときにご縁がなかったら、僕とんだ笑い者じゃないですか……?(笑)

梶裕貴

──そんなそんな(笑)。

しゃべればしゃべるだけリスクが増えてしまう(笑)。

──この場でアピールもできたと思うので!(笑) でも摩緒を演じることになったとしても、クールだから主人公なのにセリフが割と少ないかもしれませんね。

いやいやいや! それはもう「らんま1/2」のらんま、「犬夜叉」の犬夜叉というように、ご縁があるなら「MAO」の摩緒を演じたいですよ!

──主人公は譲れない。

いやいや(笑)。というより、今後間違いなく摩緒のキャラクター性は深く描かれていくわけですから。

──では「MAO」という作品はどんな人に読んでほしいですか?

高橋留美子作品ファンって「うる星やつら」や「めぞん一刻」世代だったり「らんま1/2」や「犬夜叉」世代だったり、それぞれどの作品が入口だったかによって、幅広く分かれていると思うんです。それって本当に素晴らしいことで、間違いなく、先生が連載をこの日まで続けてこられたからこそですよね。なので、僕なんかよりずっと長く高橋留美子先生の作品に親しんでこられた方はもちろん、当時マンガやアニメで楽しまれていた方々……今はちょっと離れていたかな、というような方にも読んでいただいて、また“るーみっくわーるど”に舞い戻るきっかけになったらうれしいなと思います。はたまた、今まで“るーみっくわーるど”になかなか触れる入口が見つからなかったような若い世代の皆さんにも読んでいただけたら、近い未来に、今度は「MAO」世代と呼ばれるような人たちが新たに生まれることにもなるでしょう。さらには、もっともっと先の子たちにとっても、「MAO」が新たな“るーみっくわーるど”のスタンダードナンバーになるような未来がくることを信じています。高橋留美子先生の作品は、どれをとっても色褪せない普遍的な人間ドラマとして描かれているので、ぜひこの機会に幅広い方たちに読んでいただいて、そして一緒に「MAO」を応援していけたらうれしいなと思います。

──最後になんですが、実は高橋留美子先生から梶さんに色紙のプレゼントがありまして……。

梶裕貴
梶裕貴

えっ!? わあ、すごい! 弥勒と摩緒だ!!

──取材前に好きな「犬夜叉」のキャラクターをお伺いしていたのもこのためで。だけど梶さんが弥勒以外の名前を次々と挙げてこられたので、内心「マズイマズイ……」と思ってました(笑)。

いやー! めちゃくちゃうれしいです! 僕はまだ、ただのいちファンなだけなのに! なんだか申し訳ないですが……でも本当に夢みたいにうれしいです。ありがとうございます!!

──それでは色紙へのコメントとともに、高橋留美子先生へメッセージをお願いできますでしょうか。

まさかすぎて、感動が止まりません! まったく誇張表現ではなく、今日までがんばってきてよかったなあと思いました。世界に1枚しかない色紙、家宝にします。いつかはファンとしてだけではなく、声優として、高橋留美子先生の作品に関わることができたらうれしいです。そして何より新しく紡がれていく「MAO」の世界を楽しみにしておりますので、お体に気をつけてがんばってください! ずっと応援しています!

梶裕貴
高橋留美子から梶裕貴
高橋留美子による直筆色紙。
梶裕貴から高橋留美子
梶裕貴による直筆色紙。
梶裕貴が摩緒の姿に変身!

単行本1巻発売時にPR用で制作された特注マントを、取材の際に梶が羽織ってみることに。

もともと衣装として着用していた白シャツ、黒いズボンも合わせて、完璧な摩緒コーデが完成していた。

梶裕貴