「きみがローファーをはいたら」この年齢にして、完成されすぎ…!? 大人で謙虚な年下イケメンから、ニッチェも目が離せない! (2/2)

少女マンガ脳の江上、ヤンキーマンガ育ちの近藤が選ぶ相手は…

──冬馬の同級生・虎龍、凜音の幼なじみ・千隼についてはどう思いましたか?

近藤 冬馬と虎龍は同い年だけど、成長具合が全然違いますよね。冬馬はすごく大人びているけど、虎龍は年相応というか子供っぽい。小中学生のときって、成長具合の差異が如実に現れますよね。もちろん大人になっても子供っぽい人はいますけど、同じ年齢なのにこんなにも差を感じるところが面白いなと思いました。

凜音の母親の親友の息子でもある虎龍。昔から凜音は、仕事で忙しい大人たちに代わって彼の面倒を見てきた。

凜音の母親の親友の息子でもある虎龍。昔から凜音は、仕事で忙しい大人たちに代わって彼の面倒を見てきた。

江上 確かに2人とも凜音へのアプローチ方法が全然違うよね。でも恋愛対象として凜音のことが好きな冬馬と違って、虎龍は小さい頃から知っているお姉さんに懐いている子みたいに見えます。だから彼自身も自分の「好き」とは何なのかを模索している最中なんじゃないかな。そして千隼が登場するとホッとしますよね。

近藤 わかる、めっちゃいい奴だよね。凜音の恋もすごく応援してくれているし。

江上 でも、その感情が今後どうなっていくかはわからないよね? 私は千隼くんも参戦してほしいんだよなー。小学生と高校生の格の違いじゃないですけど、同級生ならではのアプローチを見せつけてほしいかも(笑)。

凜音が悩んだとき、いつも相談に乗ってくれる千隼。

凜音が悩んだとき、いつも相談に乗ってくれる千隼。

──もしおふたりが凜音のポジションだったら、冬馬と虎龍どちらのタイプに惹かれますか?

近藤 虎龍だなー。昔から人となりを知っている方が安心できる。逆に冬馬はあまりにも完璧すぎて怪しいって思ってしまうかも。私は疑いから入るタイプなので!

江上 私は冬馬。虎龍は昔から知っているんだからもう今さら恋愛対象として見れるわけないじゃないですか。私は純粋に、冬馬との運命を信じる。

近藤 少女マンガっぽいねえ(笑)。でも出会ったその日に告白なんてできるものかな? いつそんなに好きになったの?って私なら思っちゃう。

江上 拳と拳のリアルなぶつかり合いを読んできた人は、運命とか目に見えないものは信じられないのか……。でも冬馬は大丈夫。信用できるってビビッとくるのよ。もしかしたら凜音のことも、実は昔公園で一緒に遊んだことがあってずっと思い続けていたとかかもしれないし。

近藤 えっ、それありそう!

近藤くみこ

近藤くみこ

親の職業に兄弟構成、お部屋の中もまだまだ気になる最新刊

──少女マンガを長年愛読されているからこその考察ですね。最新3巻では凜音が虎龍と同居していることが冬馬にバレてしまうなど、波乱が待ち受けていますが、もしおふたりが凜音だったらどのように対処しますか?

近藤 「私が一緒に住もうって言ったのではなく、親の事情があって一緒に住んでいるだけです。もし心配ならどうぞ見に来てください」って、私なら素直に言いますね。言わないからややこしくなるんですよ。

江上 でもね、凜音は冬馬のことが大好きなんだよ? 理由はどうであれ、同居していることを冬馬に知られて嫌われるのが怖いのよ!

近藤 確かに若い頃は嫌われるのが怖かったね。

江上 我々はもう図太くなってしまったので、すっかりその気持ちを忘れてしまったけど、10代の頃は嫌われるかも……という勝手な想像の「かも」から行動を起こしてしまうからさ。それがすべてのすれ違いを生むんです。私が凜音の年齢でも、嫌われたくないから絶対に言えないもん。

江上敬子

江上敬子

──「かも」によるすれ違いが少女マンガの面白さでもありますよね。ちなみに3巻で一番印象的なシーンをあげるとするならいかがですか?

江上 クリスマスに冬馬と虎龍の間で揺れ動く凜音かな。今すぐ冬馬のところに行きたいけれど、そうすると両親が不在の虎龍は1人でクリスマスを過ごすことになるから放っておけない。どちらを選ぶかの話ではなく、保護者目線もあるわけじゃないですか。それが、なんだか苦しくて切なかったです。

近藤 私は冬馬のクリスマスプレゼントにびっくりしたなあー。

江上 だからやっぱり親御さんはデザイナーか美容師で正解ですよ。それかファッション関係。

近藤 そうじゃないと説明がつかないよね。あと比較的裕福なご家庭だと思う。

江上 冬馬はまだ明らかになっていない部分が多いから、想像を掻き立てられるよね。3巻に収録されている番外編で、凜音と冬馬がビデオ通話をしているシーンがあったけど、背後にチラッとベッドが映っててちょっと注目しちゃったもん。「いつもここで寝てるんだ!」って。

3巻に収録される凜音と冬馬のビデオ通話シーン。

3巻に収録される凜音と冬馬のビデオ通話シーン。

近藤 兄弟とかもいるのかなあ……? 想像が止まりません。

──最後に、「きみがローファーをはいたら」を未読の方にオススメするとしたら、なんと伝えますか?

江上 作者の大島先生はどのシーンも本当にすごくきれいに描いていらっしゃるので、読んでいてうっとりするような美しさがある作品です。少し珍しい設定ですし、恋愛マンガに対してどうせこうなるんでしょ?ってどこか慣れてきてしまっている方には、すごく新鮮に映るんじゃないかなと思います。

近藤 実生活で男に嫌気が差した方は、ぜひ「きみがローファーをはいたら」を読んで、この人にも冬馬くんみたいな時代があったのかもしれないって思いを馳せていただけたらと思います(笑)。あと、純真無垢な思いってこんなにキラキラしていて素敵なんだって、この作品を通して改めて知ってもらいたいですね。

左から江上敬子、近藤くみこ。

左から江上敬子、近藤くみこ。

プロフィール

ニッチェ

日本映画学校の学生だった江上敬子と近藤くみこが漫才の授業を受けた際に結成。2005年頃より芸人としての活動を本格化させ、「爆笑オンエアバトル」(NHK総合)や「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)といったネタ番組に出演する。2009年4月にはコント番組「ふくらむスクラム!!」(フジテレビ系)のレギュラーメンバーに選ばれた。2011年7月に「第2回 あなたが選ぶ!お笑いハーベスト大賞」で優勝し、同年10月には「平成23年度 NHK新人演芸大賞」演芸部門で大賞を受賞。「女芸人No.1決定戦 THE W」では2017年と2018年の2年連続で決勝に進出した。2018年4月より「王様のブランチ」(TBS系)にレギュラー出演中。