コミックナタリー Power Push - 奥浩哉「いぬやしき」

ANIMAREALが愛を持って実写化! リアル犬屋敷&獅子神の誕生秘話

奥浩哉がイブニング(講談社)で連載中の「いぬやしき」は、老人・犬屋敷とイケメン高校生・獅子神、対照的な2人を描く日常SF。機械に造り変えられてしまったがゆえに途方もない力を手に入れてしまった2人の、真逆の行動が描かれていく。

この2人を、さまざまなアニメキャラクターをリアルに再現してきたプロジェクト・ANIMAREAL(アニマリアル)が実写化。2015年11月の5巻発売時に犬屋敷のビジュアルが公開され、このほど、6巻発売を機に獅子神のビジュアルもお披露目された。コミックナタリーではコラボの全容を紹介するとともに、ANIMAREALの代表・市にインタビューを実施。ビジュアル制作のこだわりを聞いた。

取材・文 / 坂本恵

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「いぬやしき」×ANIMAREAL

ANIMAREALとは特殊メイクや3DCGを駆使し、アニメやマンガのキャラクターを表現するプロジェクト。「ドラゴンボール」や「ジョジョの奇妙な冒険」などさまざまなマンガを二次創作的にリアル化してきたが、2013年に「劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」でリアル銀さんを手がけたことが話題を集め(参照:大阪で劇場版「銀魂」展、銀時の魅力がわかる名言など展示)、以降は「FAIRY TAIL」や「いくさの子」「テンプリズム」など公式からも作品を発表してきた。

そんなANIMAREALが、奥浩哉がイブニングで連載する「いぬやしき」とコラボ。哀愁背負ったおじいちゃんヒーローの犬屋敷壱郎と、イケメン高校生の殺戮者・獅子神皓、2人の対照的な主人公を見事に表現してみせた。このビジュアルは、メイキング動画とあわせてお楽しみいただきたい。

ANIMAREAL市インタビュー

獅子神の顔は、無個性で透明感のあるイメージ

──いろいろなマンガを“リアル化”することで知られているANIMAREALプロジェクトですが、この“リアル化”というのはどういうプロセスで行っていくものなのでしょうか?

ANIMAREALの市。

大まかに言うと特殊メイクをして、撮影して、CG加工して、という流れです。特殊メイクに関しては、キャラクターによってやったりやらなかったりしますけど。「いぬやしき」の場合は、作品内容が日常系じゃないですか。日常がベースにあって、そこにSFが入っているので、特殊メイクはあまりやってないです。とにかく、似てる人を探すんですよ。

──別のインタビューでは、モデル探しが一番大変ともおっしゃっていましたが。

本当に大変ですね……。とはいえ、CGで顔って結構いじれるものなんですけど、それでもやっぱり元が似てるほうが絶対にいいんです。そこに一番苦労しますね。今回の獅子神は特に難しくて。実は講談社さんで打ち合わせした帰りに寄った喫茶店でナンパしたんですよ(笑)。

──えっ!

獅子神くん、六本木の喫茶店の店員さんなんです(笑)。ピンと来たので、その場で声をかけて。こんな関西弁の人が六本木で声かけるなんて胡散臭いなと思われるやろうから、自分の身元を必死で明かして口説いて(笑)。

──彼の、どこにピンと来たんでしょうか。

目ですね。なんか、目がイメージぴったりでした。透明感があるんですよ。

「いぬやしき」の獅子神皓。

──市さんの思う獅子神って、どういうイメージなんでしょう。

作中でもジャニーズ系のイケメンと言われている通り、とにかく美少年じゃないとダメっていうのがまずあって。ファンサイトができるくらいですからね。あと僕の中では、透明感があるイメージ。獅子神くんは善にも悪にも染まってしまう透明感があるんですよ。無個性にしたかったっていうのはあります。個性的な顔というよりは、ニュートラルな、ちょっと中性的な美少年って感じで。

──獅子神はこれまで殺戮しまくっていたかと思えば、5巻では渡辺しおんに諭されたことで人を助けるようになりました。

そうそう。ホントに、どっちにでも転がるようなキャラクターなんですよね。その感じが出ればいいなと思っていました。

奥浩哉「いぬやしき(6)」 / 2016年4月22日発売 / 637円 / 講談社
「いぬやしき(6)」

渡辺しおんとの出会いが獅子神に人の痛みを思い出させた。だが、平穏な日々に暗い影が忍び寄る……。獅子神の脅威を前に人は武力の力を持って挑む。その行為は、果たしてどんな結果をもたらすのか。奥浩哉が圧倒的クオリティを持って贈る、衝撃作最新刊!!

奥浩哉(オクヒロヤ)
奥浩哉

1968年9月16日福岡県福岡市生まれ。山本直樹のアシスタントを経て、1988年に久遠矢広(くおんやひろ)名義で投稿した「変」が第19回青年漫画大賞に準入選、週刊ヤングジャンプ(集英社)に掲載されデビューとなった。以降、同誌にて不定期連載を行い、1992年よりタイトルを「変 ~鈴木くんと佐藤くん~」と変え連載スタート。同性愛を題材とした同作は道徳観念を問う深い内容で反響を呼び、1996年にはTVドラマ化されるヒットを記録。マンガの背景にデジタル処理を用いた草分け的存在として知られ、2000年より同誌にて連載中の「GANTZ」はCGを駆使した緻密な作画とスリルある展開で好評を博し、アニメ、ゲーム、実写映画化などさまざまなメディアミックスがなされた。 2014年よりイブニング(講談社)にて「いぬやしき」の連載を開始する。

(イチ)

2012年にマンガ、アニメ、ゲームといったカルチャーから、新しい文化を生み出す「ANIMAREAL」を発足。写真や3DCGのほか、手描きや特殊メイクなどさまざまな手法を用いてマンガ・アニメの「リアル化」の表現を追求する。「劇場版銀魂完結篇 万事屋よ永遠なれ」のリアル銀時ビジュアルを皮切りに、「いくさの子」「テンプリズム」「いぬやしき」などの公式作品を制作。「月刊 FAIRY TAIL」では13カ月連続でピンナップを掲載。また、ももいろクローバーZの3rdアルバム「AMARANTHUS」を始め「Zの誓い」などCDジャケットのアートワークも手がける。