「華Doll*」は普通のアイドルアニメじゃない!山下誠一郎、駒田航、増田俊樹がダークで深い物語の考察で盛り上がる「AnimeJapan」レポート (2/2)

歌詞や歌割り、MVでも考察のしがいがある楽曲

コンテンツに深みを出している楽曲について紹介するパートに移ると、オープニング主題歌「Clockwork Flowers」と、エンディング主題歌「Fall leaves after leaves fall」のMVが披露される。観客は映像に釘付けとなり、会場を行き交う来場客の中には足を止める人の姿も見られた。

視聴中はリズムに合わせて体を揺らしたり、歌詞を口ずさんだり楽しそうに聴いていた3人。映像が終了すると、MVの意味深な描写について語り合う。増田は「MVは原作から運営さんがずっとこだわり続けていて、無駄なシーンは一切作らず、すべて意味があるように作られているとのことです。我々キャストもシーンの意図を説明されるわけではないので、レコーディングのときにいつも聞いちゃってます」と話し、熱い考察トークが繰り広げられる。山下は「歌割り」にも注目しているという。「『今回やたら多いな』、『理人のパートが多いな』、『突然意味深なパートを歌っているな』とか。聞いても運営さんにはぐらかされちゃうんですけど(笑)。こうした部分も考察の要素になっていると思います」と続けた。

アニメではAnthosのメンバーは6人から始まるが、現在の「華Doll*」のコンテンツではメンバーが7人となっている。山下は「6年Anthosとして活動してきた中で、6人で歌うのは久々な感じです。僕自身、歌やダンスは下手っぴな状態からスタートしたので、『華Doll*』というコンテンツで本当に鍛えられてきました。だからこそ、今6人で歌うのに意味がある気がして、面白かったですね」と「華Doll*」とAnthos、そして自身の歩みに思いを馳せる。増田も「難しい曲が多いよね」と同意すると、山下は「ハモリも多彩で、3段階くらいあるんです。ラップが得意なメンバーや歌声担当の理人が光るパートなど、いろいろなパターンがあります。コンテンツを追う中で注目してほしいですね。考察しがいがあるのでそこも含めて聴いてみてください」と楽曲の楽しみ方をアピールした。

増田俊樹

増田俊樹

自信と誇りを持ってやってきた6年間

あっという間に終了時刻が迫ると、山下は「これが『AnimeJapan』特有のギリギリのステージ感でございます」と終わりを惜しみながらも、「この6年間、音楽と物語ともに『これは本当にすごい作品』と感じながら、自信と誇りを持ってやってきました」と自信に満ちた表情。「もっと多くの人に届いてほしいと思う中で、アニメ化という1つのゴールにたどり着くことができ、うれしく思っております。長いコンテンツですがアニメを機に物語に入っていただけたら大きな喜びでございます。ぜひ永く我々Anthosを応援していただけたらうれしいです」と観客に語りかけた。

左から山下誠一郎、駒田航、増田俊樹。

左から山下誠一郎、駒田航、増田俊樹。

駒田も、6年間という期間の長さを振り返る。「(制作チームは)コロナという大変な時期がありながらも大きなブランクを空けずに、非常に深い『華Doll*』という物語を6年間紡いでくれています。そんな制作チームがアニメに懸けている思いは非常に大きいものがあると思っていました」と真剣な眼差しでスタッフの熱意を伝える。「僕らもその思いをくんで、アフレコやドラマCDのレコーディングを行っています。非常に面白い作りになっていますし、1話を観たら吸い込まれて最後まで観てしまうと思います。ぜひ一緒に“『華Doll*』っていいな”という気持ちを、みんなが“花の種”として咲かせていってもらえればすごくうれしいです」と締めくくる。

増田は“考察”の深さについて触れた。「今日初めてティザー映像を観た方は、音楽がいいな、キャラクターがカッコいいな、という印象で止まっていると思うんですよ。僕も作品の考察に対してはいまだにちんぷんかんぷんです(笑)」と、新規のファンを歓迎するように砕けた雰囲気で話し出す。「些細な箇所に意味があったりなかったりするので、本当に心がかき乱される作品です。よく運営の皆さんは『華Doll*』は『アイドル作品の皮を被っている』なんて表現をされるので、今回初めて『華Doll*』を観た方は心を強く持って参加していただければ」と意味深な笑みを見せ、続けて「今まで応援してきて一緒に映像作品を迎えられる方は、“動く”彼らの応援をこれからもよろしくお願いします」とファンに視線を送り、ステージは幕を下ろした。

イベントを終えた3人にインタビュー!

──まずは本日のステージイベントの感想を聞かせてください。

山下誠一郎 たくさんのファンの方が観に来て下さっていたり、通りがけに足を止める方も見受けられたりしてすごくうれしかったです。

駒田航 (うんうん、と頷きながら)「なんかやってるな」とステージを覗いてくれた方もたくさんいて。「華Doll*」は深みがある作品なので、短いステージではその魅力の1%くらいしか伝えることができないんですけど、「面白そうだな」と作品に興味を持つきっかけになってもらえたらうれしいです。

山下 「華Doll*」にはたくさんの見どころがあるから、限られた時間の中で説明するのが大変でしたが、うまくできたんじゃないかなと思います!

増田俊樹 お客さんの中には、まだ作品を知らない方もいたようでしたね。既存のファンの方に届けたいのはもちろんですけど、今回のステージでは作品を知らない人にも周知できたので、イベントとしてとてもいいスタートを切れたんじゃないかと思います。

左から山下誠一郎、駒田航、増田俊樹。

左から山下誠一郎、駒田航、増田俊樹。

──アニメの収録にあたって映像もご覧になったと思いますが、新鮮に感じた部分はありましたか?

山下 アニメではAnthosの寮生活や朝のルーティンなど日常の様子が実際に見えたので、新たな発見がたくさんありました。

──長くコンテンツに携わっていても、まだ発見があったんですね。

山下 はい。もちろん物語やキャラクターを理解したうえでドラマCDの収録などに臨んでいましたが、アニメで描かれることによって「こういう感じだったんだ」と、パズルのピースが埋まった気がします。視聴者の方と同じような発見ができたのが大きいですね。

──ドラマCDとアニメで、演じる際に意識することは違ったりするのでしょうか?

増田 僕はドラマCDからそんなに演技のスタンスを変えていません。ただ、アニメを制作するにあたって、アニメチームとドラマCDチームで求められるものは違いました。なので新たに0から作っていくことを意識して、“アニメならではのゴール”を見据えている人たちが求めているもの1つひとつに応えられるよう注力しています。

──なるほど。駒田さんはいかがでしょう。

駒田 ドラマCDは、音を聴いただけで環境やキャラクター、感情を動かすのが我々の仕事でした。アニメのアフレコ現場では、動く絵が演技を後押ししてくれたと思います。

──確かに台本を読んで想像しながらのアフレコと、映像でシチュエーションを確認しながらのアフレコでは、演技が異なってきそうです。

駒田 アニメでは、彼らが抱えている気持ちや細かい感情の機微がより具体的に映像になって見えるので、画に負けないように演じることを心がけました。同じメンバーで続いている作品のため演じ方が染み付いている中で、もう一回アフレコをするのが新鮮で、シンプルに楽しかったです。その音声がキャラクターたちを活き活きと動かしてくれたらうれしいな。

プロフィール

山下誠一郎(ヤマシタセイイチロウ)

5月21日生まれ、広島県出身。大沢事務所所属。主な出演作に「陰の実力者になりたくて!」(シド・カゲノー/シャドウ役)、「この会社に好きな人がいます」(立石真直)、「刀剣乱舞」シリーズ(薬研藤四郎/愛染国俊役)、「華Doll*」(結城眞紘役)などがある。

駒田航(コマダワタル)

9月5日生まれ、ドイツ出身。81プロデュース所属。主な出演作に「ヒプノシスマイク」(入間銃兎役)、「ディズニー ツイステッドワンダーランド」(ジェイド・リーチ役)、「BLEACH」(アズギアロ・イーバーン役)、「華Doll*」(チセ役)などがある。

増田俊樹(マスダトシキ)

1990年3月8日生まれ、広島県出身。TOY'S FACTORY所属。主な出演作に「僕のヒーローアカデミア」(切島鋭児郎役)、「忘却バッテリー」(清峰葉流火役)、「刀剣乱舞」シリーズ(加州清光役)、「アイドリッシュセブン」(和泉一織役)、「華Doll*」(清瀬陽汰役)などがある。