コミックナタリー Power Push -「ガーリッシュ ナンバー!」

「俺ガイル」の渡 航、最新作は“だいたいいつも揉めている”声優業界ストーリー

「いるんですよね、千歳みたいな子」とか言われると辛い

世間を舐めきった性格の千歳を主人公にした理由は?

私が千歳くらいの年齢の頃、20歳前後の頃は、自分も周りもだいだいこんな感じだったので、千歳みたいなキャラなら書きやすいかなと思って……。

アニメ「ガーリッシュ ナンバー」PVより。

実際書いてみると「なんだこいつ……」ってなることが非常に多いので、今となっては「ほんと、なんだこいつ……」って感じなんですけど。

それと、千歳くらいの年齢の声優さんって本当にまじめな方が非常に多いという印象があって、そういう人たちのご迷惑にならないように、あえて女性声優さんにはいなさそうなタイプのキャラのほうが描きやすい、動かしやすいかなという考えもあります。

なにより、現場で「千歳みたいな子いませんよ! もう!」って言ってもらえるようにしたいなと。もし、逆に「……あー、いるんですよね、千歳みたいな子」とか言われるとちょっと辛いし。

「マンガ&小説で前日譚を描いたのちにアニメ」という展開にした理由と、それぞれの見どころを教えてください。

前日譚を先に描く展開にした理由は特にありません。本当になんでそうしたんだろう……。

強いて言えば、いろんな媒体で展開できればいいなぁというくらいの理由なのですが、皆さまの目に触れやすくなっているといいなと思います。

マンガの見どころは、とにかく堂本さんの描く千歳が可愛いんですよ! 千歳は文字で見るとほんとこいつはよーって感じなんですけど、そのクズさ、ダメさを非常にうまく可愛らしさに昇華していただいていると思います。マンガを読んでいて「そうか、こう書けばよかったのか…」って勉強させていただいてます。

小説は絵が可愛い。

これまで書かれたお話の中で、特に「業界の裏側に踏み込んだな」と感じる場面を教えてください。

そんなに踏み込んではいないかなぁという印象です。

アニメ「ガーリッシュ ナンバー」PVより。

どのお仕事でも、問題が起きない現場はないですし、ダメな上司、クズい社員ってどこにでもいるでしょうし、やらかしトラブル、やばい仕事、間に合わない納期、やっつけクオリティからの土下座攻勢、改心したと見せかけてからの不意打ち不祥事ってよくあることだしなぁ仕事したくねぇなぁずっとアニメ見てゲームしてたいなぁみたいなことってたくさんあると思うんです。そして、どの業界も裏側ってあるわけで……。「ガーリッシュ」も皆さんが「自分の職場関連の裏話、これくらいまでなら笑って話せるかな…」くらいの踏み込み方だと思っております。

ただ、「原作者が知らないうちに取り返しのつかないレベルまでいろいろなアレが決まっている」というエピソードは知人の話ながら、ひどい場面だな……と書いてて少し胸が痛くなりました。

「ガーリッシュ ナンバー」のロゴにある(a)は、どのような意味が込められているのでしょうか?

「ガーリッシュ」は英語表記ですと、少女らしいという意味のgirlishと、けばけばしいという意味のgarish、2つありまして、この作品はどっちの意味も内包しているのではないかと。少女らしい可愛さの中にもなにか潜んでいたり、あるいはその逆もありえたり……、そんなお話にできればいいかなと思って、つけられております。たぶん。

没になったネタで、印象に残っているものを教えてください。

むしろ、ほとんどボツにならなかったんですが、委員会やスタジオは大丈夫なんでしょうか? それどころか、「前、こういう話がありましてね…」みたいなネタを出してくれることもあったんですが。

アニメ・声優業界を目指したい人は

「ガーリッシュ ナンバー」では「女性声優ならでは」というエピソードが多い印象です。男性声優業界は、また全然違う状況なのでしょうか?
アニメ「ガーリッシュ ナンバー」PVより。

どうでしょう、あんまり男性声優業界に詳しくないので……。なんなら女性声優業界にも全然詳しくないまである。

おそらく「ガーリッシュ ナンバー」で描く女性声優像がかなり偏っていると思います。知人に聞くと「そんな女性声優いませんよ!」という反応と「……あー、いますね」という反応、どちらもあるので、まぁ、人それぞれなのかなぁと。

私は「こんなひどい子はいない! 声優さんたちはみんな天使で女神!」と思ってます。声優さん大好きです。今度は嘘じゃないっす。

作中でも大変だと描かれるアニメ業界・声優業界について、それでも渡さんが離れない理由は?

……し、仕事だから

離れる間もなく次の締め切りや企画が来てしまうので、離れる時間がありません。休ませて。

好きなアニメを何本か、その理由とともに教えてください。

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」
「クオリディア・コード」
「ガーリッシュ ナンバー」
理由は特にありません。

本作のメインキャスト以外で、好きな声優3人とその理由を教えてください。

みんな好きだから選べないです><

業界人として接していて、特に輝きを持っていると感じた声優さんはいますか?
アニメ「ガーリッシュ ナンバー」PVより。

現場でお見掛けする方、みなさん、また違った輝き、魅力を放っていると思います。

綺羅星のような方もいらっしゃれば、いぶし銀のような方……、むしろ輝いていない人はいないのではないでしょうか。逆に言うと、そうした独特の輝きを放つ方たちが、ご活躍なさる声優さんになるのだと思います。

作中では「声優業界はおかしい」というフレーズが、いろんな視点から登場します。似たような意見、思いは、先生の周囲からも強く感じますか?

私の周囲は、声優業界、声優さんに対して、非常な好意的な人たちが多いので、おかしいというような意見は聞かないです。尊いという意見が多いです。

私も尊いと思います。

まったく最近ではないですが6月に行った「キラフェス」はとても尊いと感じました

「大変だ」とさまざまなメディアで取り上げられるアニメ・声優業界ですが、それでも憧れを持ち、目指す若い人は後を絶ちません。そういった人が身近にいたとしたら、どういうアドバイスをしますか?

会社勤めをしながらライトノベル作家になって、それから転身することを考えるのが一番手っ取り早いのではないかと思います。さぁ! まずは就職活動から始めよう!

渡さんが一番感情移入できる「ガーリッシュ ナンバー」のキャラクターを教えてください。

十和田というAPです。万事、雑な上司に振り回される姿は非常に親近感と既視感を覚えます。

テレビアニメ「ガーリッシュ ナンバー」

「ガーリッシュ ナンバー」

TBS

10月6日より毎週木曜日26:28~

チューリップテレビ

10月8日より毎週土曜日25:53~

サンテレビ

10月7日より毎週金曜日24:00~

BS-TBS

10月8日より毎週土曜日25:30~

スタッフ
  • 原作:Project GN
  • 原案・シリーズ構成:渡航
  • キャラクター原案:QP:flapper
  • 監督:井畑翔太
  • キャラクターデザイン:木野下澄江
  • 美術監督:峯田佳実
  • デザインワークス:石川雅一
  • LO監修:益田賢治
  • 色彩設計:林由稀
  • 撮影監督:伊藤康行
  • 編集:小島俊彦
  • アニメーション制作:ディオメディア
キャスト
  • 烏丸千歳:千本木彩花
  • 久我山八重:本渡楓
  • 片倉京:石川由依
  • 苑生百花:鈴木絵理
  • 柴崎万葉:大西沙織
  • 九頭P:中井和哉
  • 烏丸悟浄:梅原裕一郎
  • 十和田AP:江口拓也
  • 難波社長:堀内賢雄

「刃牙道(8)」

オープニングテーマ
「Bloom」

2016年11月16日発売
1296円 / GNCA-0444
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

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「刃牙道(8)」

エンディングテーマ
「今は短し夢見よ乙女」

2016年11月30日発売
1296円 / GNCA-0445
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

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歌唱:ガーリッシュ ナンバー(烏丸千歳、久我山八重、片倉京、苑生百花、柴崎万葉)

コミック
堂本裕貴、渡航、QP:flapper 「ガーリッシュ ナンバー」1巻 / 発売中 / KADOKAWA
コミック「ガーリッシュ ナンバー」1巻
コミック 616円
Kindle版 570円
小説
堂本裕貴、渡航、QP:flapper 「ガーリッシュ ナンバー」1巻 / 発売中 / KADOKAWA
小説「ガーリッシュ ナンバー」1巻
ソフトカバー 972円
Kindle版 900円
渡航(ワタリワタル)

千葉県出身、1987年1月24日生まれ。ライトノベル作家。2009年5月に「あやかしがたり」でデビュー、2011年に発表した「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」のほか、同業のさがら総、橘公司とのユニット・Speakeasyによる「クオリディア・コード」もアニメ化された。

QP:flapper(キューピーフラッパー)

イラストレーターの小原トメ太、さくら小春によるユニット。ソーシャルゲーム「ガールフレンド(仮)」などのキャラクターデザイン、アニメ「天体のメソッド」「レガリア The Three Sacred Stars」 などのキャラクター原案を担当した。