福田と西のやり取りに感じる知波単学園の校風
──続いて知波単学園の話ですが、大洗女子学園のおふたりは彼女たちの変化をどう見られましたか?
渕上 こんなに成長するとは思わなかった(笑)。突撃一辺倒の学校だと思っていたので……でもみほとしてはここまでがんばってきた知波単学園の姿を見られた喜びもあるでしょうね。
植田 河嶋は2回戦の相手が知波単学園だと知ったときに少し余裕に感じたんじゃないでしょうか。だけど突撃以外の戦法も繰り出されて、「本当に負けるかもしれない」と危機感を感じているでしょう。
──個人的には「敵を成長させるとは、アヒルさんチーム(バレー部)め!」と少し思ってしまいました。
植田 確かに結果的には敵に塩を送ることになりましたが、バレー部のいいところはそれを歓迎しているところです。お互いに高め合っているんですよね。
──そういった清々しいスポーツマンシップは「ガルパン」らしさですね。
瀬戸 あくまで知波単学園の成長は、西というより後輩の福田のおかげなんですよ。「新しいものを取り入れないと我が校は勝てない」といち早く気付いた彼女がいたから。そんな福田の進言をきちんと呑み込んで「よし、やってみよう」と柔軟に命令を下せる西の器の大きさは、さすがリーダーだなとは思いますけど。
──福田と西のやり取りを通じての成長は「第2話」の大きな見どころです。
瀬戸 少し震えながらもまっすぐに伝えてくれる福田と、それをまっすぐに受け止める西。そのまっすぐさは知波単学園の校風だなと感じます。
──一方、大洗女子学園では新旧生徒会の交流シーンが印象的でした。
渕上 あんこうチームのみんながおしゃべりしながらプリントをホッチキスで留めるシーンがありますよね。そこが「なんか生徒会っぽい仕事してる」とうれしくなりました。こういうインタビューなどでお話するには地味ですけど(笑)。そういう細かな日常描写も「ガルパン」の魅力なので。
植田 ホッチキスを使っているのもそうだけど、大洗女子学園の生徒会はけっこうアナログ派だよね。武部沙織ちゃんに「(連絡は)メールじゃダメなんですか?」と言われても河嶋は「ちゃんと現場に行って声を聞いて、顔を合わせることによって生まれるコミュニケーションが重要なんだ」と諭しますし。そんなふうにこれまでの生徒会は生徒同士のつながりを重んじていたのですが、それをあまり交流のなかった沙織ちゃんに引き継ぐやり取りをして、「本当に代替わりするんだな」と改めて認識しました。
──「最終章」を通じておそらく3年生が卒業するまでが描かれると思いますが、植田さんは寂しさを感じますか?
植田 「最終章」が始まる前は3年生はもう卒業していて出てこないんじゃないかと脅されていたんですよ(笑)。「回想で出てくるだけかもしれないね」なんて冗談も言われて。だから最初のキービジュアルが発表されて3人が登場するとわかるまでは「もう『ガルパン』に出られないかも」と思っていたんです。だから寂しさというより、「最終章」で活躍できるだけでもありがたいです。
4D上映は想像の5倍くらい揺れる
──今回は「最終章」第1話・第2話の4D上映が始まることを記念してのインタビューなのですが、皆さんはそういった特殊上映で「ガルパン」を観たことはありますか?
植田 私は逸見エリカ役の生天目仁美さんと小山柚子役の高橋美佳子さんと一緒に極上爆音上映に行きました。そのときは「劇場版」で、私は観るのは3回目だったのですが、最初の着弾音がドーンと鳴る瞬間にお腹の底から震える感じがして度肝を抜かれました。4D上映でもないのに。音だけでこんなに違うんだと思いました。
渕上 私は「総集編」を4DXで観たんですけど……座席が動きまくって少し疲れました(笑)。
──「総集編」は約120分と長いですからね。
渕上 内容的にも見どころ詰め合わせでほぼ戦闘シーンだったし、2時間ずっと遊園地の激しいアトラクションに乗り続けたくらいの感覚でした。ただ今回の「最終章」に関しては、戦闘シーンだけでなく「第2話」のボコミュージアムとかではゆっくりと座席が動くのも楽しめると思うので、満足度が高くなりそうです。
原 その話を聞いて行ってみたくなりました。
瀬戸 4D上映って食べ物を持って入っちゃいけないんですか?
渕上 持って入っても大丈夫だけど、たぶんそれどころじゃなくなって食べれないと思う。想像の5倍くらい揺れるから。
──ただ「最終章」は98分と比較的コンパクトだし、最初に体験するにはいいかもしれませんね。今回、4D演出は水島努監督自らが監修するそうです。
一同 えー!
渕上 「総集編」を観たときは煙なんかの演出もあって面白かったので、「最終章」でどうなるか楽しみです。
──ほかの3人は4D上映で観るのに楽しみなシーンはありますか?
植田 やっぱり試合のシーンですよね。発砲するだけでも振動がありそうじゃないですか。それが何発も飛び交うんだから、すごい臨場感になるんだと思います。
瀬戸 私、通常の上映でも戦車の一人称視点になるとヒヤッとすることがあったんですよ。例えばBC自由学園戦で迷路に入るじゃないですか。そこで左に曲がるとして、第三者視点だったら曲がった先がどんなふうになっているかわかるけど、一人称視点だと左に曲がるまでどうなっているかわからない。あと知波単学園戦だと、視界が悪い森の中をすごいスピードで進んでいくシーンとかも。そういうもどかしさやハラハラ感が楽しみです。
原 知波単学園が森でわーっと撃たれるところは、通常の上映で観ても「わ、当たる当たる」と錯覚してしまったくらいリアルに感じたんですよ。そうした試合のシーンは楽しみだし、それ以外ならBC自由学園戦後にマリーたちとみほたちが一緒にスイーツを食べてるシーンがすごくお気に入りで。試合が終わればすぐに仲良くなれるってすごくいいことだし、4D上映だとそこで甘い香りとかしてくるのかな……?
渕上 「総集編」でも匂いがしていたから、今回も同じように演出があるかもしれませんね。
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