「お前、トミノに会ったのか?」
──「弐ノ章」のオープニング主題歌であるAimerさんの「SPARK-AGAIN」について、世界さんがTwitterで興奮気味にベタ褒めされていたのを拝見しました。
SPARK-AGAINのMV
— SEKAI(EXILE/FANTASTICS/OTAQUEST/FTHEB) (@sekai_official_) July 24, 2020
やばいですね
そしてやっぱり
曲の強さと優しさと闇と光のパワーが半端じゃなさ過ぎる。。。
Ash flameも良い。。。
待ち遠おしいやつ@Aimer_and_staff
最初にオープニング映像を観たとき、「炎炎」の世界観とAimerさんの歌声がすごく合ってるなと思ったんです。楽曲自体も素晴らしいですし、映像もカッコよくて。Aimerさんのことは、2011年のTVアニメ「No.6」のエンディングテーマ「六等星の夜」を聴いたときから「なんだこの人は?」と気になっていました。声が好きなんです、属性でいうと闇属性の声というか。世間的にはバラードシンガーっていうイメージが強いかもしれないですけど、こういうダークでロックな世界観とも相性抜群で。
──世界さんが理想とするアニメソングの形とも合致していた?
そうかもしれないです。ふつふつとした沸騰力のあるもの、いきなり100でドーンじゃなくて、0、10、20、30……ってゲージがたまっていく感じが好きで。イントロから映像とともにぶおーっと上がっていくような感覚って、アニソンならではだと思います。それと、アニソンでは特に編曲が重要だと思うんです。この曲はアレンジも神です。
──アニソンとの関わりでいうと、世界さんご自身もFANTASTICS from EXILE TRIBEとして「ガンダム×KEN OKUYAMA DESIGN×LDH JAPAN“G40プロジェクト”」のテーマソングを担当されていました。
僕はパフォーマーなので歌ってはいないのですが(笑)、「ガンダム」のような歴史ある作品に関われたことは本当に光栄でした。僕自身、初期の「機動戦士ガンダム」と「機動戦士Zガンダム」は大好きですし、普段まったく連絡がない海外の友達からも「お前、トミノ(富野由悠季)に会ったのか?」とか連絡が来たり(笑)。会えるか!という感じでした(笑)。
──(笑)。今後、もっとアニソンをやっていきたい思いはあります?
めちゃくちゃやりたいです。LDHでは、過去にGENERATIONS from EXILE TRIBEが「ONE PIECE」のオープニング曲(「Hard Knock Days」)をやっていたり、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEも「FAIRY TAIL」のオープニング曲(「DOWN BY LAW」)をやっていました。僕が入るずっと前のEXILEも「ブラック・ジャック」のエンディング曲(「careless breath」)を担当してましたし、自分たちの曲が毎週アニメで流れるっていうのは本当にうらやましいです。子供の頃の自分にめちゃくちゃ自慢できるじゃないですか(笑)。それに、僕らのファンの方だけでなく、アニメ作品のファンの方にも大切に思ってもらえる曲ができたら、さぞうれしいだろうなと思います。
LDHとサブカルチャー
──世間的なLDHのイメージだと、アニメなどサブカルチャーの文化圏とはあまり食い合わせがよくないのかなという印象があります。そんな中で、世界さんはSNSなどで積極的にアニメの話をされていますよね。
僕も最初は戸惑ってたんです。あとからEXILEに入ってきた人間としては、すでにできあがっている世界観を絶対に崩しちゃいけないと思っていたので。大規模なスタジアムツアーやドームツアーを経てEXILE HIROさんがご勇退されて、ストーリーとしてはきれいに「第1章完」となったところに、僕らはいきなり新キャラとして出てきたようなもんですから。LDHのイメージって「休みの日は派手に遊んで、夏は海でバーベキュー」みたいな感じだと思うので(笑)、最初は僕が休みの日に家から一歩も出ないインドア人間であることは隠していたんです。
──それを表に出すようになったきっかけというのは?
m-floの☆Taku Takahashiさんです。☆Takuさんは日本のポップカルチャーを世界に発信する「OTAQUEST」というプロジェクトをやっているのですが、あるとき「世界くんってアニメ好きなの?」とプロジェクトに誘っていただきまして。その活動などを通じて、だんだん「好きなものを好きだと言う人間を叩くような人は、EXILEのファンにはいないだろう」と信じられるようになってきたんです。実際、誰からも怒られませんでしたし、逆に「世界さんの影響でアニメを観始めました」みたいに言ってくれるファンの方も現れたり。要は僕の考えすぎだったんです。
──NESMITHさんやNAOTOさんはアニメ好きとしても知られていますが、「今期、何観てる?」みたいなお話はされるんですか?
後輩とすることが圧倒的に多いです。劇団EXILEの佐藤寛太とか、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEの川村壱馬とか。壱馬と話すようになったのは最近ですけど。
──それは世界さんの布教で?
いえ、もともと好きだったみたいで。壱馬も最初の頃はあまりそういう面を見せなかったんですが、共通の作品のファンであることが分かり、最近いろいろ話すようになりました。
左斜め下前からも楽しめる
──では最後に、まだ「炎炎ノ消防隊」を観ていないという世界さんのファンの方や読者にメッセージをお願いします。
僕はマンガから入ってアニメも夢中で観ているタイプのファンですが、マンガだけとかアニメだけでも全然楽しめると思います。ネット配信でアニメを観るのが主流になってきている世の中ですし、とりあえずアニメだけ観てみようっていうのがハードル低くていいかもしれないですね(参照:TVアニメ『炎炎ノ消防隊 壱ノ章』 - YouTube)。単純にアクションものとしてもすごく面白いですし、人と人のつながりを描いた人間ドラマとしても楽しめる。キャラの1人ひとりがものすごく立っている作品なので、推しを探す楽しみもあります。テンポのいいギャグで笑わされたかと思えば、いきなり人として大事な本質の部分を突かれてハッとさせられたり。
──おっしゃる通り、“全部入り”感はこの作品の大きな特徴だと思います。
あと、特殊消防隊って“消防隊”というわりに火を消さないじゃないですか(笑)。炎を起こしたり操ったりして戦う姿が正義として描かれている。価値観的に逆といえば逆だし、いろんな見方ができるんです。シンラだって必ずしも完全に正義とは限らないというか、人によっては伝導者一派の言ってることのほうが正しいと思うかもしれない。
──描き方が一面的ではなく、多面的に全方向から見せてくれるような作りですよね。
それも、上下左右くらいで十分なのに「左斜め下前」みたいなところからも見られる作品なので。どこまで深く掘っても底が見えない計り知れなさがあります。間違いなくこの時代を代表する作品の1つだと思います。「炎炎」のよさは、観れば観るほど、読めば読むほど気付くと思います。とりあえず、いっぱい炎を感じていただけたらうれしいです。ラートム。