コミックナタリー PowerPush - ペトス「亜人(デミ)ちゃんは語りたい」

キュートな亜人コメディ!コミティア出身の新鋭デビュー作

キャラの数を絞って内面を掘り下げていきたい

──「デミちゃん」に登場する亜人(デミ)は、第1話からずっとバンパイア、デュラハン、サキュバス、雪女の4種です。これはあえてこの4人に絞っているんでしょうか。

彼女たちの良さを伝えるには、とりあえず数を絞って、ゆっくり内面を掘り下げないと難しいかなと思って。一応今後増える予定ではあるんですけど、のんびりやっていこうかなという感じですね。そもそも、登場させる亜人に制限をかけてるんです。いわゆる亜人って、羽が生えてたり下半身が馬だったり、見た目が派手なものが多いと思うんです。そういった亜人も大好きなんですが、この作品では見た目は普通の人間に近いけど、ちょっと生態が違う亜人を選びました。「デミちゃん」の世界観は割とかなりガチの現代社会なので。

──例えばケンタウロスなんかは除外しているということですね。

頭と胴体が分かれているデュラハン以外は、完全に見た目は普通の人間なので、描いてて地味だなーとは思うんですけど(笑)。1人ぐらいは外見で亜人だとわかる子がいたほうがいいと思ったので、デュラハンも主要の4人に入れました。4人それぞれにも、なんとなくテーマみたいなものは考えています。このキャラは高橋先生と出会う段階でこういうところがあって、今後こういうところを伸ばしていけたらいいな、みたいな感じで。

バンパイアのひかりが陰口を言った子に文句を言う場面。

──なんだかペトスさんが生徒たちを見守る先生みたいですね。では順番にお聞きできればと思うのですが、まずバンパイアのひかりちゃんはどんな子でしょうか。

ひかりちゃんはやっぱり4人の中でも看板になる女の子だとよく思います。最初は4人平等というか、同じくらいの登場回数で考えてたんですけど、描いてるうちにこの子はすごい子だなと思いはじめて。第8話でひかりちゃんが、雪女の雪ちゃんへ陰口を言った子に説教じみたことを言うエピソードがありましたけど、あれも本当はない予定だったんですよ。

──ええ。

ネームを描いていたら、自然とひかりちゃんがそのセリフを言ってたんです。なんかこの子、意外といろいろ考えてるんだな、ただのアホな女子高生バンパイアじゃないんだなと思ったんですよね。もちろん彼女のアホさや明るさはニセモノではないのですが、なんとなくひかりちゃんにも深さを感じてます。

──「自然とそのセリフを言ってた」というのは、どういう状態なんでしょうか。

僕はネームを作るときって、大体オチを先に考えて、場面場面をキャラクターの会話で繋げてそこに向かっていくっていうやり方なんです。なので基本的にセリフはセミオートで出してます。……セミオートってパワプロみたいですね(笑)。

ゆるい日常だけじゃない、時にはシリアス展開も

──第8話の話が出てきましたけど、ゆるめの日常コメディでずっといくのかなと思いきや、雪女ちゃんのシリアスなエピソードも入ってきて。

雪女の雪ちゃんはデミであることに思い悩む。

雪女ちゃんは第1話を描いた時点では、まだどういうキャラにしようか悩んでたんです。どんな話を導入にしたらいいかとか、どうやったらキャラを動かしやすくなるか、とか。でもある日シリアス展開もアリかなって思いついたときに、雪女ちゃんはシリアス回でまとめたらよくなるかもしれないと思って、今の形になりました。最初に設定資料を作ったときは、雪女ちゃんはいまと真逆で「世話焼きおせっかい」みたいなことを描いていた記憶があります。

──もっとコミカルな感じになるかもしれなかった。

そうですね。「デミちゃん」って、コメディはコメディなんでしょうけど、一番描きたいのは、もっと細かい部分で。亜人がいる現代社会をリアルに描きたいというか、ナチュラルな会話の流れとか嘘くさくない設定とかを読者に「ほう、なるほど」って思っていただけるとうれしいですよね。

──血を吸わずに生きているバンパイアを肉を食べないベジタリアンに例えたり。この「もしもの世界」を考えるのは楽しそうです。

楽しいですねー。こういうことをずっと妄想してるタイプで、電車の中でもスマホとかいじらず、ずっとぼーっとしてます(笑)。

ペトス「亜人(デミ)ちゃんは語りたい」1巻 / 2015年3月6日発売 / 650円 / 講談社
ペトス「亜人(デミ)ちゃんは語りたい」1巻
ペトス「亜人(デミ)ちゃんは語りたい」1巻 / kindle版
あらすじ
キュートな亜人ちゃんにはキュートな悩みがあるのです!

サキュバス、バンパイア、デュラハン。僕ら人間とちょっとだけ違う、それが「亜人」。最近では「デミ」と呼ばれてます。(英語のdemi-humanから来てるらしい)

そんな亜人の生態に興味を持つ高校生物教師・高橋鉄男と、生徒である「亜人」ちゃんたちとの少しだけ刺激的な新学期がスタートした!

新鋭ペトスが描くハチャメチャカワ亜人コメディ、ここに開幕!

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ペトス
ペトス

東京都府中市在住。28歳男性。A型。水瓶座。2014年9月、ヤングマガジン サード(講談社)にて初連載「亜人(デミ)ちゃんは語りたい」をスタートさせる。同作を描き始めてから、トマトジュースにハマっている。