「出口ゼロ」とは

主人公の赤羽夕日は、女優を夢見る15歳。芸能界の大物を多数輩出する超エリート俳優養成所、D・A・アカデミーに念願の入校を決めて、希望に満ちあふれているはずだった。

……しかしそこは、想像を絶する恐怖の場所だった。最高講師のレディ・クイーンの出す演技の課題に失敗した者は、ひとり残らず消されていく。課題１「殺人鬼から逃げなさい」では、生徒の半数が脱落。課題２「新入生を壊しなさい」、課題３「潜んでいる犯人役を処分せよ」、現在進行中の課題４「絶対服従の人間すごろく」など過酷な課題が襲いかかる。さまざまな心理戦が繰り広げられる中、夕日たちは学園からの脱出を試みようとする。

掲載誌は小中学生向け少女マンガ誌・なかよし（講談社）であるにも関わらず、大人のマンガ読みからも問い合わせが殺到。東京大学漫画調査班TMRも、単行本の帯に推薦文を寄せた。

東京大学漫画調査班TMRも唸った！

理屈っぽい作風なので、サスペンスが合うのではと

──デスゲームを描く「出口ゼロ」は小中学生向けのなかよし連載では異端な作品だと思いますが、まずは連載の経緯から教えていただければ。

サスペンスは昔から描きたかったんです。私の作品は結構理屈っぽいので、サスペンスならその作風が合うんじゃないかなと思っていて。世の中を皮肉った、ちょっと曲がった考えも描きたかったですし（笑）。

──前作の「非科学常識ケータイくん！」は擬人化コメディだったので、ガラッと作風が変わりましたね。

そうですね。あと私、ビジュアル系のファッションがすごく好きなので、こういったテイストのキャラクターを描くのは本当に楽しいです。

──ああ、確かに「出口ゼロ」のキャラクターも、ビジュアル系っぽいファッションが多いです。制服もそうですし。

制服は読者さんにコスプレしてもらえたらいいなと思ってデザインしました。写真を送ってくださる方もいて、励みになります。日々の糧にするので（笑）、どんどん送ってほしいですね。いつもコミケでコスプレしてもらえるようなキャラクターを描きたいって思ってます。

──「出口ゼロ」はデスゲームものなので、人がどんどん消されていきますけど、なかよしでどこまでやってもOKかという線引きは、どのへんにあるんでしょうか？

うーん……グロシーンはNGかもしれないです。モツはダメっていうか（笑）。

──表現がリアルすぎるとNGなんですね。

そうそう。人が死ぬのも避けています。もしかしたら生きてるかもしれないという逃げ場を残すようにして。「出口ゼロ」の怖さは殺されることよりも、例えば信じていた仲間が演技で自分を攻撃しているのか、それとも本気なのか分からない疑心暗鬼にもありますし、演技のためなら自我を失うこともよしとすることや、それに慣れていくといつの間にか洗脳されているというところにもあります。死ぬよりも怖いことはいっぱいあるので、そういうところで恐怖を演出できればと思ってます。

──なるほど。ほかに気を付けていることはありますか？

あ、目は絶対にキラキラ！ 暗い話も絵がかわいければ小学生も読めると思うので、目を小さくならないように気をつけています。青年誌や少年誌の女の子もかわいいけど、ここまで目をキュルンとは描かないじゃないですか。

──ええ、これはやはりなかよしとか、少女マンガならではのかわいさですよね。

そうなんです。毎回この目だけは変えないようにしてます。たとえ大きすぎると言われても、私は大きめが好きです。私、顔からはみ出したこともあるくらいで、小学生の子から「目がはみ出してますよ。これくらいに直してみてはいかがでしょうか」っていうお手紙もらったことあります（笑）。

──ははは（笑）。小学生は正直ですから。

それでも大きい目が好きです。だからこそなかよしを選んだので。