コミックナタリー PowerPush - COMIC it

恋愛だけのマンガじゃ物足りない 大人オタク女子のための新マガジン

恋愛ではない、絶妙な関係に萌える女子もいっぱいいる

──大人の男の人が活躍する、という意味ではボーイズラブもありますよね。

雪広 BLって話の中心はやっぱり名前の通り恋愛ですよね。でもそうではないものを読みたいとき、描きたいときってあるじゃないですか。

たらちね うんうん、そうですよね。

雪広 これは3次元の話になるんですけど、ハリウッド映画や海外ドラマに「ブロマンス」というジャンルがありまして。恋愛には発展しないけど、精神的な繋がりの深い男性同士の人間関係を描く作品のことなんですけど、あれはおそらく大人オタク女子もターゲットに入れてるんでしょうね。

たらちね 最近のドラマだと「SHERLOCK」とかですかね?

COMIC itの連載作にもバディものは多数。画像は左が中川イツキ「ダブルレッドライン」、右が墨田モト「線上の犬」。

雪広 そうそう。ハリウッド映画だったら「スター・トレック」とか「X-メン」の最新シリーズ、海外ドラマだと「SUITS/スーツ」や「ホワイトカラー」等々、男同士のバディものがすごく増えていて日本でもウケてる。恋愛対象は異性なんだけど、男友達にも友情以上の感情があって、でも恋愛関係にはならない、絶妙な関係に萌える女子がいっぱいいるんです。そういう女性って、そこに恋愛は求めていないと思うんですよ。恋愛モノだと思いが通じたらそこで話が終わることも多いので。そうではない永続的に話が続く男同士のものを見たいときもあるわけですよ。

たらちね 見た後に友達と「あれってホモだったよね?」とか、妄想話するのがまた楽しいですよね……!

雪広 オタクの妄想力はすごいからね。妄想力を養った挙句の大人オタク女子ですね(笑)。

「2次創作なんて良くないことだ!」と思い込んでいて

──では大人オタク女子になるに至った、おふたりのオタク遍歴をお聞きしたいのですが、子供のころはどんな作品を読んでいたんですか?

雪広 私は姉の影響でちょっと趣味が古くて。吉田秋生さんの「カリフォルニア物語」「河よりも長くゆるやかに」とか、あの辺りの作品が好きでした。あと萩尾望都さんの初期作品や木原敏江さんの「摩利と新吾」とか、70年代の作品に特にハマってました。

たらちね 私は種村有菜さんですかね。

雪広 若者だ!(笑)

たらちね でも、中学のころはマンガを読むってことが、おおっぴらに言うのがなんだか恥ずかしくて……! 実はあんまり読んでなかったんですよ。

雪広 友達と回し読みとかもしなかったんですか?

たらちねジョンが描く「グッドナイト、アイラブユー」。

たらちね そのころは、「マンガ読む人はオタクだ!」みたいな気持ちがあって。でも結局は、今ドオタクになっちゃってますが……! その当時は思春期で、気取ってたんですね(笑)。

──そうすると、2次創作を知るのはもっと大人になってからですか?

たらちね 私は高校のときですかね……。それまでは実は「2次創作なんて良くないことだ!」となぜか思い込んでいて。ただ絵を描くのは好きだったので、高校で美術科に進んだんですけど、そしたらみんな普通にマンガ読んでいるし、イラストやマンガサイトを作ってる子とかもいて。それまでの思い込みはなんだったんだろう……ってなりました。

雪広 ネット世代だもんね。

たらちね 私「らんま1/2」が大好きで、連載が終わったとき死ぬほどショックで、悲しくて泣いてたんですけど……。

雪広 (笑)。

たらちね でも2次創作でなら続きが読めるから、「こんな素晴らしい文化あるんだ!」とすごく感動しました。それから色んなサイトとかを見て、驚きの連続でしたね。プロじゃないのに世の中にこんなに絵が上手い人がいるのかと。雪広さんは何がきっかけで知ったんですか?

雪広 姉が詳しかったので、2次創作自体は中学生ぐらいのころから知ってました。でも当時はオタクがオープンな時代じゃなかったので、ずっと隠れ腐女子みたいな状態で。バレバレでしたけど(笑)。実際にちゃんと同人をやり始めたのは大学のころですね。

たらちね ジャンルはなんだったんですか?

雪広 「ロード・オブ・ザ・リング」でした。どちらかと言うと2次元より3次元派なんですよね。映画から入って、原作小説を読んでさらにハマって。小説だと映画では描かれていないキャラクターの描写がいっぱいあるので、どんどん妄想が膨らんで、同人誌描いたり買いあさったりして……。そして今に至る感じです。

COMIC it vol.1 / 2015年2月14日発売 / 540円 / KADOKAWA アスキー・メディアワークス
COMIC it vol.1
新連載作家陣
  • 茜田千「さらば、佳き日」
  • oimo「オゲハ」
  • 墨田モト「線上の犬」
  • たらちねジョン「グッドナイト、アイラブユー」
  • 中川イツキ「ダブルレッドライン」
  • 中条亮「ドージン活動、はじめました!?」
  • 藤谷陽子「ひそひそ-silent voice-」
  • 雪広うたこ/企画原案:武蔵野ぜん子「少年王女」
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雪広うたこ(ユキヒロウタコ)
雪広うたこ

11月26日生まれ。代表作に月刊シルフ(KADOKAWA アスキー・メディアワークス)で連載された「うたの☆プリンスさまっ♪」のコミカライズなど。ゼロサム(一迅社)で連載されている、高殿円原作による「魔界王子 devils and realist」は2013年にアニメ化されている。

たらちねジョン
たらちねジョン

1月20生まれ。別名義にたらつみジョンがあり、BABY(ふゅーじょんぷろだくと)などでも活躍している。COMIC it vol.1より、初の少女マンガ「グッドナイト、アイラブユー」を連載開始。