コミックナタリー Power Push - アニメ「コメット・ルシファー」シリーズディレクター中山敦史×コミカライズ担当chisato対談
懐かしさ溢れる本格ジュブナイルSF アニメの見どころを4コマ作家が取材
「IS〈インフィニット・ストラトス〉」「ヤマノススメ」などヒット作を生み出してきたエイトビットによる新作アニメ「コメット・ルシファー」の放映がスタートした。原作付きタイトルのアニメ化で実績を獲得したスタジオが挑戦する、初のオリジナル作品だ。
コミックナタリーでは、月刊ブシロード(KADOKAWA)にて今作の4コマ化を手がけているchisatoとともにスタジオを来訪し、アニメのシリーズディレクターを務める中山敦史を取材。オリジナル作品ならではの凝った設定をマンガに生かそうとする、コミカライズ作家の視点から同作の見どころを聞き出してもらった。
取材・文 / 木村早苗
「コメット・ルシファー」あらすじ
舞台は、青く輝く鉱石ギフトジウムに大地が覆われた惑星ギフト。主人公の少年ソウゴ・アマギは、ギフトジウム採掘で栄える街、ガーデン・インディゴで趣味の鉱石集めをしながら暮らしていた。
ある日ソウゴは同級生のカオン、ロマン、オットたちが引き起こした騒動に巻き込まれ、鉱山跡深くの地底湖へと迷い込み、そこで不思議な少女フェリアと出会う。……風にそよぐ青い髪、まっすぐに見つめる赤い瞳。いったい彼女は何者で、この出会いはソウゴに何をもたらすのか。2人の出会いから冒険の物語は幕を開ける。
登場キャラクター
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- ソウゴ・アマギ
- ガーデン・インディゴに住む14歳の少年。幼くして両親を亡くし、現在はド・モンの家に下宿している。母親がギフトジウム研究者であったせいか、大の鉱石好き。
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- フェリア
- ガーデン・インディゴの最下層でソウゴが出会った謎の少女。
シリーズディレクター中山敦史×コミカライズ担当chisato対談
懐かしさと新しさのバランスが取れた世界観
──コミカライズを担当されているchisatoさんと、シリーズディレクターの中山さん、今日はおふたりのお話からアニメの魅力に迫っていければと思います。マンガの第1話を拝見したのですが、中山さんはコミカライズの監修もされているんですか?
中山 ええ。アニメとの擦り合わせが必要なときにネームを拝見し、設定の細部を確認したりする程度ですが。オリジナルアニメだけに、設定などがキモになる部分がありますからね。
──なるほど。「コメット・ルシファー」はエイトビット初のオリジナルアニメということで、まず企画が立ち上がった経緯を伺いたいのですが。
中山 バンダイビジュアルさんとシリーズ構成担当の野村祐一さんが原案を出されたのが最初ですね。地球外の星を舞台に、昔のアニメのような懐かしさのある話にしたいと。そこからファンタジーと近未来を足したキャラクターや物語になったんです。
chisato 背景を見ると中世っぽい雰囲気もありますが、世界観はどんな風に考えられたんですか?
中山 その成り立ちが話の根幹に関わるところもあるので詳しくは言えないんですが(笑)、例えば、主人公のソウゴたちが住む街は、現代のリスボンやポルトガルやスペイン、イタリアなどヨーロッパの街並みをモデルにしています。
chisato やっぱり! フィレンツェの「幸せの金のイノシシ像」が出てきていたので懐かしいなと思ってたんです。ヨーロッパ旅行のときに見た、私の憧れの街並みが詰まっていると感じて。
中山 それはよかった。ほかにも、坂の街の雰囲気とかもそうですね。でも実はこれ、この星固有のものではなく、ヨーロッパの街並みを模して作られたという設定です。言い換えれば、地球の文化や情報を持ち込んでいる、という世界観なので、違う街に移動するとそこはまた別の文化圏の街並みになります。中東や砂漠の中のオアシス地帯のような場所もありますし。ロードムービーのような展開を予定しているので、いろんな街並みが登場しますよ。
──物語の舞台になっている「惑星ギフト」は地球外の星で、私たちの知らない文化が多数登場する異世界です。そういった非日常の部分と、「懐かしい」という感覚の同居が新鮮でした。
中山 異世界の印象をもっとも与える要素が、この星にしかないギフトジウムという石です。この石が惑星ギフトではすべての動力源になっているんですよ。なので電車や車、原付バイク風のクイッカーボードといった乗り物は、外見は我々の日常にあるものと大差ないけれど空中を浮いて進んだりする。背景も、別の惑星だけど景色はヨーロッパに似ていたり。そういう既知と未知の要素の組み合わせが、非日常の世界観に「懐かしい」という印象を与えているのかと。
chisato 古いタイプの車も走ってますよね。
中山 新しいものの中に古いものが混じるというのは、この星の中でも過去から現代への時系列がちゃんとあるという証明ですね。
chisato クイッカーボード、楽しそうでいいですよねー。乗りたくなります。思わずマンガのほうでも、ちょこっとだけ出しちゃいました。
中山 設定をうまく生かしてくださってうれしいです。ありがとうございます。
chisato いえいえ。やっぱり作品の持つ、この世界観を読者さんにきちんと紹介したいし、わかってほしいですから!
放送情報
- TOKYO MX:毎週日曜22:30~
- KBS京都:毎週日曜23:00~
- サンテレビ:毎週火曜24:00~
- BS11:毎週火曜24:00~
chisato(チサト)
「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 3シリーズ」(日本コロンビア)のジャケットを担当。そのほかカードゲーム、ソーシャルゲームなどのイラストで活躍中。
中山敦史(ナカヤマアツシ)
エイトビット初のオリジナルアニメ「コメット・ルシファー」でシリーズディレクターを担当。監督の菊地康仁を支える。