アニメ「デブとラブと過ちと!」遠藤綾&内田雄馬が読み解く「ただのラブコメじゃない」理由 (2/2)

初レギュラー作品では、遠藤さんの演じるキャラに恋をしている設定だったんです(内田)

──アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?

遠藤 毎回ほぼ同じメンバーが集まって、座る位置も自然に決まっていて。みんなと他愛もない話をして過ごしていましたね。私の隣にはよく(玉井咲役の)鬼頭明里ちゃんが座ってくれて、たくさん話した記憶があります。共演経験がある方も多かったので、自然体で過ごすことができました。

遠藤綾

遠藤綾

内田 和気あいあいとしていましたよね。実は僕は、夢子と掛け合う機会が多い役なので、毎回遠藤さんの近くに座ることを勝手に意識していました。もしかしたらちょっと気持ち悪かったかもしれないけど……(笑)。

遠藤 そうだったんだ! 「隣に座ってもいいですか?」って聞いてくれたらよかったのに(笑)。確かにだいたい、雄馬くんは隣にいたね。時々タイミングがずれると、谷川(役の千葉翔也)くんにイスを取られちゃってたけど(笑)。

内田 あはは! 千葉くんに座られちゃったときは、もう端っこにいました(笑)。些細なことだけど、会社を舞台としている作品だからリアルだし、そういう現場での距離感や空気感も生きてくると思ったんですよね。

内田雄馬

内田雄馬

──おふたりは今年4月から同じ事務所(インテンション)所属になったので、放送前にある意味“同僚”のような存在になったことも奇遇ですね。

遠藤 アフレコの時点では別の事務所だったんですけどね。確かになんだか不思議です。

──さまざまな作品で共演してきましたが、ここまでガッツリと相手役を演じたのは初めてですか?

内田 そうですね。ただ、僕は「ガンダムビルドファイターズ トライ」が人生で初めてレギュラー出演した作品なんですが、そこで演じたユウマという役は、遠藤さんが演じているミライに恋をしている設定だったんですよ。

遠藤 ああ、そうだ! ミライが少し年上のお姉さんだったんだよね。

内田 はい。普段はすましているのに、ユウマはミライの前でだけいい顔をするんです(笑)。めちゃくちゃかわいい子でしたけどね。そんな過去もあったから、今回遠藤さんが演じるヒロインの相手役をできることがとてもうれしかったです。

雄馬くんがここまで物腰柔らかい役を演じるのは、初めて見たかもしれない(遠藤)

──こうして「デブとラブと過ちと!」で共演してみて、お互いに新たに発見したことは何かありましたか?

遠藤 うーん……私がご一緒するときの雄馬くんって、不器用さが前面に出るような役が多かった気がするので、ここまで物腰が柔らかい役は初めて見たかもしれない。

内田 確かに、これまではツンツンしているキャラクターが多かったかもしれないですね。遠藤さんとご一緒するときは学生役も多かったけど、社会人で大人な結城は新鮮かも。

TVアニメ「デブとラブと過ちと!」より、結城。

TVアニメ「デブとラブと過ちと!」より、結城。

遠藤 初めて雄馬くんに会ったとき、若いのに声がしっかりしている人だと感じて。年齢を重ねたらどういう役をやるんだろうと思っていたんだけど……。副社長を演じるまでになっちゃって!

内田 11年経って、ついに副社長に(笑)。

遠藤 私に憧れる役から、逆に憧れられる役に。そんな変化も、声優の面白いところだなと思います。

内田 本当にこういう形でご一緒できてうれしいです。初めてお会いしたときから、遠藤さんにはずっと安心感を感じていました。だからこそ夢子がポジティブなことを言うと、さらにパーン!と自分の中に響いて、気持ちよかったんですよね。収録が毎回すごく楽しかったです。

TVアニメ「デブとラブと過ちと!」より。

TVアニメ「デブとラブと過ちと!」より。

「両方合わせて夢子だ」という肯定の気持ちを描きたかった(内田)

──内田さんはエンディングテーマ「私でよかった!!!」も担当しています。ロックサウンドに乗せて、勇気を与えてくれるような楽曲になっていますね。

内田 「私でよかった!!!」というタイトルは、原作のセリフから取らせていただきました。ネガティブだった記憶喪失前も間違いなく夢子だし、ポジティブになってからの夢子にも、その頃の経験が息づいている。「両方合わせて夢子だ」という肯定の気持ちを描きたいと思いました。「違う人間に生まれ変わりたい」と感じている人も多いかもしれないけど、過去も含めて自分だし、その経験があるからこそ、もっといい自分に変えていけるかもしれない。「今の自分を認めてあげて、もっといい自分になっていこう」というメッセージを込めました。

内田雄馬

内田雄馬

遠藤 私はタイトルが本当に大好きです。「私でよかったんだ!」と思わせてもらえるし、なんだか泣けてきちゃうくらい。ライブで「次は『私でよかった!!!』です!」って曲紹介するときも、言うたびにパワーをもらえそう。なんせ、ビックリマークが3つもありますからね。

内田 そこはこだわったポイントです。「絶対、勢いよく3つくらいあったほうがいいよ!」とアピールしました(笑)。

遠藤 本当に作品にぴったりな1曲だと思います。カッコいいし、かわいい。毎週のオンエアをさわやかに締めくくってくれそう。

遠藤綾

遠藤綾

内田 ありがとうございます。僕がエンディングテーマを担当させていただくときはいつも、「エンディングは来週に向けてのオープニングだ」という気持ちで臨んでいるんです。1週間後の次回のエピソードが楽しみになることを意識して作っていくことが多いですね。ポジティブなパワーが、聴いてくれた人に届いたらうれしいです。

──最後に一言ずつ、アニメ放送開始を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。

内田 夢子のポジティブなメッセージが胸を熱くしてくれる作品です。事件の真相に迫ったり、各々のキャラクターのコンプレックスを掘り下げたり、そのほかにも見どころがたくさんあるので、ぜひ夢子のポジティブパワーを全身で浴びて、元気になってもらえたらうれしいです。

遠藤 「デブとラブと過ちと!」と言うタイトルの通り、内容が盛りだくさんですが、何より夢子ちゃんの一挙手一投足が本当に可愛らしいんです。こんな人はなかなか周りにいないなって。でも、一歩踏み出してみたり、心の中で思っていることを口に出したりすることで誰しも夢子になれる可能性がある。勇気をもらえる作品なので、背中をバーンと押してもらいたい人はぜひ、第1話からご覧ください!

左から遠藤綾、内田雄馬

左から遠藤綾、内田雄馬

プロフィール

遠藤綾(エンドウアヤ)

2月17日生まれ、山形県出身。インテンション所属。主な出演作に「地獄先生ぬ~べ~」(高橋律子役)、「おそ松さん」(トト子役)、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(カトレア・ボードレール役)、「銀河英雄伝説 Die Neue These」(フレデリカ・グリーンヒル役)、「マクロスF(フロンティア)」(シェリル・ノーム役)、「らき☆すた」(高良みゆき役)などがある。

内田雄馬(ウチダユウマ)

9月21日生まれ、東京都出身。インテンション所属。主な出演作に「呪術廻戦」(伏黒恵役)、「メダリスト」(夜鷹純)、「WIND BREAKER」(桜遥役)、「シャングリラ・フロンティア」(サンラク/陽務楽郎役)、「MFゴースト」(片桐夏向役)、「BANANA FISH」(アッシュ・リンクス役)などがある。2018年5月に1stシングル「NEW WORLD」でアーティストデビュー。2025年10月3日に、デジタルシングル「私でよかった!!!」がリリースされる。