TVアニメ「エパリダ」×「魔神創造伝ワタル」|アニメ業界を世界(EXILE / FANTASTICS)が席巻!? 「アニメ仕事は死ぬまでやっていたい」

1月に放送がスタートする「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」と「魔神創造伝ワタル」。「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」は5年間在籍したAランクパーティに嫌気が差し離脱した実力派赤魔道士・ユークと駆け出しパーティによる物語。“追放”ではなく“離脱”した主人公を軸に、ファンタジー要素にダンジョン攻略の配信というスパイスが加わったストーリーが展開される。一方の「魔神創造伝ワタル」は1988年から続く「魔神英雄伝ワタル」のDNAを受け継ぐ「ワタル」シリーズ最新作。今や子供が憧れる職業の定番となった動画配信者、そしてサンドボックスビデオゲームの要素を取り入れつつ、異世界、龍神丸などこれまでのシリーズのベースを引き継いでいる。小学生の主人公・星部ワタルの決めセリフ「秒でBANだぜ!」、ラスボスのエンジョーダなど動画配信に関連したユニークな用語にも注目だ。

「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」「魔神創造伝ワタル」の共通点はファンタジー、配信、そして世界(EXILE / FANTASTICS)。コミックナタリーでは同一クールのアニメ2作品に声優、主題歌アーティストとして関わるアニメ好きの世界にインタビューを実施し、最近のアニメ仕事のこと、ダンサー視点で見るアニメのダンスについて、両作品の感想などを語ってもらった。

取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 武田真和

アニメ仕事は死ぬまでやっていたい

──今回、世界さんは同一クールで放送される「魔神創造伝ワタル」と「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」の2作品に関わっているということで……。

そうですね。唯一無二ですよね。

──方や主題歌アーティストとして、方や声優としてですから、本業がダンサーであることを考えると本当に唯一無二だと思います。

ははは、ありがたいです。

世界

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──そんなふうに、近年はアニメ関連のお仕事が順調に増えていますよね。「世界さんといえばアニメ」のイメージがすっかり定着した感があります。

でも、どの現場に行っても緊張しかしてないですね。必死です、はい。

──それはやはりアニメが大好きで、なおかつ本来は門外漢であるという意識から来る緊張ですか?

そうですね。失礼のないようにというか。ただあんまり萎縮しすぎてもよくないですし、ありがたいことに温かい雰囲気の現場に参加させてもらうことが多いんで、やりやすいなという思いはあります。

──アニメ絡みの仕事は今後も可能な限りやっていきたい?

自分の中では「死ぬまでやっていたい」という思いはあります。細々とでも携われるだけでありがたいし、自分の好きなものをずっと仕事にしていけたら本望です。

──例えば声優や主題歌以外で、「まだここやってないな」「やってみたいな」というアニメ仕事は何かあったりしますか?

ダンスを題材にしたアニメ作品の監修とかはやってみたいですね。一度そういう話が出たこともあるにはあるんですけど、今のところまだ実現していないので。

世界
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──なるほど。たしかにそれは今すぐにでもありそうなお話ですね。

あとは普通に、ダンサーのキャラクターを演じてみたいっていうのもあります。なんならモーションキャプチャーも同時に担当したい。

──それもまさに世界さんならではの仕事ですね。モーションアクターと声優を兼任できる人なんて、そう多くはないでしょうから。

それこそ森田成一さんくらいしか思いつかないですよね。でも今は歌って踊れる声優さんがたくさんいるんで、アイドルものとは違うダンスアニメをやっても面白いんじゃないかなと思ったりもします。ベテランの方は嫌がるかもしれないけど(笑)。「踊れないよ!」って。

──でもそれはリアルイベント展開まで見えますし、面白そうですね。劇中のダンスを実際にキャストがガチで踊るみたいな……やる側は大変でしょうけど(笑)。

声優さんたちが歌って踊るイベントはたくさんありますけど、歌わずに踊るものもあっていいですよね。そんな感じで、まだまだアニメ業界でやってみたいことはいっぱいありますよ。

「石破ラブラブ天驚拳」は社交ダンスっぽい

──「魔神創造伝ワタル」では、FANTASTICSとしてエンディング主題歌を担当されたほか、エンディング映像でキャラクターたちが踊るダンスの振付も世界さんが手がけられたそうですね。

キャラクターが踊る振りを考えるっていうのはこれが初めてだと思います。「魔神英雄伝ワタル」シリーズには明るくコミカルなイメージがありますけど、今回の楽曲もその明るさを踏まえつつ、お洒落さも混じった感じだったので、振りはすごく作りやすかったです。「ああ、やっぱりこの感じだよね」って。

世界

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──振付のポイントは?

「自分が子供の頃に観たとして印象に残る振りかどうか」はけっこう意識して作りました。最近はキッズのみんなもSNSとかで踊る機会が多いですし、みんなで踊れて楽しい振りにしようというのは考えましたね。

──アニメのオープニングやエンディングでキャラクターが踊る文化は昔からずっとありますが、それを世界さんはダンサー目線でどんなふうに見てきましたか?

いや、「こんな動きできないよ!」って(笑)。

──わははは(笑)。

「めっちゃ高速で動くじゃん!」とか「このキレ欲しいわー」とか、アニメならではの面白さを感じてましたね。制作の皆さんの遊び心が垣間見える部分でもあるし、ダンスだけやっている人間には思いつかないような振りも出てきたりするんで。ダンスの理屈ありきではなくて「このキャラクターがこう動いたら面白い」という思想が優先されるから、その自由な発想は勉強になることも多いです。

──なるほど。特に印象に残っているアニメダンスを挙げるとすると?

「ケロロ軍曹」の最初のエンディングがぶっ飛びすぎてて(笑)、あれは衝撃的でしたね。ダンス☆マンさんの「アフロ軍曹」って曲なんですけど、「なんだこれは!?」と思って観てました。あとはオープニングやエンディングではないですけど「ダーティペア」も印象に残ってます。「Gガン」(「機動武闘伝Gガンダム」)とかもそうですかね。「石破ラブラブ天驚拳」とか、社交ダンスっぽいなと思って観てた記憶があります。「このキャラクターがこんなダンスするんだ?」っていう、意外性のあるものがやっぱり印象に残ってますね。

世界
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「秒でBANだぜ!」が流行ってほしい

──「ワタル」の話に戻りますが、シリーズはもともとご覧になっていましたか?

はい。最初の2作(「魔神英雄伝ワタル」「魔神英雄伝ワタル2」)は僕が生まれる前の作品なんですけど、ビデオで観たり、先輩の話で聞いたりはしていて。作品自体はずっと知っていました。

──そんな世界さんから見て、設定やキャラクターが一新された今回の新作「魔神創造伝ワタル」の印象はいかがですか?

めちゃめちゃ「ワタル」してて面白かったです。DNAがきちんと継承されている感じ。まだ1話と2話しか観てないんですけど、「これ声優さんのアドリブだろうな」と感じる部分が随所にあって、そういうところからも昭和のアニメのよさみたいなものを受け継いでいる感じがしてよかったです。僕ははじめのシリーズをリアルタイムでは観られなかった世代なんで、今の子供たちがちょっとうらやましいですね。これを日曜日の夕方5時半に観られるのはいいなあと。

「魔神創造伝ワタル」キービジュアル

「魔神創造伝ワタル」キービジュアル

──特にどういうところが子供たちに刺さりそうですか?

主人公・ワタルの天真爛漫でまっすぐな感じ、行き当たりばったりでも状況を打破していく痛快さはすぐに伝わると思います。ワタルの口グセが流行ってほしいですよね。「秒でBANだぜ!」とか(笑)。

──(笑)。たしかに小学生が言いたくなるフレーズかもしれません。

少し過激なワードではあるんですけど、そういうちょっと怒られそうな言葉って小学生男子はみんな好きじゃないですか。その「秒でBAN」と、あまり子供が言わなそうな「義理人情」とかも流行ってほしい(笑)。それで言うと、「リューチューバー」ってワードは個人的にすごいなと思ったんですよ。「YouTuber」というみんなが知っている単語に「龍」を掛けた、ワタルにピッタリな言葉が出てきたんで、うまいなー!と。思いつきそうで思いつかないところを突いてきたなと思って。

主人公の星部ワタル。リューチューバー(動画配信者)としてスーパースターになることを目指している少年。異世界に迷い込み、世界を救う救世主として期待されている。

主人公の星部ワタル。リューチューバー(動画配信者)としてスーパースターになることを目指している少年。異世界に迷い込み、世界を救う救世主として期待されている。

──おっしゃる通りですね。今の子供たちの興味と、伝統的な「ワタル」の世界観を見事に融合したワードというか。

空間にブロックを生成できる世界観なんかも某ゲームに酷似しているというか(笑)、今の小学生にぶっ刺さる要素が多い。当時の「ワタル」を観ていた人たちは今40代から50代の方が多いと思うんですけど、たぶんその人たちも観たらハマる気がしますね。アニメ作品としての本質は変わってないので。

──表面的な形は変わっていても、ゲームなどのカルチャーに熱中する気持ちはどの時代も同じですからね。

だから親子で観てもらったら、より楽しいんじゃないかと思いますよ。それによって親子の会話が増えたりしたらうれしいですね。子供に付き合って観たお父さんが某ゲームにハマったりとかもありそうだし……ゲーム内で龍神丸作る人、絶対出てくると思うんですよ。

ワタルがブロックで創ったロボットに、龍神の魂が宿って生まれた魔神・龍神丸。

ワタルがブロックで創ったロボットに、龍神の魂が宿って生まれた魔神・龍神丸。

──間違いなく多くの人がやるでしょうね。

逆に、子供たちがこれをきっかけに「英雄伝の『ワタル』を観てみたい」と思ってくれたりとか、いい意味での逆転現象が起こったらすごくいいですよね。