コミックナタリー Power Push -「ACCA13区監察課」
下野紘×津田健次郎
やり遂げた先に見えた、実は素直な悪友2人
「いい作品じゃないか……!」
──全話を通して、特に印象に残っているエピソードを教えていただけますか。
下野 いろいろありすぎて難しいですが……僕としては、さっきも話したジーンとニーノの病室のシーンですかね。ジーンが怒りを露わにする場面ってあそこだけなんですよ。「確かにそうだよな、ジーンが怒る理由もわかるけど」と思いつつ、少し不思議な感じもしたんです。怒ってはいるけど声を張り上げるわけではなく、でも気持ち的には沸々と煮えたぎっているという感覚があって……。演じていて印象に残るシーンでしたね。
津田 僕は雪の玉が売られているお菓子屋さんで、国王と相席するシーン。国王にお礼を言われて「……もったいないお言葉」と返すあのセリフで、ニーノを演じるうえでのさじ加減と言いますか、確信めいたものを掴んだ感覚がありました。それまでにもそう感じるポイントはあったんですけど、どこまで感情を出していくか、加減が難しい作品だなと思っていたので、その感覚が体にちゃんと落ちたのがあの場面でした。そこから物語はジェットコースターのように進んでいって、ニーノとしては病室のところで着地する。そういう流れがあったので、あそこで掴むことができてよかったなと思います。
国王とのひととき
津田 あとはジーンとの何気ない会話や、ロッタとのおやつのシーンも印象的でしたね。ジーンとの会話は1つひとつが、実は割と深いものだったり、一方のロッタとはあったかい会話のやりとりがあって。そういった掛け合いを2人と演じられたのはすごく楽しかったです。
下野 僕はリハーサルビデオをチェックしていて、個人的に「うわあ、素敵」って思ったシーンがあって。最終話のラストでジーンが「どうせ1人で飲んでたら、悪友がふらっと姿を見せるから」って言ったところで「♪テレレ~」ってエンディング曲が流れるシーンが、もうね、あそこは観ていて「おお……! 俺、これ、好き……!」って思いました(笑)。なんだろう、若干昭和な香りがするんですよ。
津田 ああ、いい意味でちょっと懐かしい感じがあるよね。
下野 そう、懐かしい雰囲気があるんですよ。俺はあのシーンが本当に好きです。音楽が流れた瞬間に「うおお……!」って興奮しました。
津田 「いい作品じゃないか……!」って。
下野 「いい作品じゃないか……!」と思いました(笑)。
いくつものコンビの妙が描かれる「ACCA」
下野 ロッタ、レイル、オウルのやりとりも好きでしたね。
津田 かわいらしいよね。
──レイルがロッタのために用意したケーキを、ロッタはお兄ちゃんのためだと思ったり、レイルはいいところをオウルに取られて悔しがったり、ちょっとしたすれ違いがかわいらしい3人でした。
下野 そうそう。あとはシュヴァーンとマギーとか。
津田 この2人は全然会話が噛み合ってなかったよね(笑)。マギーは本当に人の話を聞かないなって(笑)。
下野 聞かないし、聞いたと思ったら黙るし。
津田 面白いキャラだったよね(笑)。
下野 いいキャラでした。シュヴァーンとマギーのコンビは本当ににぎやかでした(笑)。
マギーは食パンに夢中
下野 それに比べて、ジーンとニーノのコンビはすごく静かだっていうのがよくわかります(笑)。
津田 「ACCA」っていろんなコンビが描かれていますよね。グロッシュラーとモーヴだったり、国王とクヴァルムだったり。グロッシュラーとリーリウムもそうですし。それぞれのコンビの妙みたいなのを感じて、それも面白かったですね。
下野 確かに。
津田 ポチャードは1人ですけどね。
──わざわざ名前を挙げますか(笑)。
津田 ポチャードは1人の魅力がありますから。
下野 うん。俺は好きですよ、ポチャード。
津田 ポチャードはいいキャラです(笑)。
原作の世界観を広げる色遣い
──前回のインタビューで、「第2話のモーヴとジーンがパン屋で会うシーンで、あんなにかわいらしい音楽が流れるとは思わなかったから衝撃を受けた」という話がありましたが、ほかにもマンガとアニメで印象が変わったシーンなどありましたか?
下野 第8話の回想のシーンは色遣いがすごく素敵だなって思いました。ニーノとお父さんのシーンや、ニーノとジーンの場面は明るくて温かみのある色合いで描かれていて。だけどお父さんが列車事故に遭った瞬間から真っ暗になって、絶望を感じさせる。あの色遣いは原作の世界観をさらに広げている印象がありました。
オータス兄妹を見守り続けたニーノ
津田 確かに。原作は白と黒で、光と影を意識させる作品だなと思うんですが、アニメーションはフルカラーなので当然印象は変わってきます。その中でも原作のよさを損なわずに、より強く表現されているのが素敵だなと思いました。
──音楽や色遣い以外に、声が入ったことによってマンガと印象が変わったキャラクターなどはいましたか?
下野 それはあんまりなかったですね。確かにキャストが発表されたときは「パスティスが緑川(光)さん……?」って意外に感じたりもしたんですけど、実際に演技を聞いたらなんの違和感もなくパスティスでした。
津田 緑川さんのパスティスは貴族感があるよね。どのキャストさんもみんなピッタリだなと思います。モーヴ役の田中敦子さんなんて、キャストが発表された瞬間に「もう、そうですよね」って思える説得力がありましたから。声を聴かなくても聴こえてくる感じがするくらい(笑)。
下野 津田さんなんて姿形までニーノですからね(笑)。毎週アフレコで会うたびに「わあ、今日もニーノみたいだわあ」って思ってましたよ。
津田 全身真っ黒だからね(笑)。
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テレビアニメ「ACCA13区監察課」
あらすじ
13の自治区に分かれた王国にある、巨大統一組織“ACCA(アッカ)”。かつてクーデターの危機により結成されたACCAは、国民の平和を守り続け100年が経とうとしていた。ACCA本部の監察課副課長 ジーン・オータスは、「もらいタバコのジーン」の異名をもつ、組織きっての食えない男。飄々とタバコを燻らせながら、13区を廻り不正がないか視察を行っている。そんなジーンを見つめる視線、不穏な噂と──おやつの時間。ジーンの平和な日常は、ゆっくりと世界の陰謀に巻き込まれていく!
- AbemaTV「新作TVアニメチャンネル」にて全話一挙放送
- 配信日時:2017年4月8日(土)16:00~
- 配信日時:2017年4月9日(日)12:00~
スタッフ
- 原作:オノ・ナツメ(掲載 月刊「ビッグガンガン」スクウェア・エニックス刊)
- 監督:夏目真悟
- シリーズ構成:鈴木智尋
- キャラクターデザイン:久貝典史
- 総作画監督:小田剛生、吉田奏子
- 衣装設定:榎戸駿
- 小物設定:五十嵐海
- 美術監督:吉岡誠子
- 色彩設計:橋本賢
- 撮影監督:伏原あかね
- 3D監督:籔田修平
- 編集:木村佳史子
- 音響監督:はたしょう二
- 音楽:高橋諒
- アニメーション制作:マッドハウス
キャスト
- ジーン・オータス:下野紘
- ニーノ:津田健次郎
- ロッタ:悠木碧
- グロッシュラー:諏訪部順一
- リーリウム:遊佐浩二
- スペード:大川透
- パスティス:緑川光
- パイン:安元洋貴
- モーヴ:田中敦子
- ポチャード:後藤ヒロキ
- オウル:上田燿司
- ノット:前野智昭
- レイル:八代拓
- シュヴァーン:宮野真守
- マギー:上村祐翔
- ファルケ2世:中尾隆聖
- クヴァルム:石塚運昇
©オノ・ナツメ/SQUARE ENIX・ACCA製作委員会
- 「ACCA13区監察課 1」 / 2017年4月21日発売 / バンダイビジュアル
- Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1225
- Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1225
- DVD BOX / 11880円 / BCBA-4830
- 「ACCA13区監察課 2」 / 2017年6月23日発売 / バンダイビジュアル
- Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1226
- DVD BOX / 11880円 / BCBA-4831
- 「ACCA13区監察課 3」 / 2017年8月29日発売 / バンダイビジュアル
- Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1227
- DVD BOX / 11880円 / BCBA-4832
- オノ・ナツメ「ACCA13区監察課」 1巻~6巻発売中 / スクウェア・エニックス
- コミック 637円 Kindle版 637円
- コミック 637円 Kindle版 637円
- コミック 637円 Kindle版 637円
- コミック 627円 Kindle版 627円
- コミック 637円 Kindle版 637円
- コミック 648円 Kindle版 648円
- オノ・ナツメ「ACCA13区監察課 P.S.」1巻 / 「ACCA13区監察課」番外編
- コミック 617円 / スクウェア・エニックス
- 月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)で連載中
下野紘(シモノヒロ)
東京都出身、4月21日生まれ。声優。2016年3月16日に発売されたシングル「リアル -REAL-」よりアーティスト活動も行っている。主な出演作は「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズ(来栖翔役)、「ベルセルク」(イシドロ役)、「弱虫ペダル NEW GENERATION」(鏑木一差役)など。
津田健次郎(ツダケンジロウ)
大阪府出身、6月11日生まれ。俳優、声優。主なアニメの出演作は「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」(海馬瀬人役)、「GANGSTA.」(ニコラス・ブラウン役)、「将国のアルタイル」(ルイ役)、吹き替えでは「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(パーシバル・グレイブス役)など。