「キングオブコント2009」大阪準決勝レポート
2009年9月1日 19:56 1
8月28日、大阪・松下IMPホールで「キングオブコント2009」の大阪準決勝戦が行われた。
大阪の準決勝には21組が登場し、MCの土肥ポン太の失笑確実のギャグとともに、熱戦を繰り広げた。
出場者のネタは下記の通り。
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行列のできるラーメン屋「宝来軒」のラーメンをインスタントにしたいと懇願する代理店の男と、断固拒否する店主とのやり取り。初代から味を守り続けている店主の頑なな心に仕方なくあきらめるも、サブ企画としてラーメンおにぎりやラーメンアイス、パチンコ台など、懲りずに依頼する代理店の男。そのどうしようもなさに、現代のビジネス残酷物語が垣間見られた。
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弟が好きな女性の告白にいてもたってもいられなくなり、死んだはずの兄が復活して手助けをするという内容。とはいえ、結局は混乱を招くだけで……。
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いつもは忙しい父親が、たまに子どもたちと過ごしてみたら、その“大人過ぎる実態”に衝撃を受けたという内容。
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現代にタイムスリップした侍がカリスマ美容院を訪れるが話はかみ合わず……というネタ。鰻の侍キャラがいい味を出していたが、規定の4分30秒以内にネタを収めることができず、オチまでたどり着くことができなかった。
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受験戦争の荒波に呑まれて、結局は頭がショートした学生のやり取り。全コント中もっともシュールな内容だった。
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吉本新喜劇の今別府と宮崎のコンビ。そんな彼らが繰り広げたのは、DVDレンタル屋でどの映画を見ようか迷っている青年と、青年に手を差し伸べる水野晴郎の間で繰り広げられるコント。今別府のあまりにも残念な感じのやるせなさが、存在感を放っていた。
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取調室で容疑者を調べている警部と、そんな彼をギャルの様にジャマをする記録係のやり取り。声がカン高いふたりのやり取りはネタ以上に彼らの印象を強くしていた。
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競馬の実況中継を半世紀していた老アナウンサーが、クビになったあともその座に固執し、ある大胆な手段で復活するという内容。西森演じる“老いてもなおプライドの高い男キャラ”が多くの笑いを誘っていた。
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UNOで遊ぶ子ども3人のありがちな光景が、徐々に3人の関係性が崩れていき、最後には狂った様相を呈するという演劇的コント。坊主の里重のキャラは多くの人の目に焼き付いたのでは。
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まるで一触即発、ケンカでも起こりそうな荒々しい口調の会社員二人の、実は礼儀正しくも熱い友情にあふれた関係を描いたギャップコント。シュール過ぎず、ベタ過ぎず、まさにいい塩梅の笑いで会場の空気をつかんでいた。
●プラスマイナス
電車に乗ったはいいが、独特の口調、声質の車掌に振り回される男の悪夢。兼光演じるなんとも言えない車掌に、見ていて妙な胸騒ぎを感じた人も多いのでは。
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八木扮するスーパーの店員に高橋少年が一方的に「助けられた」と言いながら恩返しするコント。しかし、恩返しの中味はどれもがうっとうしいもので、腹を立てさせることに関しては天下一品の高橋の才能が爆発していた。
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ちゃぶ台で食事をする夫婦。倦怠期かと思いきや、荒々しい口調とは裏腹にお互いのことを愛して愛してやまないというコント。しかし、最後に会場の誰もが予想し得なかった意外などんでん返しが。賛否両論だが、間違いなくこの日一番の“驚き笑い”を獲得していた。
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見た目はオタクか草食系という感じの転校生に興味を持った同級生が、実際に話しかけてみると抱いていたイメージが裏切られていくという内容。展開がこなれており、転校生キャラを演じる宮戸が良い“ウザイ感”をたっぷり出していた。
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宴会の合いの手として「フゥーフゥー」というかけ声を上げて生計を立てている男たちの話。母親が入院したことで「仕事を辞める」と言い出した社員。彼を激励すべく社長が一世一代の「フゥー」を連打するが……。
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甲子園の開会式でふざける選手の模様をコントに。サイレンのマネをしたり、選手宣誓をむちゃくちゃにする彼ら。果たして甲子園の結果やいかに。
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肩がぶつかった男たちのケンカ。しかし、ただのケンカではなく、ひん死の男性がイリュージョンマジックで反撃に出る。DIY感溢れる彼らのイリュージョンには会場から多くの拍手が送られていた。
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合唱部の生徒とクセのある女性顧問とのやり取りをコントに。課題曲「ルージュの伝言」を練習するが、顧問のマイペースぶりに振り回される生徒。やり取りだけでなく、顧問役の後藤のブサイクぶりにも多くの笑いが起きていた。
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「4」と「6」という数字に扮したコント。「休みを取りたい」と言った「5」のために、両隣の数字である彼らが対策を練るという不条理劇のような内容で異彩を放っていた。
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商品の検品のアルバイトに来た新入りと、仕事を教えるベテランとのやり取りをコントにした彼らの代表作。ティッシュペーパーを検品するという無間地獄のような仕事に何とも言えないオフビートなオチを付け、実力派芸人としての面目を示した。
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事故で島に取り残された3人の男女。ボートで助けが来るも、ボートには一人ずつしか乗れない。結果、次のボートを待つまで島には2人が残されるが、残された2人には何らかの因果関係が生まれ、怒濤の展開が繰り広げられる。演劇的な展開をわずか4分に凝縮する彼らの技量が光った。
既報の通り、大阪準決勝から決勝に進出したのはモンスターエンジンと天竺鼠の2組となった。決勝での彼らの活躍に期待しよう。
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