音楽ナタリー Power Push - つばさFly×野田剛史(WRONG SCALE, ember)×原昌和(the band apart)「Ray Of Hope」発売記念座談会"
より高く飛ぶために、ロック界とのコラボが生んだ新たな武器
WE LOVE RECORDSに移籍したつばさFlyが、6月7日にニューシングル「Ray Of Hope」をリリースする。
タイトル曲は野田剛史(WRONG SCALE, ember)がプロデュースとソングライティングを務め、原昌和(the band apart)がアレンジを担当。メンバーである鹿木香里が作詞を手がけた。さらに、演奏には野田と原に加え、柏倉隆史(toe, the HIATUS)が参加するという強力な布陣となっている。
グループとしてさらなる飛躍を遂げるべく生み出された本作のリリースに先駆け、音楽ナタリーではつばさFlyの鹿木香里と宮沢野乃香、プロデューサーの野田剛史、アレンジャーの原昌和による座談会をセッティング。制作にまつわるエピソードをじっくりと語ってもらった。また、座談会に参加していないつばさFlyのメンバー、神谷彩乃、藤井勇綺、相奈まいへの楽曲に関するメールインタビューも掲載する。
取材・文 / もりひでゆき インタビュー撮影 / 塚原孝顕
仙台のWRONG SCALEライブで楽曲提供を直談判
──野田さんがつばさFlyに楽曲提供することになった経緯を教えてください。
野田剛史 去年の夏に仙台でやったWRONG SCALEのライブに、鹿木さんとマネージャーの方がわざわざチケットを買って来てくれて。そこで「曲を書いてくれませんか」と言われたんですよ。普通は電話とかメールで依頼されることが多い中で、そんなふうに筋を通されたから、これは断れないなと。力になれるならと思って引き受けさせていただいたんです。
鹿木香里 私はもともと、WRONG SCALEのことが大好きなんですよ。だからライブを観に行けることが単純にうれしかったんですけど、事務所の社長には直接会って楽曲提供してもらうっていう狙いがあったみたいで。私としても、もし書いてもらえる可能性があるならということで、直接思いをストレートに伝えさせていただきました。
宮沢野乃香 実は香里が仙台に行った日の昼間、つばさFlyのライブがあったんですよ。だから物販の途中で1人だけ抜けなくちゃいけない状況だったんですけど、野田さんに楽曲提供してもらえることになればつばさFlyとしてワンステップ上がることができるはずだっていう社長の思いを聞いていたので、みんなで送り出したんですよね。このチャンスを絶対モノにしたいと思ったから。で、実際に書いていただけることになったので、メンバーみんなでめっちゃ喜びましたね。
野田 ただ、そういったやり取りをしたあとに全然連絡がなかったんで、俺もすっかり忘れてたんですよ。で、去年の末くらいにそういえばと思って連絡したら、「1月末くらいまでにお願いします」って言われて。「え、1カ月しかなくね?」みたいな(笑)。慌てて原くんに連絡しました。
──原さんにアレンジを頼んだ理由は?
野田 つばさFlyとしてワンステップ上がりたいっていうことを聞いていたから、なんか面白いことをしたいなと思って。そこで原のことがポンと浮かんだんですよね。ずっと仲良くしてもらってて、なんか一緒にやってみたいよねって話も前からしていたし。
原昌和 そうそう。一緒に絡めたらいいよねっつー話をしてたから。じゃあやろうかって感じで。
──その段階でお2人は、つばさFlyというグループにどんな印象を持っていました?
野田 曲提供の話をもらってから俺は1回ライブを観たんですけど、ものすごくライブ感のあるアーティストだなって思いました。
原 うん。アイドルだけどバンドっぽい雰囲気があるなとは俺も思った。昔のハードコアパンクのバンドじゃないけど、何が起こってもおかしくないようなスリリングさもあるし。あまりにも踊り狂ったがために血へど吐いてぶっ倒れると、客から「てめぇ、今立ち上がんなかったらそこらへん歩いているやつと一緒になるぞ!」って煽られそうな。
野田 何を言ってるの、おまえは?(笑)
原 そういうイメージを持ったっていうね、彼女たちに。
宮沢・鹿木 あはははは(笑)。
つばさFlyとして大きなチャレンジになる曲
──楽曲に関してはどんなイメージで制作していったんでしょう?
野田 仙台で最初に会ったとき、「どういう曲がいいの?」って聞いたら「メロコアがいいです!」って目をウルウルさせながら言ってたんですよ。
鹿木 はい(笑)。私の好きなロンスケ(WRONG SCALE)の曲も伝えさせてもらったりして。「こんなイメージで」みたいな。
野田 うん。その後、原と一緒に作業する段階で「メロコアかあ。んー」ってちょっと悩み(笑)。で、なんとなく速いビートを打ち込んで、自分がよく使うコードをパッと乗せるところから作っていったんだけど、結局メロコアじゃないものができちゃったっていうね。一応事前に聞いていたイメージにはなるべく近付けるように努力はしたんだけど。
原 アレンジもね、ロンスケをイメージできるようにとは思ったんですけど、最終的にはもうMegadethみたいにしちゃおうかなあって。
野田 あははは(笑)。まあ、そんな雰囲気になってるところもあるけど。アレンジは2人でやってたんだけど、後半はもう悪ノリですよね。自分が考えてた枠を超えた面白いことを、この人(原)がどんどん入れてくるんで。それが面白かったんですけど。
原 枠からはだいぶはみ出たよな(笑)。イントロは野田が好きそうな80'sのちょっと切ない感じで、ここからダンスクラシックスが始まるのかなと思いきやMegadethになって、Aメロでは90'sエモになり、BメロではQ And Not Uになるみたいな。景色がバツッバツッと変わる感じで。
──香里さんと野乃香さんは楽曲にどんな印象を受けました?
鹿木 今までのつばさFlyはラウド色が強かったんで、ここまでメロディラインがキレイな曲はほぼ初めてなんですよ。高い声で最初から跳ぶ感じで、サウンド面にも女の子っぽい要素が増えてますしね。ほんとイメージがガラッと変わって、新しい風が吹いたと思います。ちゃんと野田さん節が出てるところにも感動しましたし。
宮沢 光や希望に満ちあふれたようなすごくキレイな曲だったのでうれしさはもちろんあったんですけど、これはつばさFlyとして大きなチャレンジになるなって思いました。自分的にも非常に好きなタイプの曲なんだけど、「これを歌うとなると……」っていう部分では緊張したところも正直ありましたね。
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- つばさFly ニューシングル「Ray Of Hope」2016年6月7日発売 / WE LOVE RECORDS
- 「Ray Of Hope」
- 初回A盤[CD+DVD] 1944円 / WLR-1028
- 初回B盤[CD+DVD] 1944円 / WLR-1029
- 通常盤[CD] 1080円 / WLR-1030
初回A盤・初回B盤CD収録曲
- Ray Of Hope
- GLEANING
- タイトル未定
- タイトル未定
通常盤CD収録曲
- Ray Of Hope
- GLEANING
- タイトル未定
- Ray Of Hope -inst-
初回A盤DVD収録内容
- タイトル未定
初回B盤DVD収録内容
- タイトル未定
ライブ情報
つばさFly 全国ワンマンライブツアー "Shining Road 2016"
- 2016年5月14日(土)大阪府 新神楽
- 2016年5月15日(日)愛知県 DAYTRIVE
- 2016年5月21日(土)宮城県 PARK SQUARE
- 2016年5月22日(日)岩手県 盛岡club change
- 2016年6月5日(日)群馬県 GUNMA SUNBURST
- 2016年6月12日(日)東京都 下北沢GARDEN
5th Single「Ray Of Hope」予約イベント
- 2016年3月11日(金)東京都 ポニーキャニオン1階イベントスペース
つばさFly(ツバサフライ)
藤井勇綺、相奈まい、宮沢野乃香、鹿木香里、神谷彩乃の5人からなるアイドルグループ。2012年11月にBOAT RACE平和島のイベントステージで活動する“大田区応援アイドル”として結成され、2013年9月より現在の体制となる。2014年1月に初の全国流通シングル「START IN MY DREAM / DON'T WORRY BE ALRIGHT」を発売。同年3月には初のワンマンライブを、10月には初の主催イベント「FLYING FESTIVAL」を開催し大成功を収める。2015年5月には1stフルアルバム「BLACK & WHITE」をリリースし、これを記念した初のワンマンツアーも開催。2016年6月にはニューシングル「Ray Of Hope」を発表し、このリリースと前後した全国ワンマンツアーも行う。
野田剛史(ノダツヨシ)
1999年6月にWRONG SCALEを結成し、ベースボーカルを担当。2009年2月に解散する。同年12月にはivory7 chordを結成しベースボーカルを担当。翌2010年12月に脱退した。2012年頃からはemberのベーシストとして活動し、PIZZA OF DEATH RECORDSよりアルバムをリリース。2014年6月に新木場スタジオコーストにてWRONG SCALEが再結成し、限定期間ながらライブ活動などを展開した。そのほかさまざまなアーティストのサポートや楽曲提供など、多方面で活躍している。
原昌和(ハラマサカズ)
the band apartのベーシスト。1998年にバンドを結成し、2003年に1stアルバム「K.AND HIS BIKE」をリリースする。最新アルバムは2015年1月リリースの「謎のオープンワールド」。2015年には増渕謙司(G / SCAFULL KING、FRONTIER BACKYARD)、George(Piano / MOP of HEAD)、櫛引彩香(Vo)、山崎麻由美(Vo)とともに新バンド・MINEを結成。このほか坂本真綾への楽曲提供など、多方面で活躍している。