ナタリー PowerPush - THE TING TINGS×ねごと
世界的バンドから学ぶ音楽的「地球の歩き方」
2008年にアルバム「WE STARTED NOTHING」で鮮烈な日本デビューを飾ったTHE TING TINGSが、約4年ぶりとなるニューアルバム「SOUNDS FROM NOWHERESVILLE」をリリースした。日本でもこれまでに「Great DJ」などの楽曲がCMソングに起用され、幅広い層に愛されている彼ら。日本のアーティストの中にもTHE TING TINGSのファンは少なくない。
今回ナタリーではアルバム「SOUNDS FROM NOWHERESVILLE」の発売を記念して、THE TING TINGSと彼らのファンであるねごとの対談を実施。世界をまたにかけて活躍するTHE TING TINGSと、日本で着実に知名度を高めているねごとが、お互いのバンドやそのサウンドに対する印象、ライブやレコーディングへの姿勢について語ってくれた。
取材・文 / 青木優 撮影 / 中西求
THE TING TINGSの曲は父も知ってました
──まず、ねごとの皆さんがTHE TING TINGSを知ったきっかけから教えてください。
沙田瑞紀(G) 「Great DJ」ですね! 何回もPVを観ました。
澤村小夜子(Dr) 私は瑞紀に教えてもらいました。
藤咲佑(B) 私も瑞紀に。
蒼山幸子(Vo, Key) 私もです(笑)。
ケイティ・ホワイト(Vo, G, Bass Dr) サンキュー!(笑)
──ねごとは、元々瑞紀さんがみんなに洋楽を聴かせてたんですよね。
澤村 最初に聴かせてもらったとき、すぐ好きになりました。父も知ってましたよ。「今度対談するんだよ」ってTHE TING TINGSの曲を聴かせたら「これ、知ってる!」って。
ケイティ ホント? ワーオ!(笑)
沙田 私、今も大学に通ってるんですけど、1年生のときにコピーさせてもらったんですよ。
ケイティ そうなの? あの曲、すごく簡単でしょ? 私は「Great DJ」で初めてギターを弾いたんだけど、あの曲を作った頃はちょっと指を切っちゃってて、Dのコードしか弾けなかったんですよね。
澤村 えー、そうだったんですか?
沙田 だけど映像ではすごくカッコよく弾いてましたよね。あれは何も考えないで演奏できる曲というか。面白いですよね、「♪アーアーアー」って繰り返すところとか。
蒼山 ライブ映像も観たことがあるんですけど、すごくカッコいいと思いました。曲もキャッチーだし、楽しんでる感じが伝わってきて。
ジュールズ・デ・マルティーノ(Dr, Vo) 別にいいことばかり言わなくてもいいんだよ(笑)。
──「Great DJ」ぐらい有名なヒット曲になると世界中でコピーされてるという話を聞くのでは?
ジュールズ いや、そんなにたくさんは聞かないけどね。
ケイティ 中国のアーティストから「歌詞を変えてカバーしたい」という話をもらって、それに対しては「NO!」って言ったんだけど。それでも違う歌詞で、勝手にリリースしたみたい。まあ楽しんでもらっていればいいんだけど(笑)。
蒼山 えーっ! 本当に?
ケイティ 南米では、私たちの曲がテキーラのCMに使われてたんだけど、それはそのCMのプロデューサーが自分たちが作ったようなふりをして出したの。そっちは本当にトラブルになったんだけど。まあテキーラでまだ良かったのかな。下痢止めの薬とかじゃなくてね(笑)。
ジュールズ 今、うちの事務所ではタダでテキーラが飲めるんだけど、もしかしたらそことうまく話をつけたのかもね(笑)。
藤咲 それはすごい話ですね(笑)。
2年間同じ曲を歌い続けたら絶対にケンカになるから
ケイティ このバンドは、みんな楽器を演奏するのよね? 私たちは曲ごとに楽器を替えなくちゃいけないの。
ジュールズ そうそう。今ちょうどドラマーとベースプレイヤーを探してるところなんだよね……(と言って、4人をまじまじと見つめる)。
沙田 えーっ。ちょっとそれは……。
蒼山 あげませんよ(笑)。
藤咲 ……緊張しちゃいますね(笑)。
──2人編成だと、ライブでの苦労も多いんじゃないですか?
ジュールズ 口論になったらその日のライブがなくなっちゃうから、そういう意味では大変だよ(笑)。だからケンカはしないことにしている。4人いれば、2人がケンカしたとしてもあとの2人が助けてくれることはあるだろうけど。君たちはケンカしたりは?
蒼山 ないです。ノー!
ケイティ 2年間ずーっと同じ曲を歌い続けたら、絶対にケンカになるからね(笑)。
ジュールズ だから僕の髪の毛、ケンカの際に引っ張られすぎてこんなに短くなっちゃったんだよね。
沙田 あー(笑)。
ケイティ まあ、いろんな国を回ることができたから、その点では飽きなかったけれども。
蒼山 いろんな国に行くことでインスピレーションを得て、新しい曲ができたりするんですか?
ケイティ うん、新しいアルバムはそうね。まずはベルリンで9カ月ぐらいかけて作って、それからスペインのイビザ島に行ったり、あとイギリスにも行ったんだけど。おかげでいろいろな国の影響だとか、さまざまな国の人たちの趣向に合ったものを作れた気がします。
ねごとの4人 なるほどー。
ジュールズ みんなはユニゾンで答えてくれるから、ステキだね(笑)。
CD収録曲
- Silence
- Hit Me Down sonny
- Hang It Up
- Give It Back
- Guggenheim
- Soul Killing
- One By One
- Day To Day
- Help
- In Your Life
Bonus Tracks
- We're Not The Same [Japan Only Bonus Track]
- Hands
- Ain't Got Shit
- Give It Back (Demo)
- Silence (Bag Raiders Remix)
- Guggenheim (Got It Right Mix)
- Hang It Up (CKB Remix)
- Hang It Up (Abacus & Vargas 'Predator' Remix)
- Hang It Up (Shook Remix)
- Hang It Up (Vanguard Remix) [Japan Only Bonus Track]
THE TING TINGS(ざてぃんてぃんず)
ケイティ・ホワイト(Vo, G, Bass Dr)とジュールズ・デ・マルティーノ(Dr, Vo)からなるイギリス出身の男女2人組ユニット。自然体でファッショナブルなキャラクターと、クールなDIYスタイルで注目を集め、アメリカとイギリスそれぞれで原盤契約を結ぶ。2008年に1stアルバム「WE STARTED NOTHING」で日本デビュー。本国でも大ヒットしたシングル「Great DJ」はCMやドラマにも多数起用され、大きな話題となった。また、デビューアルバム1枚だけで「SUMMER SONIC」に3度出演という経験を持つ。2012年3月に約4年ぶりとなる2ndアルバム「SOUNDS FROM NOWHERESVILLE」をリリース。
ねごと
蒼山幸子(Vo, Key)、沙田瑞紀(G)、藤咲佑(B)、澤村小夜子(Dr)からなる4人組バンド。高校2年生だった2008年1月に結成し、春に開催された「閃光ライオット2008」に応募。予選を順当に通過し、8月に行われた決勝大会に進出。審査員特別賞を受賞する。同年11月に発売された「閃光ライオット2008」コンピレーションアルバムにも、大会で披露した楽曲「ループ」で参加する。その後勉強に専念するため一時ライブ活動を休止するも、2009年9月に本格活動開始。2010年2月より行っている自主企画「お口ポカーンフェス?!」も毎回好評を博している。2010年9月29日、1stミニアルバム「Hello! “Z”」をKi/oon Recordsよりリリース。2011年3月発表の1stシングル「カロン」はau「LISMO!」のCMソングとしてオンエアされ、幅広い層から注目を集めた。同年7月、初のフルアルバム「ex Negoto」を発売。夏には全国各地の野外フェスに出演し、多くのロックファンから賞賛を浴びた。2012年4月、アニメ「機動戦士ガンダムAGE」アセム編のオープニングテーマに起用されたニューシングル「sharp ♯」をリリース。