ナタリー PowerPush - スムルース

フルカラーで描き出す心の風景 ニューアルバム「Beautiful Days」

生まれて存在してるだけで、本当はものすごいこと

──今回のアルバムのコンセプトを教えていただけますか?

徳田 毎回コンセプトは違うものなんですけど、今回はそれが「七色(なないろ)」でしたね。七色って、世の中にあるすべての色っていう意味でも使われますよね? だから、全部の色、フルカラーっていうのがテーマで。

──それをどう曲につなげていったんですか?

徳田 人の気持ちって色とリンクするじゃないですか。ブルーな気持ちとか、赤やったらちょっと興奮するとか。だから、人が感情=色の旅をしてくって感じなんです。

──“色”っていう部分だと、最後の曲「ビューティフルデイズ」の「ほんとうはつまらない せかいにいろはない」っていうフレーズが印象的でした。一見ネガティブな表現なんですけど、そう気付くことで見えるものがあるというか。

徳田 あ、良かった! ここ拾ってもらえたら、すごいうれしいですね。僕もそうなんですけど、みんなきっと欲深いだけなんですよ。生まれて存在してるっていうだけで本当はものすごいことやのに。例えば自分がやってる仕事とか、自分が当たり前と思ってることって、本当はなんでもすごいことなんですよね。そんなふうに掘り下げていくと、「生まれてこの世に存在してることが素晴らしい」って思える。その気持ちが自分の中でもっと自信になれば、これ以上揺るぎないものはないじゃないですか?

──うん、そうですよね。ちなみに今、徳田さん自身はそういう状態でいられていますか?

徳田 はい! 気持ちの変動はありますけど、最終的にはね。すごいなって思います。自分が生きてるってことが。

──なるほど。あとこの曲は、いろんな楽器も入ってますよね? 聴いてて楽しかったです。

小泉 はい、いっぱい入ってますね。バイオリン、バンジョー、チューバ、あとは鐘の音やパーカッションも。

徳田 最初のコーラスも周りの友達ですから。ウチに来てもらって、あんまり大きな声出さんといてなって言いながら、みんなで抑え目に「♪ララララ~」って。

──個人的には、パーティソングみたいでありながら、最後には希望が広がっている感じがすごく好きでした。

徳田 僕はもう、ハッピーエンドじゃないと嫌なんですよ。映画でもなんでもそうなんですけど(笑)。

スムルースは基本、フェミニストですよ

──全体的な歌詞についても訊かせてください。ここには、理想の女の子像が投影されてたりします?

徳田 あぁ、どうなんやろう。

小泉 結果、漏れ出てるくらいなんじゃない?

徳田 でも僕が基本的に考えてるのは、“押し付けない”ってことなんです。リスナーに勝手に拾ってもらえるような言葉の選び方をしていて。「こうしなければならない」「あるべきだ」っていう言葉が好きじゃないんですよ。でも結局、理想にはなるんかなぁ。

──なるほど。あと私、「休日シンデレラ」の歌詞のように「本当のキミを忘れないで」って優しく包み込んでくれるような男性っていいなぁって思いました(笑)。

徳田 ああぁ! 僕ね、付き合う女性だけじゃなくて、女性に対してはできるだけそういう気づかいをしたいと思ってるんです。男女平等になりつつある社会ですけど、いろんな人の話を聞くとやっぱりしんどそうですもん。あの……産休なんてね、あれはあって当たり前ですよ。でもどうしても休めない仕事の人なんて、ホントにもう仕事と家庭とどっちとんねん?みたいになるでしょ。それって男子にはないわけで。馬車馬になって働いとけばいいんですよ。でも女性は体の仕組みとして子供が生まれるっていう時点で、男子より待遇は上じゃないと僕はあまり平等じゃないなって。

──素晴らしいです、徳田さん!

徳田 あははは。ま、僕は会社とか経営する立場じゃないんで、そんなことも言えるんですけどね。

──いやぁ、フェミニストですよ。

徳田 フェミニスト、いい言葉ですね~!

──歌から受けるイメージは柔らかいですが、その奥には強く打ち出したいメッセージがあるんだなと。

徳田 僕は姉が2人いるのも関係あるんかも。でも基本的には、スムルースはそっち側ですよ。フェミ側っていうか(笑)。

──女性応援ソングの名手というか。今回のアルバムを聴くと、そういうキャッチフレーズを付けたくなりました。

徳田 ああ、それはいいことです。

スムルースのライブは温かくてハッピー

──1月15日からはこのアルバムのリリースを記念した全国ツアーがスタートします。

小泉 はい。OLさんとか働いてる方にも来てもらいやすいよう、週末で回る感じのスケジュールなんです。ぜひ来てほしいですね。

──ちなみにリスナーの中心層は?

回陽 年代はわりと広いですね。

徳田 でも、働き盛りの女性が一番多いかも。あと、来た人同士が出会って結婚とかね。よくあるんですよ、マジックが。

小泉 そう、“スムルライブマジック”がね。

──すごい! 縁結びバンドじゃないですか。

徳田 はい(笑)。うれしいことです。

──今回のツアーはどんなものになりますか?

徳田 よりアットホームに。僕らのライブ、それしかないんでね。オールオッケー、本当にそのままのアナタでいいんだ、っていうのを僕らは歌ってるんで。

回陽 緊張感がないわけじゃないんですけど、でも肩の力を抜いて聴いてもらってるような。ステージでは僕らもそんな感じですし。

小泉 なんでかわからないんですけど、ライブを観ていただいた方に「スムルースのライブは温かい」とか「ハッピーだ」って言ってもらえることが多いんですよ。そこで思ったんですけど、例えばライブを観て、ホンマにすごかった、カッコ良かったって感じるのって、感情のベクトルが演者に向いてるってことじゃないですか? それって当たり前なんですけど、もしかしたらスムルースのライブは違って、観た後に自分が持ってる幸せをかみしめるっていうか……。読後感じゃないけど、そういうライブ後感みたいなのを、お客さん自身が感じてくれてるんじゃないかなって。それが僕らのライブの特徴なのかなって思いますね。

スムルース × K-Palette / Beautiful Girl (武智志穂 出演イメージビデオ)

ニューアルバム「Beautiful Days」 / 2011年1月12日発売 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ

  • 初回限定盤[CD+DVD] / 2800円(税込) / YCCW-10123/B / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 2200円(税込) / YCCW-10124
CD収録曲
  1. デコレーション・マイ・ウェイ
  2. 休日シンデレラ
  3. Beautiful Girl (Album Mix)
  4. ALL MY SONGS FOR YOU
  5. ドーナツについての考察
  6. ファイティング・スマイル
  7. 海にみとれて
  8. かたちをかえて
  9. ストンときれいな日々の意味
  10. ビューティフルデイズ
初回限定盤DVD収録内容
  1. Beautiful Girl PV
  2. Beautiful Girl イメージVTR
  3. ドーナツについての考察 PV by 徳田憲治
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スムルース

徳田憲治(Vo, G)、回陽健太(G)、小泉徹朗(B)による3人組ロックバンド。1997年に京都の大学内の音楽サークルで結成し、現在も関西在住で活動を続ける。ユーモアあふれる歌詞と幅広い音楽性、一度観たら忘れられないライブパフォーマンスに定評がある。2003年、インディーズにして「SUMMER SONIC」に出演。2004年にはシングル「帰り道ジェット」でメジャーデビュー。以降、コンスタントに音源リリースとライブツアーを重ね、ファン層をさらに広げ続けている。