ナタリー PowerPush - スーパーカー
今のナカコーが磨き上げたあの頃の楽曲「RE:SUPERCAR 1」
今スーパーカーが存在してたらこういうアプローチを取ったんじゃないか
──めちゃくちゃ仮の話ですけど、今スーパーカーが存在してたとしたらどういう音楽をやってたと思いますか?
こういう音楽やってたと思いますけどね(笑)。
──あぁなるほど。今のスーパーカーだったらこうやるだろうっていうのがこの作品に入ってきた?
うん、音楽に対するアプローチはこうだったと思う。
──それはやっぱりiLLとかLAMAをやることとは全然違うってことなのかな?
全然違う部分もあるし、人って環境が変わってもその人の持ってるものはあんま変わんないと思ってるから。同じ部分もあるし、違うものだから違うことができる場合もあるし。
──うん、まぁ当然バンドのメンバーが違うわけだから違うもんが出てきますよね。
うん。ただ、個人になると本質的な部分はあんまり違わないかなぁ。
デモテイク集には意図的に排除した要素が残ってる
──ある意味では1枚目以上に興味深いのが、初回限定盤DISC 2のデモテイク集なんですけど。めちゃくちゃいっぱい曲も入ってるし。ほとんどが短い曲ですが、パソコンの中に眠ってたやつ?
いやパソコンにはなかったけど、MDとかカセットテープとかに入ってる楽曲を1回コンピュータに取り込んで。で、それだけだとめちゃめちゃ長くて。CD7枚分ぐらいあったかな。それは大変だってことで。だからデモテープをCDに入れて、CDJで短くミックスして。
──選曲の基準は?
まぁ音質的なものもあったけど、あとは面白いっていうか、あんまりCDにならなかったカラーのものとか。くだらないものから、特徴のあるものから。
──デモは1人で作ってたんですか?
主に1人で作ってるけど、初期のデモは僕と公大がほぼメインで作ってるかな。後半から1人で作る作業になっちゃってるけど。
──例えばすごいガレージっぽかったり──もちろんデモだからそういうふうに聴こえるってとこもあると思うけど──クラウトロックやサイケとか、いろんなことをやってて、いろんな可能性というものがスーパーカーにはあったということがわかりますね。そのときレコードになりきらなかったものっていうのは、どうしてなんですかね? クオリティとかそういう面はもちろんあるでしょうけど、それ以外にも理由があるんでしたら。
いや、1枚目を出すときにかなり絞ったから、こういう路線のバンドにしようと。面白いけど今必要じゃないものは絞っていった。2枚目でもこんな感じでっていう絞りがあって、それがあったからほかの実験的な要素とか変な楽曲とかはわりと排除していって。
──じゃあそのアマチュア、インディーズでやってた頃はそういういろんなことをやってるバンドだったってこと?
うん。でもそんなに活動してないし(笑)。ただ家でデモテープ作ってるだけの人たちだったから。それをソニーに送ったら「なんかやってみて」って感じだったから。
──あぁなるほどね。じゃあ逆に言うとメジャーデビューが決まって初めてバンドとしての方向性とかコンセプトみたいなものを考えていった?
うん、こんだけ楽曲あるから、1枚目はこんなんでいきましょう、2枚目は全然違うものにしようって。
──じゃあその排除していった要素がデモテープに残っていて、それが今聴くと非常に興味深く聴こえると。
うん。そのほうが面白いんじゃない?
あぁこれは青春路線って言われるんだ(笑)
──排除していった要素を具体的に挙げてもらうと、どういうものだったりするんですか?
簡単に言うと歌モノじゃなかったりとか、あとはアバンギャルドだったり、日本的アバンギャルドじゃなくてもうちょっと、スカムカルチャーみたいなものとか。好きだったものだけど。
──初期のスーパーカーって青春的なギターロック、みたいなイメージがあったと思うんだけど、そこから外れるもんは排除していった感じ?
でも自分たちだけがそうだったってわけでもなくて、あの頃はわりと全体的にそういう流れだったから。出すときにレコード会社で話すわけじゃない。じゃあこんだけ曲はあるけどどうやっていこうか、とか。でもね、別に俺、青春路線って思ったこともないんだけど。
──(笑)。いや、それはこっちの勝手な思い込みですけど。
あぁこれは青春路線って言われるんだーみたいな。あははは(笑)。でも(そう言われるのは)別に悪いとは思わないし。たぶんみんなで選んでったかな、ドーブ・ディスク(スーパーカー初期の所属レーベル。ソニー傘下。現在は消滅)のメンバーとバンドメンバー全員で。
──単純にいい曲だけ選んでったというわけでもなく?
うん、ではなかったかな。
──じゃあ当然排除されてったのにいい曲も残っていたし、もし、こっちのほうにスーパーカーが進んでいったら面白いものになってたかな、っていうふうなものもあったと。
うん。まぁでも選んでやったほうがよかったとは思うけどね。
DISC1 収録曲
- Walk Slowly
- Sun Rider
- I need the sun
- DRIVE
- Dive
- 333
- OOYeah!!
- Pink Rock
- Jump
- Lucky
- Wonderful World
- ONE
- Low-down (Live Scene)
- TRIP SKY
- cream soda
DISC2 収録曲(※初回限定盤のみ)
- Cream soda demo
- Wonderful World demo
- untitle #1
- untitle #2
- untitle #3
- CAT demo
- 333 demo
- ZEBIUS demo
- untitle #4
- untitle #5
- I wanna stay demo
- untitle #6
- Hello demo
- Drive demo
- untitle #7
- Fllicker demo
- untitle #8
- MIAMI BEACH demo
- In Hawaii demo
- Melancholic Bass demo
- Tulip demo
- Sun Rider demo
- untitle #9
- I need the sun demo
- Life gose on demo
- U demo
- Jet Bee Town demo
- untitle #10
- untitle #11
- Holly demo
- Skyphone speaker demo
- Spider demo
- untitle #12
- YES demo
- Sugar Head demo
- Sugar Song demo
- Rental Car demo
- Noman demo
- untitle #13
- Summer tune demo
スーパーカー
中村弘二(Vo, G)、いしわたり淳治(G)、フルカワミキ(B, Vo)、田沢公大(Dr)による4ピースバンド。1995年に青森で結成し、1997年9月にシングル「cream soda」でデビュー。初期の作品は繊細な歌詞とアタックの強いギターサウンドを特徴とし、ロックファンを中心に人気を集める。
その後2000年2月発表の8thシングル「FAIRWAY」ではディスコビートを取り入れ、同年10月リリースの10thシングル「WHITE SURF style 5.」では高速フリーフォームロックを聴かせるなど、徐々にその幅広い音楽性を提示。2001年11月発売の11thシングル「YUMEGIWA LAST BOY」では砂原良徳をプロデューサーに迎え、エレクトロニカに接近した側面を見せた。
また音楽とビジュアルの融合にも積極的で、2000年の全国ツアー「SUPERCAR TOUR 2000 "FLOOR EXTRA"」ではVJを宇川直宏が務め、ハイブリッドなステージを展開。2004年の全国ツアー「SUPERCAR TOUR 2004 "ANSWER"」では5thアルバム「ANSWER」のジャケットアートワークを担当した宇川直宏×田名網敬一によるサイケデリックな映像が、アルバムの世界観を再現するのに一役買った。
2005年1月20日に発売された「ROCKIN' ON JAPAN」誌上にて解散を発表。同年2月26日に新木場STUDIO COASTで行われたラストライブにて解散した。