Skoop On Somebody|「今、またワクワクしてる」デビュー20周年を迎えた2人の新章

今年2月にデビュー20周年を迎えたSkoop On Somebodyが、アニバーサリーシングルとなる「Every Kiss, Every Lies」をリリースした。

久保田利伸が作曲を手がけた表題曲は、この20年の中で手にした“Fortunate”(幸運)と、S.O.S.と共に歩んできたファンへの感謝をテーマに作られたミディアムナンバー。カップリングには、Kool & the Gangをイメージしたという大人のダンスチューン「Tonight's the night」と、彼らの真骨頂とも言えるスイートでセクシーな「Stay in love」が収録され、グループとしての音楽的な振り幅の広さを堪能できる仕上がりとなっている。

音楽ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、デビューからの20年の振り返りと共に、新作についての話をじっくりと聞いた。

取材・文 / もりひでゆき ライブ撮影 / 林洋輔

ふわふわしてたデビュー時

──Skoop On Somebodyは今年2月でメジャーデビュー20周年を迎えました。

TAKE(Vo) 正直、20周年と言われても自分たちとしてはふわっとした感じだったんですよ(笑)。日頃からそこをあまり意識してはいなかったので。ただ、「20周年のお祝いをしたい」っていう周りのスタッフの思いは感じていたので、じゃ今回は僕らからの20年分のありがとうをライブという形で届けようということになったんです。

──2月にはJZ Brat Sound of Tokyoで7日間にわたるライブがあり、3月からはメンバー2人のみで全国各地を細かく回る「Coming 2 you」ツアーが開催されましたね。

KO-ICHIRO(Key, Cho) 「Coming 2 you」ツアーは1台の車で各地を回ったので、現場では機材を運ぶところからセッティングにいたるまでを自分たちでやったんです。そのことがね、音楽を始めた頃やアマチュア時代のこと、自分たちにとっての初心を必然的に思い出させてくれることにもなったと言うか。ライブができる喜びもより実感しましたし、そこへ足を運んでくれるファンの方への感謝も改めて強くなりましたね。

2017年2月開催の「Skoop On Somebody 20th anniversary LIVE Vol.1『Live in gloom』at JZ Brat Sound of Tokyo 7days」の様子。

TAKE 今までのツアーだと、例えば北海道なら札幌でライブすることが多かったから、遠方の人は時間をかけてわざわざ足を運んでくれていたわけで。その距離を、今回帯広や函館といった場所でライブをしたことで自分たちでリアルに実感できた。そのことが僕らの感謝の気持ちをより大きくしたところもありました。20周年でいい経験ができたなって思います。

──「初心」という言葉が今出ましたけど、デビュー当時のことって覚えていますか?

TAKE そこそこは覚えてますよ。当時はまだ音楽業界も景気がよかったんでね、いきなりロスでアルバムのミックスダウンさせてもらったりして。僕らの気持ちとしてもふわふわしてたというか(笑)、メジャーデビューした実感があるような、ないような感覚でしたね。

──とは言え、本格的なR&Bという音楽性は当初から一貫してブレてはいないですよね。Skoopがデビューした1997年は、J-POPシーンにR&Bというジャンルが浸透する前夜とも言える時期だったと思うのですが。

TAKE そうだね。まだR&Bがなんの略かわかんない人のほうが多かったですよね。

KO-ICHIRO 先輩としては黒人音楽を愛している鈴木雅之さんや久保田利伸さんがいらっしゃいましたけど、「R&Bやソウルですよ」といった打ち出しはされていませんでしたから。ジャパニーズR&Bといった言葉もまだなかったですし。

R&Bはもはや生き様

──そういった状況の中、自分たちの愛する音楽を貫くことの覚悟や使命感を強く意識して活動していたところもありましたか?

TAKE 今思うとデビュー当時は何も考えずにやってたかもしれない。自分たちの好きな、ひたすらカッコいい音楽をやれることだけがうれしかったというかね。最初のアルバムを今聴くと自分でも笑っちゃうくらい自由にやってますから。永遠の愛を歌ったかと思えば、一夜限りの愛を歌うラブソングが入ってたり。一見矛盾してるようだけど、R&Bっていうのはそういう人間臭さこそが大事ですから。デビュー当初は、そういうことを何も考えずにできていたところはありましたね。

──その後、気持ちの変化もあったんですか?

TAKE デビューからちょっと時間が経って、R&BというものがJ-POPシーンにある程度浸透したときには、そこへの違和感が出てきていたのかもしれない。日本のR&Bにも素晴らしいものはあるんだけど、「歌詞の面でもサウンドの面でももっといろんな側面があるのにな」「形ばかりが先行してるな」みたいな。だから雑誌の男性R&B特集とかでほかのアーティストと横並びされてると、「いや、俺たちはロックバンドですから」みたいなこと言っちゃってたこともありましたね(笑)。天邪鬼だから。

KO-ICHIRO(Key, Cho)

KO-ICHIRO あははは(笑)。僕らがデビューした翌年くらいからR&Bがブーム……ムーブメントになったりはしましたけど、当時はまだヒップホップの一部分みたいな扱いだったりもしましたからね。ただその後、R&Bという音楽性も多様化していきましたし、個性の強烈な人たちはしっかりその中で生き残っていくようになって。よりジャンルレスでボーダーレスになっていっている実感もありますよ。

──R&Bというものがある程度シーンに根付いたことで、その上っ面、エッセンスを盛り込んだだけでは評価されなくなっていきましたよね。

KO-ICHIRO そうなんです。結局はそのアーティストが持っている個性や、そこから生まれる強烈な音楽性、メッセージがないと、たぶんシーンの中で埋もれていってしまうことになると思うんです。そういったことは自分たちとしても強く意識するようにはなっていきました。

TAKE うん。だから僕らも一時期は頭を使って、シーンの中でのバランスを取りながら作品を作ったり、ライブをやったりしていた時期もあったんですけど、今はまたデビューした頃の気持ちに戻っている感覚もあるんですよ。自分たちの個性を大事にして、やりたいようにやればいいんだなって。R&Bっていうのはジャンルとしてひとくくりにできるものではなく、もはや生き様みたいなところがありますから。そういう意味では今のSkoop On Somebodyとして、「こんなに魅力的な音楽があるんだよ」っていうことを日本のR&B好きな人にも、そうじゃない人にもしっかり提示できるんじゃないかなって改めて思っているんです。すごく今、またワクワクしてるんですよね。

Skoop On Somebody「Every Kiss, Every Lies」
2017年5月24日発売 / SME Records
Skoop On Somebody「Every Kiss, Every Lies」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
2000円 / SECL-2158~9

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Skoop On Somebody「Every Kiss, Every Lies」通常盤

通常盤 [CD]
1300円 / SECL-2160

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CD収録曲
  1. Every Kiss, Every Lies
  2. Tonight's the night
  3. Stay in love
初回限定盤DVD収録内容

20th anniversary LIVE Vol.1 ~「Live in gloom」at JZ Brat Sound of Tokyo 2017.2.21 LIVE & DOCUMENT~

  • No Make de On The Bed
  • バラ色
  • 想い
  • Where do we go
  • sha la la
  • My Life~風に吹かれて
Skoop On Somebody 20th anniversary LIVE Vol.3
  • 2017年6月10日(土)兵庫県 新神戸オリエンタル劇場
  • 2017年6月11日(日)愛知県 芸術創造センター
  • 2017年6月18日(日)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
  • 2017年6月25日(日)北海道 道新ホール
  • 2017年7月1日(土)大阪府 サンケイホールブリーゼ
  • 2017年7月2日(日)福岡県 イムズホール
  • 2017年7月8日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2017年7月14日(金)宮城県 Rensa
  • 2017年7月15日(土)新潟県 新潟LOTS
  • 2017年7月22日(土)神奈川県 横浜ランドマークホール
  • 2017年7月23日(日)神奈川県 横浜ランドマークホール
Skoop On Somebody(スクープオンサムバディ)
1995年に大阪で結成。当初はSKOOPという名前で活動し、1997年にシングル「No Make de On The Bed」でメジャーデビューする。2000年に現在のSkoop On Somebodyに改名。CMソングに採用されロングヒットを記録した「sha la la」をはじめ、「BLEACH」や「エンジェル・ハート」といったアニメのテーマソングを担当する。東方神起、CHEMISTRY、関ジャニ∞などさまざまなアーティストへの楽曲提供も行う。TAKE(Vo)はブロードウェイミュージカル「RENT」に出演するなど俳優としても活動中。2017年2月にデビュー20周年を迎え、5月に久保田利伸との共作曲「Every Kiss, Every Lies」をアニバーサリーシングルとして発表した。6月よりフルバンド編成でのアニバーサリーツアーを全国で展開する。