ナタリー PowerPush - SILLYTHING

メッキを剥がせよ! 参加メンバー座談会

SILLYTHINGがついにリリースした1stアルバム「cross wizard」は、異色かつ豪華なゲスト陣の参加で話題を集める意欲作。そして各曲ごとにさまざまなゲストが登場する中でも、ひときわカオスな様相を見せているのがアッパーなキラーチューン「SUNSET HEART ATTACK」だ。

この曲を作り上げるべく首謀者の成田大致(SILLYTHING)のもとに集まったのは、アントーニオ本多(プロレスラー)、小林ゆう(声優)、マーヤ(KING BROTHERS、N'夙川BOYS)、和嶋慎治(人間椅子)といった面々。ナタリーではこのカオスなラインナップによる座談会の模様をお届けする。

取材・文 / 大山卓也 撮影 / 上山陽介

「AOMORI ROCK FESTIVAL '12~夏の魔物~」成田大致インタビューはこちら!

はじめまして

──本日は「SUNSET HEART ATTACK」に参加した皆さんに集まっていただいたわけですが……。

和嶋慎治 はじめまして。

成田大致

──あ、和嶋さんはマーヤさん、小林ゆうさんとは今日が初対面なんですね。

和嶋 はい。なので、まず座談会の前に、誰がどこに参加したかっていうのをちょっと説明してもらえたら……。

──え、そのあたりの説明もまだなんですか?

成田大致 そうすね(笑)、和嶋さんのギターは最後に入れてもらったんで……。まあ、この曲は歌詞をアントーニオ本多さんに書いてもらって、スクリームをマーヤさんと小林さんにやってもらって。

小林ゆう お世話になりました。

──そもそもどういう経緯でこういうことになったんですか?

大致 最初、作曲の大隅(知宇)さんから曲のデモが上がってきたときに、この曲に本多さんの歌詞を乗せて歌いたい!って思ったんです。2月の後楽園ホールの試合にすごく感動したんで。その試合は小林さんにもDVDで観てもらったんですけど。

小林 はい、すごかったです。あの血がすごく……もうすごい……本当にすごかったです。

プロレスは詩なんです

──ところで本多さんはこれまでに作詞の経験は?

アントーニオ本多

アントーニオ本多 一切ないですね。

──じゃあ今回どうして作詞を?

大致 え、なんで頼んだかっていうことですか?

──はい。

大致 いや、本多さんの歌詞が歌いたかったから……。

一同 あはは(笑)。

和嶋 本多さんが歌詞を書けるっていうのは知ってて頼んだの?

大致 いや、全然知らないです。でもきっと本多さんはいい歌詞を書くと思って……。

──本多さんは初めての作詞はいかがでしたか?

本多 あの、プロレスって詩なんですよね。

小林 はい。

本多 例えば普通の人が「お前をぶっ殺す」って言ったら脅迫罪になるんですけど、プロレスラーがその「お前の頭の皮を剥いでハンドバッグを作ってやるよ」って言うときは……これ、詩なんですよ。

和嶋 ああ、そこにレトリックが潜むわけですね。

本多 ですから日頃からやってることではあったんです。

──じゃあ大致くんから突然作詞の依頼が来たときにも、特に驚かず?

本多 やっと来たかと。

大致 あはは(笑)。

本多 プロレスは詩なんだってことに気付いている人がいるんだ、ってことがうれしくて、二つ返事で「やります」って引き受けました。

詞も曲も書いてないのに自分らしい

和嶋慎治

和嶋 素朴な質問するけどさ、やっぱり僕たちの世代なんかだと、ロックバンドをやるっていうことは自分たちで作詞作曲をするってことだと思ってて。でもSILLYTHINGはほかの人に詞も曲も頼んでるんだよね。それっていうのは……?

大致 何も抵抗はないですね。ガンガンやりてえってことしか考えてない(笑)。

和嶋 うん(笑)。実は大致くんだけじゃなく、最近若い子に話を聞いてるとそういうバンドが結構いて。変な執着がないっていうか、それで成立するっていうのが新鮮だったんだよね。

本多 それについては、自分は成田くんとは若干付き合いが長いんで、ひとつ言えるんですけど、あの……彼はめちゃくちゃロックファンなんですよ。

和嶋 そうですね(笑)。

本多 人間としてはやんちゃでテキトーなんですけど(笑)、自分が聴いてるロックとか、好きなものに対しての判断は非常にしっかりしていて。自分のことも、自分の周りの人のこともわかってる。だから今回自分でやる部分を小さくして他力本願でやることにしたっていう。それは潔くてカッコいいことだと思いますね。好きな人に頼り切ってしまうっていう。

和嶋 なるほどね。最初は散漫になるんじゃないかなってちょっと心配してたんです。でもアルバム通して聴いたらなんかまとまってるんだよね。大致くんの好きな人に頼んでるから、結果的に大致くんの色が出てる気がした。

大致 ほんとそうなんですよ。歌詞とかも書いてないのに、前より自分らしい作品になったと思う。なんでこの人たちは俺のことをこんなに知ってるんだ!?って思うし、やっててすごく楽しいです。

1stアルバム「cross wizard」 / 2012年9月19日発売 / 2500円 / GARURU RECORDS

収録曲
  1. 前口上ッッ
  2. SUNSET HEART ATTACK
  3. サマーロマンサー
  4. 僕らのブロークンハードディスク
  5. SOSガール
  6. ☆☆☆チャンバラン
  7. ゾンビデジュネ
  8. ロールプレイング未来
  9. 21世紀のラヴァーズ
  10. People move on
  11. Rock'nRoll Can Never Die(オリジナル:QUASI)
SILLYTHING(しりーしんぐ)

元THE WAYBARKのボーカルで「AOMORI ROCK FESTIVAL '12~夏の魔物~」主催者である成田大致(Vo)を中心に2012年結成。メンバーは成田大致、三浦あずさ(B)、小橋慧太(G)、X(G)の4名。「世界中の音楽とリンクし、エンターテイメントしたい」という志を掲げて活動を開始し、ミュージシャンのみならず、マンガ家や声優、プロレスラーなど多数のゲストを迎えて制作した1stアルバム「cross wizard」を2012年9月にリリース。