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“あわてない、あわてない”で5作目完成!レキシインタビュー&「最後の将軍」MV密着レポート

「最後の将軍 feat. 森の石松さん」ミュージックビデオ撮影密着レポート

徳川慶喜の大政奉還をテーマにした「最後の将軍 feat. 森の石松さん」のMVの舞台は現代。同棲を解消するカップルの男を池田が、女を夏帆が演じ、作中では2人の切ない別れの1日が描かれる。6月の好天の日、のどかな時間が流れる東京都内の下町でこのMVの撮影が行われた。

取材・文・撮影 / 三橋あずみ

ストーリー

1DKのアパートで暮らす男(池田)と女(夏帆)は今日、同棲を解消して別れる。女が家を出ることにしたのはケンカが原因ではなく、男が優しすぎて、少しだらしなくて、意気地がなかったから。荷物をまとめた女がアパートを出て晴天の空の下を歩き出すと、男は彼女が置いていった傘を手に急いで追いかけてきた。

撮影は、2人が暮らす家の中のシーンからスタート。寝転がってゾンビ映画を観ている男の横で、女は家を出ていく準備を進めている。家の中のシーンを撮り終えると撮影班は外の道へ移動し、男が傘を渡すため、女のことを追いかける場面の撮影へ。池田と夏帆はアドリブで「傘、傘忘れてる」「ええ? 雨降らないよ(笑)」と自然なやりとりをしながら、男と女の距離感を表現していく。

アパートの外を歩くシーンの撮影の様子。
  • 撮影の合間に言葉を交わす夏帆と池田貴文。
  • 夏帆
  • 公園で遊んでいた子供と会話する池田貴文(右から2番目)。

2人が公園を歩くシーンの撮影時には、その公園で遊んでいた子供たちに「テレビ出れるの? 出たい!」とリクエストされた池田。子供たちの言葉に、池田は「テレビ出るのお金かかるんだよ。1000円!」と冗談を返しながら楽しそうに彼らとやり取りをしていた。なお、このMVを監督したのは是枝裕和率いる制作者チーム・分福の北原栄治。男と女の微妙な距離感を表現するため現場では北原監督から動きについての細かな指示が飛び、池田と夏帆は監督の言葉に柔軟に応じていた。

続く踏切前のシーンの本番では、電車が3本も通過するタイミングだったためなかなか踏切が開かず、池田と夏帆は長い時間を演技でつなぐことに。線路を渡り切りカットがかかると、小さなハプニングに臨機応変に対応した2人に、北原監督は「OK、素晴らしい!(笑)」と声をかけた。

踏切でのシーンの撮影の様子。
  • 池田貴文
  • カメラマンの山崎裕氏と談笑する池田貴文。

撮影も終盤に差し掛かり、撮影班は2人の別れのシーンを撮るために小さな橋の上へ。女に荷物を手渡す男の心情を、池田は小さな表情の動きで表現した。男と女が別々に歩き出すシーンを撮り終え、撮影は終了。スタッフを前に挨拶に立った池田は「号泣シーンの撮影は大丈夫? 『ホーム・アローン』観たらすぐ泣けますから」と最後まで冗談を飛ばし、現場に笑いを起こしていた。

夏帆と池田貴文。

撮影を終えて

レキシ 今回は急なお誘いを受けていただいて。ありがとうございます。

夏帆 いえいえ、うれしかったです。

レキシ 監督とは1回目のミーティングから「夏帆ちゃんにお願いしたいね」って話してたんですよ。よくOKしてくれたなって。

夏帆 そんなそんな。

レキシ 共演は「海街diary」以来ということで。

夏帆 そうですね。今回、映画でご一緒だったスタッフさんも多かったですよね。今の季節の感じといい、「海街」の撮影をすごく思い出しました。ゆったりとした時間の流れが似ていましたよね。

レキシ そうだね。で、今回のMVは「海街」での僕らの関係性を考えたらちょっとドキッとするような内容になってるじゃない(笑)。これ観たら是枝さんどう思うかな?なんて思いますけど、そのあたりはみなさん、いろいろ想像しながらご覧になってくださいということで。

夏帆 そうですね。お願いします。

レキシ でさ、前「SHIKIBU」のMVに八嶋智人さんに出てもらったときに、レキシネームを付けたのよ。だから夏帆ちゃんがよければ、付けたいなあと思っていて。

夏帆 わあ、うれしい! 付けてください!

レキシ どうしようか……。うーん……「家宝」っていうのはどう?

夏帆 あはははは! わかりやすい!(笑)

レキシ 家の宝だからね。でもあんま変わらないなあ。……「我が家の家宝」にしようか。

夏帆 あははは(笑)。やったあ、レキシネームもらえた! うれしいです。

レキシ では、今後は映画、ドラマに出るときのクレジットは「夏帆(我が家の家宝)」でお願いします(笑)。