ポルノグラフィティ|ソロインタビューで浮き彫りにする「BUTTERFLY EFFECT」が生まれた理由

ミサイルが飛んだ前日に書いた「170828-29」の意味

──昭仁さんもおっしゃっていましたけど、晴一さんの歌詞は、言葉をより深く突き詰めていってる印象があります。それを本作で強く感じました。

僕にとって言葉は一生のテーマだと思ってるんで、そこは今回も一生懸命やりました。「MICROWAVE」なんかはけっこう大変でしたけどね。

──短いセンテンスを並べた遊び心のある歌詞ですよね。

なんかね、自分の作ったメロに言葉を乗せるのってすごく難しいんですよ。言葉がハマらなかったら、メロ自体をイジることもできちゃうでしょ? そんなことやってると抜け出せないループに陥っちゃうんですよね(笑)。この曲のAメロBメロも元々は違うものがあって仮歌まで入れたんだけど、詞のイメージと合わない気がしたから結果的にメロを書き直して。アレンジに関しても3、4バージョンあったから、この曲はホントに時間がかかりましたね。

──晴一さんの曲で言うと、11曲目の「170828-29」はかなりの問題作のような気がします。タイトルになっている今年の8月29日は、北朝鮮が初めて弾道ミサイルを発射した日ですよね。

うん。この曲のメロはちょっと前からあったんだけど、歌詞を書いたのが8月28日で、歌入れをしたのが29日だったんです。北海道の上空をミサイルが飛んだことを受けてあたふたと歌詞を書いたわけではなく、実は前の日に書いてたんだよってことを言いたくて、あえてタイトルには28日も入れたんですけどね。

──歌詞を書いた翌日に不安が現実のものになったのはすごいタイミングでしたね。

そうそう。だからね、実は歌入れの日に歌詞をだいぶ書き直してもいるんですよ。言いたいことは同じなんだけど、最初の歌詞はもっとリアルな内容になってたんです。それこそ“Jアラート”って言葉を使ったりしてたし。でも29日に実際にJアラートが鳴って不安な気持ちがより強まる状況になったから、あえてリアルとは距離を置いた内容に書き換えたんですよね。かなり特殊な経緯をたどった曲ではあります。

──みんながピースサインを掲げることが武器になるという強いメッセージは、今だからこそよりリアルに響くところはありますよね。

ポップソングに持っていくためにそういう落ちにしたところはありますけど、まあでもそれは僕のリアルな気持ちですよね、本当に。この曲の意味がなくなってしまうような現実にならないことを祈るばかりです。ミサイルとかホントにやめてほしい。

ずっとトップギアでアクセルを踏み続けていたい

──ご自身のギターに関しては今回、どんなプレイができたと思いますか?

ソロでのアドリブは今までと比べてかなり増えてますね。今回は音作りやプレイに関してアレンジャーとより突っ込んで話ができたので、アレンジ上のフレーズにしても自分なりにちゃんと理解したうえで弾けたし、自分なりのプレイもしっかりできたんじゃないかなとは思いますね。ギターを弾くことは今回もすごく楽しかったですよ。

──アレンジャーとしては、江口亮さんや宗本康兵さん、田中ユウスケさん、篤志さんなど、おなじみの面々が今回も手腕を発揮していますよね。

そうですね。「こんなフレーズ、自分じゃ思い付かねえな」ってものもたくさん盛り込んできてくれるんで、そこが相変わらず楽しいところでもありますね。

──では、昭仁さんが手がけた曲たちから何か感じることってありました?

今回は彼の曲もできた時期が全然違うから、共通した何かにフォーカスされているってことではないと思うんだけど、彼が作った曲はどれも歌を歌いたいんだろうなっていう印象があるかな。しっかり動くメロディをしっかり歌うってことを強くイメージしていると言うか。「I believe」とか「Fade away」なんかでは特にそう感じる。

──それらとは異なるメロディのアプローチを持つ「MICROWAVE」を同じボーカリストが歌う面白さもアルバムでは味わえましたよ。

「MICROWAVE」は美メロって感じではなく、リズム重視で作ってる曲ですからね。その違いは確かにありますよね、うん。そこが、詞も曲も書ける人が2人いるポルノの強みでもあるのかもしれないですよね。

──本作を引っ提げて、11月には年をまたぐホールツアーもスタートします。

ポルノグラフィティ

今回のツアーでは、1曲1曲をしっかり伝えられるようなアイデアを持って回りたいと思ってます……って言うとすごく当たり前に聞こえると思うんですけど(笑)。でもね、音楽をちゃんと聴かせることは当然のことだけど、それ以外の部分……ライブ自体の始め方とか、曲と曲のつなぎ方とか、そういう部分でより伝わる表現をすることは案外簡単ではないんですよ。ただ単純に派手な演出を入れて、オープニングは大げさに、そこから3曲続けてやって、「ようこそ!」って言ったあとに2曲、その後にMCみたいな流れをテンプレートっぽくやっちゃいがちだけど、それって実は音だけにおんぶに抱っこ状態、ともすると曲を消化しているだけみたいなことにもなると思うんですよ。表現者として思考停止しちゃってると言うかね。だから、そこをなんとかできるように、今まで以上にしっかり考えたいなって思うんです。

──答えがすぐには見えてこない、難しいトライアルになりそうですね。

うん。結局、何ができるのかは自分たちとしてもまだわかってないし(笑)。まあでも、「ここでこの曲やったら盛り上がるよね」「この曲並べるといい流れになるよね」みたいな思考から1歩2歩進んだらどんなライブができるのかなっていう単純な興味があるんですよね。

──ポルノは来年9月にデビュー20周年イヤーに突入します。これだけ長いキャリアをもってしてもなお、音楽に対する欲求、追及は尽きることがないんですね。

そのキャリアにあぐらをかいてる瞬間も多いから、その分しっかり考えようとしてるのかもしれないですけどね(笑)。ただ、現役で音楽をやっている限りは、しっかりやっていたいと思うんですよ。例えるなら、ギアをガチャガチャ細かく変えることはしたくない。ずっとトップギアでアクセルを踏み続けていたいなって。

──今の発言を聞いて、ポルノの代表曲である「ハネウマライダー」の歌詞が浮かびましたよ。「Handleはないけれど、曲がるつもりもない」「Brakeが軋むなら、止まるのを諦めて」っていう。

そうそう、あの曲に近いイメージだと思う。でも曲がらなきゃいけないときが来たら、ちゃんとギアを2速とかに落として危なくないようにもしますけどね。そこもまたキャリアの中で学んだことではあるので(笑)。

ポルノグラフィティ「BUTTERFLY EFFECT」
2017年10月25日発売 / SME Records
ポルノグラフィティ「BUTTERFLY EFFECT」初回限定盤

初回限定盤
[CD2枚組+DVD]
4000円 / SECL-2238~40

Amazon.co.jp

ポルノグラフィティ「BUTTERFLY EFFECT」通常盤

通常盤
[CD]
3200円 / SECL-2241

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CD収録曲
  1. THE DAY
    [作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti]
  2. Working men blues
    [作詞:新藤晴一 / 作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti]
  3. 君の愛読書がケルアックだった件
    [作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:立崎優介、田中ユウスケ、Porno Graffitti]
  4. I believe
    [作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:立崎優介、田中ユウスケ、Porno Graffitti]
  5. LiAR
    [作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:tasuku、Porno Graffitti]
  6. Fade away
    [作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti]
  7. クリスマスのHide&Seek
    [作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口 亮、Porno Graffitti]
  8. MICROWAVE
    [作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:トオミヨウ、Porno Graffitti]
  9. 夜間飛行
    [作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:宗本康兵、Porno Graffitti]
  10. 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ
    [作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti]
  11. 170828-29
    [作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:tasuku、Porno Graffitti]
  12. Montage
    [作詞:岡野昭仁 / 作曲:新藤晴一 / 編曲:篤志、Porno Graffitti]
  13. スパイス
    [作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:tasuku、Porno Graffitti]
  14. キング&クイーン
    [作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:立崎優介、近藤隆史、田中ユウスケ、Porno Graffitti]
初回限定盤CD収録曲

SPECIAL LIVE IN TAIWAN 2017.3.26 @Legacy Taipei

  1. -OPENING SE-
  2. THE DAY
  3. 今宵、月が見えずとも
  4. ヒトリノ夜
  5. LiAR
  6. サウダージ
  7. アポロ
  8. ヴォイス
  9. サボテン
  10. 黄昏ロマンス
  11. 愛が呼ぶほうへ
  12. ANGRY BIRD
  13. ハネウマライダー
  14. Mugen
  15. オー!リバル
  16. メリッサ
初回限定盤DVD収録内容
  • "SPECIAL LIVE IN TAIWAN" DOCUMENTARY
  • LiAR Video Clip
  • 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ Video Clip
  • Montage Video Clip

15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT”

  • 2017年11月17日(金)埼玉県 三郷市文化会館 大ホール
  • 2017年11月20日(月)神奈川県 カルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)ホール
  • 2017年11月23日(木・祝)北海道 釧路市民文化会館 大ホール
  • 2017年11月25日(土)北海道 ニトリ文化ホール
  • 2017年11月26日(日)北海道 ニトリ文化ホール
  • 2017年12月5日(火)香川県 レクザムホール
  • 2017年12月7日(木)鳥取県 米子コンベンションセンター BiG SHiP
  • 2017年12月9日(土)山口県 周南市文化会館
  • 2017年12月11日(月)広島県 広島文化学園HBGホール
  • 2017年12月12日(火)広島県 広島文化学園HBGホール
  • 2017年12月16日(土)福島県 郡山市民文化センター 大ホール
  • 2018年1月11日(木)岩手県 盛岡市民文化ホール 大ホール
  • 2018年1月13日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2018年1月14日(日)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2018年1月17日(水)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
  • 2018年1月18日(木)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
  • 2018年1月20日(土)鹿児島県 鹿児島市民文化ホール 第1ホール
  • 2018年1月22日(月)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
  • 2018年1月31日(水)東京都 NHKホール
  • 2018年2月1日(木)東京都 NHKホール
  • 2018年2月5日(月)東京都 オリンパスホール八王子
  • 2018年2月7日(水)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
  • 2018年2月9日(金)山梨県 コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
  • 2018年2月13日(火)大阪府 フェスティバルホール
  • 2018年2月14日(水)大阪府 フェスティバルホール
  • 2018年2月16日(金)奈良県 なら100年会館
  • 2018年2月21日(水)千葉県 市川市文化会館 大ホール
  • 2018年2月24日(土)三重県 シンフォニアテクノロジー響ホール伊勢
  • 2018年2月26日(月)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2018年2月27日(火)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2018年3月2日(金)高知県 高知県立県民文化ホール オレンジホール
  • 2018年3月4日(日)徳島県 鳴門市文化会館
  • 2018年3月7日(水)静岡県 富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
  • 2018年3月9日(金)静岡県 アクトシティ浜松 大ホール
  • 2018年3月12日(月)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
  • 2018年3月14日(水)新潟県 上越文化会館
  • 2018年3月16日(金)石川県 金沢歌劇座
  • 2018年3月18日(日)福井県 フェニックス・プラザ
  • 2018年3月20日(火)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
ポルノグラフィティ
岡野昭仁(Vo)と新藤晴一(G)からなるロックバンド。1999年9月にシングル「アポロ」でメジャーデビューし、2000年7月のシングル「ミュージック・アワー」がポカリスエットCMソングに採用され大ヒットを記録する。続く「サウダージ」は初のミリオンセールスとなり、一躍トップアーティストの仲間入りを果たす。その後も「アゲハ蝶」「幸せについて本気出して考えてみた」「メリッサ」「ハネウマライダー」「オー!リバル」などヒット曲を連発させる。2013年11月に全シングル曲を収録した3枚組のベストアルバム「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"」をリリースした。2014年9月には15年間の集大成となるスタジアムライブ「神戸・横浜ロマンスポルノ'14 ~惑ワ不ノ森~」を開催し、さらに2016年にも横浜スタジアムライブを行い2日間で6万人を動員するなど精力的にライブやリリースを重ねる中、2017年には初の台湾ワンマンライブを開催。夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」を始めとするフェスや野外ライブイベントに参加。同年10月に通算11枚目のオリジナルアルバム「BUTTERFLY EFFECT」をリリースした。