ナタリー PowerPush - →Pia-no-jaC←

ピアノ×カホンが生み出す新世界 恒例クラシックカバー集第3弾完成

地盤がしっかりしてるからどんなリングでも戦える

──そういう精力的な活動を続けてきた→Pia-no-jaC←ですが、昨年はDAISHI DANCEや嵐の二宮和也さんとのコラボレーションでさらに注目度を高めたと思います。こういう異ジャンルのアーティストと共演する楽しさってどういうところにありますか?

HIRO そういう場でも自分らのスタイルを出せるっていうのがすごく楽しいですね。→Pia-no-jaC←がこういうものだっていう地盤がしっかりしてるから、どんなリングに立っても→Pia-no-jaC←のままで戦えるし、自分たちらしさを出せるんです。

HAYATO あと、コラボレーションって僕らの幅を増やせる機会であり、より多くの人に知ってもらう場所でもあると思います。

──ナタリーでも昨年の夏に、DAISHI DANCEとのコラボ作や嵐の二宮さんとの共演のニュースあたりから、反響がどっと増えたんです。お2人はそういった部分での周りの変化を感じることはありますか?

HIRO スケールはやっぱりデカくなってるなとは感じます。

→Pia-no-jaC←

HAYATO でも、やってることは本当に変わってないので……。あっ、でもライブのキャパでは変わってるかも。最初はちっちゃいバーとかライブハウスとかストリートとかでやって、それがだんだんとライブハウスツアーになっていって、今はホールツアー。その部分は変わったかもしれないけど、またストリートでもどんどんやっていければって思いもあります。

──そこをフレキシブルにできるのも→Pia-no-jaC←の強みですもんね。

HIRO そうですね。試そうかって思ったことがすぐにやれるし、こういうライブがしたいって思ったら軽く動けますし。

HAYATO もうどこでもできますからね。

HIRO 元々2人とも、本当になんでもやってみたいんですよ。

HAYATO そう、とりあえずやってみることから始めるんで。考えるんやったら先にやってみよう、やってみて違ったら違ったでいいし、いけるやんって思ったらそれを取り入れていけばいいし。ずっと同じやったら飽きられると思うんで、変化し続けることをテーマにしてます。

HIRO 2人とも新しいことに挑戦するのが大好きなんで、どんどん食らいついていきたいなと思ってます。

クラシックを通ってないから“食べて”みた

──→Pia-no-jaC←はリリースもかなり積極的ですよね。オリジナル作品と「EAT A CLASSIC」シリーズを交互に出して。さらにすごい数のライブもやって。

→Pia-no-jaC←

HAYATO 正直めっちゃ大変なんですよ(笑)。曲を作るのも楽にできてるわけじゃないし、しかもその途中に年間250本ぐらいのライブが入ってくる(笑)。ツアー先で地元のスタジオに入ってリハーサルをして、プロデューサーにその音源を送ってアドバイスをもらって、また次の日にライブが終わったら別のスタジオに入ることの繰り返しです。

HIRO だから各都市のスタジオはだいたいわかります。

HAYATO もう財布の中に全国のスタジオの会員カードがいっぱいですからね。いろんなポイントが貯まってるし(笑)。

──あははは(笑)。で、いよいよ「EAT A CLASSIC 3」が発売されますが、そもそも最初にクラシックの楽曲を→Pia-no-jaC←流にアレンジしてカバーすることになったきっかけはなんだったですか?

HIRO 俺らは元々クラシックを通ってなくて、やっぱり食わず嫌いは良くないなっていう話で、じゃあ1回クラシックを食べてみようってことから「EAT A CLASSIC」が始まったんです。

恐る恐る作ってるうちは本当にいいものができない

──「EAT A CLASSIC」シリーズで取り上げられる楽曲って、多くの人が一度は耳にしたことがあるような曲ばかりですよね。

HAYATO 普段クラシックを聴かない人にもわかるような曲ばかりを選んで、静かに聴くんじゃなくて騒いで踊れる楽しいサウンドを目指したんです。僕らは音楽が楽しいんだというのを伝えることをすごく大切にしているから、わかりやすさは重視しましたね。

──アレンジのアイデアを出すもの大変そうな気がしますが。

HIRO 苦労するときもありますよ。「こんなの→Pia-no-jaC←らしくねえよ」って一度できかけたものを全部壊したりすることもあるんですけど、逆に悪ノリでポンポン進んでいってスッとアレンジが決まることもありますし。

HAYATO だから、聴き手を良い意味で裏切るにはどうすればいいのかってことですよね。例えば1作目の「EAT A CLASSIC」では「第九」を取り上げてるんですが、本当はメジャーコードで喜びを表していくのに、僕らの「第九」はいきなりマイナーコードでアッと言わせるという。「EAT A CLASSIC 2」は「運命」をめっちゃ明るくして(笑)。そういう遊び心っていうか、聴いたらちょっとニヤけてもらえるような音源を作りたいと思ってるんです。まぁクラシックを真剣にやってる人からは怒られそうなアレンジもいっぱいですけど(笑)。

→Pia-no-jaC←

HIRO もちろんクラシックに対するリスペクトが前提としてあって、それを→Pia-no-jaC←としてどうやって表現していくかが楽しいんです。俺らはクラシックが食べたいから食べちゃいました、その結果こうなりました、どうぞっていう感じですね。

──実際「EAT A CLASSIC」シリーズではクラシックの代表曲をカバーしているけど、それぞれ→Pia-no-jaC←ならではのオリジナルなものに仕上がっているし、正直オリジナルアルバムって呼んでもまったく違和感がないと思うんです。

HIRO 僕らの中ではオリジナルアルバムだと思ってるし、それぐらい→Pia-no-jaC←にとって重要なものだと思います。

HAYATO クラシックをやってなかった人間だからこそできるぶっ壊し方だなと。もし過去にクラシックを通ってたら、「これいいのかな……」ってビクビクしてただろうし。

HIRO そうやって恐る恐る作ってるうちは、俺らの中では本当にいいものができないんですよ。

HAYATO 「これって面白いんちゃうか?」ってスタジオで爆笑しながらやってるのがいいんだと思います。

ミニアルバム「EAT A CLASSIC 3」 / 2011年3月2日発売 [CD] 1800円(税込) / ピースプロダクション / XQIJ-1004

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CD収録曲
  1. スコット・ジョプリン / ジ・エンターテイナー
  2. リムスキー=コルサコフ / 熊蜂の飛行
  3. メンデルスゾーン / 結婚行進曲
  4. ワーグナー / ワルキューレの騎行
  5. エルガー / 威風堂々
  6. ショパン / 幻想即興曲
→Pia-no-jaC←(ぴあのじゃっく)

アーティスト写真

ピアノのHAYATO、カホンのHIROにより2005年4月に結成されたインストゥルメンタルユニット。鍵盤を中心にしたシンプルな楽器編成ながら、ジャズともクラシックとも異なるエネルギッシュでオリエンタルなサウンドが、リスナーに強烈なインパクトを与えている。2008年の1stアルバム「First Contact」を皮切りに2年間で5枚のアルバムを立て続けに発表し、合計で40万枚のセールスを突破。国内外のフェス出演を含む、年間250本以上のライブを精力的に敢行している。2010年夏にはDAISHI DANCEとのコラボアルバム「PIANO project.」をリリース。さらに、同年8月発売の嵐のアルバム「僕の見ている風景」では、二宮和也から熱いオファーを受けゲストミュージシャンとして参加した。2011年1月からは、CMクリエイター箭内道彦が手掛けるシューズブランド「ピーエフフライヤーズ」のCMソングに、アルバム「EAT A CLASSIC 3」の収録曲「ジ・エンターテイナー」を提供。現在、着実に知名度を高めているインストユニットのひとつだ。なおユニット名は、左からピアノ、右からカホンと読むことができる。