ナタリー PowerPush - PANDA 1/2

混迷の音楽シーンに白黒つける! パンダと人間の異色ユニット初登場

CORNELIUSの原曲が良すぎて手が出せなかった

──では、PANDA 1/2の音楽的なコンセプトについて教えていただけますか?

James Jr. まず、音楽的なコンセプトは2つ立てているアル。1つは日本の上質なポップミュージック、本当に後世に残すべき音楽を自分たちの感性でカバーして世界に広げていきたいということ。あともう1つはオリジナル曲についてなんだけど、そういった残すべき音楽を選んで聴いてきた先にある僕らの音楽、これについては時機を見てちゃんと発表していきたいので、今の時点では楽しみにしててくださいってところアルね。

──デビューシングルはCORNELIUS「NEW MUSIC MACHINE」のカバーですね。この曲を選んだ理由は?

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James Jr. M!nam!と出会って「どういう音楽が好きなの?」って話をしているときに、お互いの口から「CORNELIUS」の名前が出てきたわけ。そのほか共通していたのが川本真琴さんとandymoriだったのアルけど、中でもCORNELIUSは特に日本が世界に誇れるアーティストだと思うし、僕自身本当に尊敬しているし。ぜひカバーしたいと思って、来年が2010年だということもあり(笑)、歌詞に「2010年」というフレーズがある「NEW MUSIC MACHINE」を選んだわけアル。

──聴かせていただいたんですが、ギターのカッティングが特徴的な、原曲の良さを生かしたアレンジになっていますよね。

James Jr. そうアルね。カバーって、大きく分けて2パターン、つまり原曲のイメージから全く切り離すか、原曲のイメージそのままに今の時代に引き上げるか、大きくその2つのアプローチがある中、今回もいろんな解釈を考えてチャレンジしてみたんだけど、本当にこの曲は原曲のアレンジがものすごく良すぎて手が出せなかった。それで最終的に、この名曲の良さを今の若い世代に伝えようと考えたとき、やはり原曲の味をそのまま伝えるべきだな、という解釈に至ったわけアルよ。もちろん、1997年当時に比べるともうちょっと新しい音にはなってると思うアルけど。

──「NEW MUSIC MACHINE」と同じ日に「PANDA! PANDA! PANDA!」も着うたでリリースされますね。

James Jr. うん。こちらはオリジナル曲アルね。

──これはどういう曲なんでしょうか?

James Jr. パンダの曲アルね。

──歌詞のテーマみたいなものは?

James Jr. んー、全体的なイメージとしてあるのは、青春時代とかに好きな子に「好き」っていうのを伝えられない思いの部分アル。つまりその、うまく言葉にできないもどかしさみたいなものをこの曲では描いているアル。この歌の主人公は、自分の相手に対する本当に伝えたい思いというのをパンダという仮面をかぶることですっかりごまかしてしまうわけなのアル。今回はサビ部分だけを30秒の着うたとして先行リリースしているアルが、いずれシングルとして出す予定アルよ。

輝いていた90年代の雰囲気を新しい世代に伝えたい

──ところで「PANDA! PANDA! PANDA!」という曲名のセンスや、デビュー曲に「NEW MUSIC MACHINE」を選んだ点など、現時点でのPANDA 1/2の活動からは、90年代の日本の“渋谷系”的なシーンを想起させる要素がいくつかありますよね。これはどういった理由からなんでしょうか?

James Jr. そうアルか? 全くもって意識していないアル。ただ、中国にいたときに日本のシーンをいろいろと研究していた中で、僕にとっては日本の音楽シーンが一番輝いていたと感じる時期って90年代前半から95、6年ぐらいまでかな、と思っていたことが少し関係しているかも知れないアルね。その頃って多分、まあ音楽を作る側は当然ながら、音楽を届ける側の人達もみんな今よりも楽しんでやっていたように感じるし、何よりインターネットが出てくる前だったから、雑誌やラジオという媒体にも勢いがあったわけ。あの時代ってクリエイターと音楽を伝える人達とがみんな必死で、とにかくみんな一緒になって盛り上げていて、だからこそひいてはそれがリスナーを本気でドキドキさせていたのではないか、と思うわけアル。

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──じゃあ単に楽曲だけじゃなくて、シーン全体の雰囲気も含めて?

James Jr. そうアルね。だから、いわゆる“渋谷系”とかいうシーンのことだけじゃなくて、音楽がより生き生きしていた頃の雰囲気。それを、もっと今の世代に伝えたいという思いはとても強いアル。

──ただ、ひとつ心配なのはそうした姿勢は懐古趣味的に見られる危険もはらんでいるということで。もうゼロ年代も終わろうかというときに「90年代がいい」と主張していることに不安はないですか?

James Jr. これもちゃんと言うアルが、まず間違ってほしくないのは決して懐古趣味で「昔のものがよかったよね」というだけでやってるつもりは全然ないということ。僕自身、最近のアーティストや楽曲でも「あっ、いいな」と思うものはたくさんあるし、僕の作品にもそれは生きていると思う。ただ一方で、今の時代、なんというか作り手も伝える側の人々もなんとなく他人の顔色うかがって動かなくてはいけないような状況になってるようには感じるわけで、それは90年代の音楽シーンのほうが絶対的に良かった点な気がするなぁ、と思うわけアル。それを懐古趣味的だとかいう人がもしいるとしたら、全然ちゃんと音を聴けていないんじゃないっ? と思うかな。その証明は自分達が作るオリジナル曲でできるはずだと思う。まずひとつ、アレンジは明確に違うアルしね。

──音以外の部分でもPANDA 1/2の新しさは提示していけそうですか?

James Jr. そうアルね、最終的には音というところに帰結するわけなのアルけど、それ以外の要素っていうのもふんだんに提示していけると僕は考えているアル。あとは結局のところ、受け手側の世代や意識によって違ってくるだろうし。僕らのやっていることが懐古趣味的に捉えられるかどうかも、最終的には個人個人の感覚にもすごく委ねられると思うアル。まあ世代についてを一言でくくってしまうのもナンセンスだと思うんだけど、とにかく僕らは新しい感度を持っているたくさんの人たちへ向けて活動をやっていきたいと思っているアル。

──なるほど。最後にPANDA 1/2の将来的なビジョンがあれば教えていただきたいんですが。

James Jr. 目的として挙げてるのは3つあるアル。1つはワールドチャリティツアーをやって、収益の一部をWWFに寄付したい。2つ目は聖地・上野動物園でライブをやりたい。3つ目は「徹子の部屋」で黒柳徹子さんにパンダの着ぐるみを着ていただいて徹子さんとパンダトークをしたい。以上アル。

──M!nam!さんからも一言いただけませんか?

M!nam! 2010年に、日本の音楽シーンを、オセロのごとくひっくり返します。

──どうもありがとうございました!

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ニューシングル「NEW MUSIC MACHINE」 / 2009年12月23日発売 / 新熊猫音盤

  • 着うたフル®:200円 / 着うた®:100円 / CRBT:70円 / PC配信:150円(税抜)
  • 「NEW MUSIC MACHINE」ジャケット

ニューシングル「PANDA! PANDA! PANDA!」 / 2009年12月23日発売 / 新熊猫音盤

  • 着うた®:100円 / CRBT:70円
  • 「PANDA! PANDA! PANDA!」ジャケット
PANDA 1/2(ぱんだにぶんのいち)

アーティスト写真

中国・上海からやってきたパンダの音楽プロデューサーJames Panda Jr.と女性ボーカリストM!nam!によるポップユニット。CORNELIUSの名曲をカバーした配信限定シングル「NEW MUSIC MACHINE」で2009年12月23日にデビュー。