音楽ナタリー Power Push - うたパス Presents「オトガタリ」

Vol.2 佐藤健寿

ジョージ・ウィリアムズ

さまざまな分野で活躍する著名人に、自身の思い出深い音楽体験を語ってもらう連載企画「オトガタリ」。第2回目はゲストに写真家の佐藤健寿を迎え、ラジオDJでありタレントのジョージ・ウィリアムズが話を聞いた。

世界中に点在する奇妙な建物や場所を撮影した写真集「奇界遺産」シリーズが話題を呼び、TBSで放送中の人気バラエティ番組「クレイジージャーニー」への出演で注目度を高めている佐藤。中学生の頃にプロのギタリストを目指していたという彼は、自身の作品と音楽の共通項を語ってくれた。

取材 / ジョージ・ウィリアムズ 文 / 石橋果奈 撮影 / tAiki
取材協力 / 株式会社 博報堂アイ・スタジオ

 
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普通の感覚の人が「面白い」って思わなければ意味がない ──佐藤健寿

Led Zeppelinをイメージした「奇界遺産」シリーズ

左からジョージ・ウィリアムズ、佐藤健寿。

ジョージ・ウィリアムズ 佐藤さんは何がきっかけで音楽が好きになったんですか?

佐藤健寿 もともと中学生のときにギターをやっていたんですけど、音楽でプロになりたいと思っていたんです。当時は若かったのでヘヴィメタルとか、速いやつが好きで。Megadeth、Metallicaとかをすごい聴いていて、1日7時間くらいギターを練習してましたね。

ジョージ へー! メタル好きだったんですね。

佐藤 はい。それからはロックとかいろいろ聴きながらギターを続けていたんですけど、僕が大学生になったときに、ちょうどカート・コバーンが死んだり、クラブミュージックとかがメインストリームになってきたりして、ロックが全体的に元気がなくなってきた感じだったんです。それで、だんだん僕もクラブミュージックを聞くようになって。自分が聴いてる音楽と、自分が弾いてる音楽が離れていったんです。それで音楽でプロを目指すのはやめようと思って、武蔵野美術大学の映像学科に入って写真をやり始めました。

ジョージ なるほど。

佐藤健寿

佐藤 ゼミの先生がクリストフ・シャルルさんっていうフランス人のメディアアーティストの方で。彼自身、Mille Plateauxというドイツのフランクフルトを拠点とするレーベルに所属しているミュージシャンで、お父さんもダニエル・シャルルさんっていう、「ジョン・ケージ小鳥たちのために」というジョン・ケージの有名な評論を書いている方なんです。当時はラップトップミュージックが流行り始めた頃だったし、その先生の影響もあって、僕もサウンドアートっぽいことをそこでやり始めて。要はフィールドレコーディングをして、その音を取り込んで、パソコンで音響とか映像をコラージュのように組み合わせるものなんですけど。

ジョージ もともとロックが好きで、映像や写真にも興味を持って武蔵美に入ったら、また新しい音楽に出会ったんですね。やっぱり音楽やアートって近いところがあるというか。

佐藤 そうですね。音楽をやっていたことが、今直接仕事に生きてるわけじゃないんですけど、本を作るときにはアルバムの曲順をイメージして構成することもあります。1ページ目はキャッチーに、2ページ目もキャッチーに、3ページ目でちょっと落として、というような。

「奇界遺産2」表紙

ジョージ へえ!

佐藤 もっと言うと、実は「奇界遺産」シリーズはLed Zeppelinのアルバムの順序を参考にしてるんですよ。1冊目はキャッチーでわかりやすくて、2冊目はそれをもっとヘビーにしてっていう。じゃあ3冊目が出るとしたら今度は変化球なのか、そのあと4冊目で傑作みたいなものが作れたらいいな、とか。

ジョージ 「奇界遺産」をひとつのアルバムみたいに捉えてるんだ。面白い!

佐藤 あとはやっぱり写真集の中で文章を書くときも、リズム感っていうのをすごく意識していて。自分の文章を声に出して読んでみて、音的にリズムが崩れるところは直したり、余韻を残したいときは変拍子っぽいリズムにしたり。そういう感覚的なところで音楽がわりといまだに影響してるかなって。表紙もジャケット写真みたいなイメージで考えますし。

マニアックだけど人には伝わるライン

ジョージ 勝手な想像ですけど、武蔵美とか、アート系の学生さんは音楽を選ぶ基準が厳しそうですね。

佐藤 そうだと思います。僕はスティーヴ・ライヒとかブライアン・イーノがすごく好きで、CDも全部持ってるんですけど……。

ジョージ・ウィリアムズ

ジョージ ブライアン・イーノのソロ、すごくいいですよね。

佐藤 いいですよね。でも学生のとき、周りの友達は「ブライアン・イーノなんて初歩の初歩」みたいな感じで、話題にすら上がらなかったですからね(笑)。マニア気質な人が多いんですよ。

ジョージ 初歩ですか!(笑)

佐藤 それこそ友達はひたすらノイズが鳴ってるMERZBOWとか、ハードコアのすごいのとかにいっちゃう人ばかりだったんですけど、僕は当時も今も、わりと根本は大衆的というか。過激さだけの曲よりも、最終的にはポップで聴きやすい曲が好きなんですよね。その辺が自分の本とも通ずるところがあるなあと思っていて。僕の本の中ではけっこうきわどいものも扱ってるんだけど、いわゆる“アート学生”とかではなく、普通の感覚の人が見て「面白い」って感じてもらえなかったら意味がないと思って作ってるんです。

ジョージ スパイスは大事だけど、バランスも大事っていう。さっき佐藤さんが言ってた、写真集を作るときにアルバムの曲順のように構成を決めるっていうのは、そういうところにつながってくるんですね。

佐藤 そうですね。それこそエグいものを撮ろうと思ったら、例えばもっとすごい気持ち悪いミイラとか、場所もあると思うんですけど、ただ過激にやりたいわけじゃないんです。「ギリギリここまでだったら、ちょっとマニアックだけど人には伝わる」っていうラインを意識していて。

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佐藤健寿 選曲

取材で世界中を旅する佐藤がよく聴く楽曲を集めたチャンネル。

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佐藤健寿

武蔵野美術大学を卒業後、渡米。その後、写真家として活動する。世界80カ所以上を取材して撮影した写真集「奇界遺産」「奇界遺産2」が話題となり、TBSで放送中の“伝聞型紀行バラエティ”「クレイジージャーニー」でもたびたび取り上げられる。2015年1月には世界のさまざまな廃墟の写真を収録した「世界の廃墟」、9月には人工衛星で撮影された地球の姿を収めた「SATELLITE」と、自身が監修を手がけた写真集を発売。12月25日には過去10年の旅を集成したフォトエッセイ「奇界紀行」を刊行する。2016年1月2日にはNHKラジオ第1にて特番「ラジオアドベンチャー奇界遺産」を放送予定。

「奇界紀行」
佐藤健寿「奇界紀行」

2015年12月25日発売
1944円 / KADOKAWA

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ジョージ・ウィリアムズ
ジョージ・ウィリアムズ

1970年生まれ。日本とイギリスのハーフ。ラジオDJ、VJ、タレント、ナレーターとして幅広い分野で活躍。InterFM「Ready Steady George!!」やTOKYO FM「COUNTDOWN JAPAN」など多くのレギュラー番組を抱える。