ナタリー PowerPush - ORANGE RANGE

ハジけたバンドサウンド全開「spark」

ORANGE RANGEが3年9カ月ぶりのシングル「オボロナアゲハ / もしも」を含む9thアルバム「spark」を完成させた。全編にわたって打ち込み主体のサウンドが展開された前作「NEO POP STANDARD」から一転、本作では生々しいバンド感をストレートに描き出している。夏らしいポップチューンから叙情的なバラードまで、カラフルな色彩に満ちた音楽性も本作の魅力。自らのパブリックイメージを引き受けつつ、さらに奥深いバンドサウンドを追求する──このアルバムによって彼らは、新しいピークに向かって進み始めることになるだろう。

今回ナタリーではメンバー全員にインタビューを行い、「spark」の制作から現在のバンドの状況、9月からスタートするアルバムツアーなどについて、とことんリラックスした雰囲気の中で話を聞いた。

取材・文 / 森朋之 インタビュー撮影 / 福本和洋

いい意味で力が入ってない

──新作「spark」は現在のORANGE RANGEのモード、生々しいバンド感がしっかり反映された素晴らしいアルバムだと思います。

ORANGE RANGE

YAMATO(Vo) ありがとうございます!

NAOTO(G) 自分たちなりの「spark」というか、今のテンションが出てると思いますね。まあ、タイトルは後付けなんですけど。

YAMATO もしかしたら皆さんが想像する「spark」とは違うかもしれません(笑)。

HIROKI(Vo) でも最初から「spark」みたいな感じを目がけてやってたわけではなくて、自然とそういうモードになったというか……。

──制作が始まるときも、テーマみたいなものがあったわけではなく?

HIROKI ざっくりと「前回(全曲打ち込みによる「NEO POP STANDARD」)とは違うアルバムになるんだろうな」というイメージはありましたけどね。曲も早い段階でそろってたし。

RYO(Vo) うん。制作の段階から手応えがあったというか、サウンドがシンプルなぶん、完成形が見えやすかったんですよ。いいアルバムになるなっていう感じもあったし、レコーディング中のテンションもよくて。

YAMATO いい意味で力が入ってないというか、ラフにやれたんですよね。

NAOTO レコーディング期間中もこんな感じでしたよ。

──めちゃくちゃリラックスしてますよね、今日も(笑)。

HIROKI(Vo)

HIROKI 今日はわりと元気ですけどね(笑)。

NAOTO 7~8年前はもうちょっと元気だった気がしますけど…。

RYO 飲み会のときはもうちょっとハッチャけてますけどね。

NAOTO この人(RYO)、もう帰ろうかっていう時間にテキーラ持ってくるんですよ。

YOH(B) (笑)。で、翌日は誰もRYOと話さないっていう。

「バンドっぽいアルバムになりそうだな」

──レコーディング自体もゆっくりだったんですか?

NAOTO いや、けっこう短いと思いますよ。今回も録りは1週間から10日くらいだったので。

YAMATO 早かったよね。

NAOTO 準備をしっかりやって、「じゃあ、録りましょうか」っていう感じなんですよ。だからレコーディング自体はすごくスムーズなんです。

HIROKI 午後くらいに集合して、夜の12時までには終わってますからね。

左からNAOTO(G)、YAMATO(Vo)。

NAOTO 12時までに終わらないと、駐車場が閉まっちゃうから(笑)。

──そういう理由なんだ(笑)。

YAMATO でも、そんなにストイックな感じではないですよ。比較的ユルいというか……。

HIROKI 焦ったりすることもなくなったしね。

YAMATO ピリピリした雰囲気になることも少ないし。昔はヘンに時間がかかってたよね?

HIROKI (時間が)あればあるほどやっちゃってたからね。

NAOTO それもあるし、今振り返ってみると「何もしてない時間もけっこうあったな」って思うんですよ。せっかくスタジオを借りてるのに、ムダに時間を使ってるというか。

YAMATO そういう経験を経て、効率のいいやり方になって。いい感じだと思います。

RYO(Vo)

RYO うん。あと、曲ができてたっていうのが大きいと思うんですよね、やっぱり。「バンドっぽいアルバムになりそうだな」っていうのがなんとなく見えてたし、そのあとで、“いなたさ”みたい感じが加わって。

NAOTO ガレージ感とかね。

──全体的にソリッドなサウンドになってますよね。無駄なものを削ぎ落としてるというか。

NAOTO そこは意識的にやってましたね。今までにない感じ――ここまでスカスカのサウンドって、やったことがなかったんですよ。今だったらそれがカッコよくやれるというか……。音数を減らすことが不安な時期もありましたからね。

──以前だったら、もっと音を重ねてた?

NAOTO そうですね。聞こえる音は少なくても、音の層を作ったりすることも多かったので。そういう細々したことは、今回ほとんどやってないですね。もっと勢いを重視したというか。

──音数が少なくなると、1つひとつの音の質がさらに重要になるのでは?

YOH それは当然ですけど、(楽曲を)作った人の世界観に寄り添うということを意識してましたね。

ニューアルバム「spark」 / 2013年7月24日発売 / SUPER ECHO LABEL
初回限定盤 [CD+DVD] 3990円 / VIZL-561
通常盤 [CD] 3045円 / VICL-64046
CD収録曲
  1. Show Time
  2. マイペース
  3. サディスティックサマー [spark mix]
  4. Special Summer Sale
  5. リフラフ
  6. トーキョーガールズコネクション
  7. Suck it!
  8. ふぁっきん▽ラブソング(※▽はハート表記)
  9. もしも
  10. ソフトテニス
  11. オボロナアゲハ
  12. そばにいつでも
初回限定盤DVD収録内容
  1. オボロナアゲハ Music Video
  2. もしも Music Video
-LIVE TOUR 012 NEO POP STANDARD at 渋谷公会堂 July 4th, 2012-
  1. Restart
  2. Subway
  3. Hello Sunshine Hello Future
  4. Deep Blue Sea Flower
  5. Lion
  6. Baby Baby
  7. Warning
  8. Dry Hard
  9. Backpack
  10. Soul to Soul
  11. Magical Mystery Hunter
  12. サディスティックサマー
-RWD← SCREAM 013 at ZEPP TOKYO Feb. 23rd, 2013-
  1. オボロナアゲハ
配信限定ライブアルバム「LIVE TOUR 012 NEO POP STANDARD」 / 2013年7月24日発売 / 1500円 SUPER ECHO LABEL
配信限定ライブアルバム「LIVE TOUR 012 NEO POP STANDARD」
ORANGE RANGE(おれんじれんじ)

沖縄出身・在住の5人組バンド。中学の卒業パーティをきっかけに結成。2001年に現在のメンバーがそろい、地元・沖縄にある米軍のライブハウスを中心に活動を続ける。2002年2月にアルバム「オレンジボール」をインディーズから発表。以後、沖縄以外でのライブも頻繁に行うようになり、2003年6月にシングル「キリキリマイ」でメジャーデビューを果たす。続く2ndシングル「上海ハニー」がオリコンウィークリーチャート5位を記録。その後も「ロコローション」「花」「ラヴ・パレード」「キズナ」など、数々のナンバーワンヒットを飛ばす。2010年7月に自主レーベル「SUPER ECHO LABEL」を設立し、10月にアルバム「orcd」をリリース。2012年2月にはSPEEDSTAR RECORDSと提携を開始し、4月にアルバム「NEO POP STANDARD」を発表する。2013年4月にシングル「オボロナアゲハ / もしも」を、同年7月にアルバム「spark」をリリース。