ナタリー PowerPush - 野沢雅子×「ROCKMAN HOLIC ~the 25th Anniversary~」

「ロックマン」25周年盤にまさかの大御所! キャラクターソングと女優人生

人気ゲーム「ロックマン」と映像音楽制作集団「SOUND HOLIC」によるコラボレーションアルバム「ROCKMAN HOLIC ~the 25th Anniversary~」が12月19日にリリースされる。本作にはニコニコ動画などで話題のアーティストから人気声優まで幅広いゲストがボーカリストとして参加しているが、中でも一番の注目は「ドラゴンボール」孫悟空役などで知られる大御所声優、野沢雅子だ。

ナタリーでは今回、収録曲「カットマンブルース」でボーカルを務める野沢雅子にインタビューを実施。楽曲についての話題はもちろん、テレビ黎明期から現在まで第一線で活躍し続ける彼女の女優人生に迫った。

取材・文・撮影 / 臼杵成晃

 
mixiチェック

キャラクターが語りかけることが大事

──今回はSOUND HOLICさんと「ロックマン」のコラボアルバム「ROCKMAN HOLIC ~the 25th Anniversary~」についての取材なのですが、あえてボーカルで参加されている野沢さんにお話を伺うということで。

野沢雅子

あら! えっへっへっへー(笑)。よろしくお願いします。

──最初に個人的な思い入れをお話させていただきますと、僕は幼稚園の頃に「銀河鉄道999」「トム・ソーヤーの冒険」「怪物くん」を夢中で観ていて。星野鉄郎、トム・ソーヤー、怪物くんという当時の大事な僕の友達が今目の前にいらっしゃると思うと非常に感慨深くて……。

いやいや、私のほうこそ最高にうれしいですよ。その頃夢中で観てくれていた子たちと、こうして一緒にお仕事できるなんて!

──野沢さんは今までにも「怪物くん」で主題歌を歌ったり、いくつかの作品で歌の仕事がありますが、それほど多いほうではないですよね?

ほとんどないです。私、歌が苦手なんです。いつも最初は「ダメダメダメ!」ですよ。今回だってそう。「カットマンくんというとってもかわいいキャラクターで」なんてお話を聞いて「あらそう」なんて話してたら「それでマコさん、歌を歌ってほしいんですよ」「ダメダメダメー!」って(笑)。

──最初はお断りしたんですね。結果的にOKとなったのはなぜですか?

「音程は正確じゃなくていい。セリフを言うように、リズムの中に乗っかってくれたらいいんです」って言われたので、それならいいかなと思って。

──確かに、野沢さんが歌っている「カットマンブルース」は、ある意味シャンソンのように、音楽の上で語るように歌ってらっしゃいますよね。カットマンくんとして。歌の主人公になりきって心情を歌うという意味では、シャンソンと変わらないんじゃないかなって。

私ね、今まで歌った作品もそうなんですけど、キャラクターで歌うときはやっぱりその子が歌う、キャラクターが語りかけるってことを大事にしてるんですよ。

──やっぱりキャラクターが第一。でも野沢さんにしか出せない歌声というのがありますし、キャラクターとは無関係の“歌手・野沢雅子”の歌声を聴きたい人も多いと思いますよ。唯一無二のファニーボイスの持ち主なんですから。

あははは(笑)。ありがとうございます。でも今の歌は裏のリズムとか、譜割もいろいろ難しいでしょ? もうああいうのは全然ついていけないもの。裏なんて言われても、表がどこなのかもわかんない(笑)。キャラクターを通すと、セリフのリズムとして、スッと受け入れられるんですよ。

カットマンくんはみんなの友達として愛されてほしい

──実際に「カットマンブルース」を歌ってみていかがでしたか?

歌ってる間はね、楽しいんですよ。とっても。歌は苦手だけど、イヤではないんです。今回はビシッと歌わなくていい、カットマンくんになりきって歌えばいいんだからとっても楽しかった(笑)。

──レコーディングのスタッフからは、現場で細かい指示などはありましたか?

皆さん私がヘタなのわかってらっしゃるから(笑)、もう「自由に!」と言ってくださって。「野沢さんが思うカットマンでいいですから、自由に」って。

──野沢さんが考える「カットマン」像は?

ごく普通のやんちゃな男の子。舎弟のアイスマンくんに対しては、何かあれば守ってあげる。守れないかもしれないけど、お兄ちゃんのような気持ちで守ってあげるんですよね。そして尊敬する兄貴分のロックマンくんにはベッタリ付いていって。でもゴマをするような子じゃないと思うんですよ。

──そうですね。一本気な、どこか江戸っ子のようなキャラクターで。

そうなの。チャキチャキした下町っ子ね。

──その愛らしいキャラクターが、野沢さんの声でさらにいきいきと歌われてるのがいいんですよね。

そうですか? いやー、皆さんに愛されてほしいんですよ。みんなの友達としてね。少年の頃はいたでしょ? こんな子。女の子たちの間にもいたけどね。私はどっちかと言うと姉御肌なほうだったから、アイスマンくんのような子がいたらすぐに向かっていって。相手が男の子であってもコラーッ!って(笑)。

“声優・野沢雅子”の誕生

──じゃあ子供の頃はかなりやんちゃなほうでした?

やんちゃやんちゃ。おままごとよりもチャンバラ(笑)。

──野沢さんは3歳の頃から子役としての活動をスタートされたんですよね。

はい。でもそれはね、やりたくてやってたわけじゃないんですよ。私のおばが松竹蒲田時代に大スターだったんですって。小津安二郎さんや森繁久彌さんもお友達で、小津さんのことを「おっちゃん」、森繁さんのことを「しげちゃん」と呼ぶようなね(笑)。おばは私が物心付く頃には引退していたから、女優で活躍してたなんて当時の私は全然知らなかったんですけど、おばとしては映画界で自分の跡を継がせたかったらしいの。

──野沢さんのご両親は女優活動についてどのように?

野沢雅子

父も母も歌舞伎が好きだったから、赤ちゃんの頃から私を連れてったそうなんです。連れて行くと、何も言わずにおとなしくじーっと観てたんですって。そのあと小学校3年生、4年生の頃かな? 学校の学芸会に出たんですよ。その舞台が……本っ当に楽しくて。お客さんの反応がダイレクトに感じられるのが良かったんです。私が今劇団でお芝居をやっているのも、あのときの感じが忘れられないからなんですよ。

──じゃあ最初から、人前に出て緊張するようなことはなかったんですね。

日本舞踊なんかも習ってたから、慣れてたんでしょうね。それにいろんなお客様が来る家だったから、人見知りもなかったんです。にぎやかなところは大好きだし。家庭環境からもう、仕組まれちゃってたというとおかしいけど(笑)。舞台が楽しかったものだから、映画をやらせたいおばの反対を押し切って、舞台の道に進んだんです。

──女優として活動するうち、その“声”に特化した声優というお仕事に巡り会ったんですよね。それはどういうきっかけがあったんですか?

テレビの放送が始まった頃は、ドラマも全部生本番だったんですよ。それからしばらく経った頃、洋画のドラマを放送してみようということになったの。それも本番生放送で。でもそのドラマには少年がいたのね。大人の役者はいくらでも対応できるんだけど、子供に今で言う吹き替えをやらせるなんてできないじゃない? そのときプロデューサーさんが声帯が似ているということで「女性が演じればいいんじゃない?」ってひらめいたわけ。

──洋画やアニメで少年役を女性が演じるのは今となっては当たり前のことになってますけど、つまりそのとき初めて誕生したわけですね。

そう。それで各劇団やプロダクションに声がかかって、オーディションが開かれたの。私は怖いもの知らずだったんでしょうね(笑)。劇団からわけもわからずそのオーディションを受けに行って、それがきっかけ。

──その出会いが、のちにアニメの歴史に名を刻む少年たちの誕生につながると思うと感慨深いですね。そこでオファーに尻込みして引き受けてなかったとしたら、今頃鉄郎くんや悟空は……。

全然違う声だったでしょうねえ(笑)。いずれ声優に巡り会ってたかもしれないけど、少年役をやってたかどうかはわからないですよ。

SOUND HOLIC ニューアルバム「ROCKMAN HOLIC ~the 25th Anniversary~」/ 2012年12月19日発売 / 1980円 / FlyingDog / VTCL-60322
SOUND HOLIC ニューアルバム「ROCKMAN HOLIC ~the 25th Anniversary~」
収録曲
  1. GAME START
    [ロックマン2より:OPENING / TITLE / STAGE SELECT / GAME START / METALMAN STAGE / STAFF ROLL]
  2. X-Buster
    [ロックマンX5より:X vs Zero / Zero Stage 1 / Opening Theme]
  3. Shooting Star
    [ロックマン10より:NITRO RIDER(NITRO MAN STAGE)]
  4. 黄昏ロンリネス
    [ロックマン5より:DARKMAN STAGE]
  5. NAPALM JAZZ
    [ロックマン5より:NAPALMMAN STAGE]
  6. BLIZZARD
    [ロックマン6より:BLIZZARDMAN STAGE]
  7. We're The Robots
    [ロックマン9より:WE'RE THE ROBOTS(DR.WILY STAGE2)]
  8. GALAXY FANTASY
    [ロックマン9より:GALAXY FANTASY(GALAXY MAN STAGE)]
  9. カットマンブルース
    [ロックマン1より:CUTMAN STAGE]
  10. Dr.Wily Numbers 022
    [ロックマン3より:TITLE / SNAKEMAN STAGE / BOSS / GET A WEAPON]
  11. Flash in the Dark
    [ロックマン9より:FLASH IN THE DARK(DR.WILY STAGE 1)]
  12. Together As One
    [ロックマン2より:Dr.WILY STAGE 1]
  13. THE LAST BATTLE
    [ロックマン5より:Dr.WILY STAGE/LAST BOSS]
  14. エアーマンが倒せない(SOUND HOLIC Ver.)
    [「エアーマンが倒せない」リアレンジ]
  15. 太陽はいつも君のそばに
    [ロックマンX3より:Ending / Cast Roll]
  16. RELOADED
    [SOUND HOLIC オリジナル]
野沢雅子 (のざわまさこ)

10月25日生まれの女優、声優。3歳で映画デビューを果たし、中学生時代に劇団に入団。高校卒業後より本格的に女優業を行い、テレビ放送の洋画吹替を機に声優としての活動もスタートさせた。国内アニメ第1作「鉄腕アトム」よりさまざまなアニメに出演し、1968年放送の「ゲゲゲの鬼太郎」でアニメ初主演。「いなかっぺ大将」風大左衛門や「ど根性ガエル」ひろし、「あらいぐまラスカル」ラスカルなど数多くの人気アニメで主要キャラクターを担当した。1978年には「銀河鉄道999」の星野鉄郎、1980年には「怪物くん」怪物太郎を熱演。1986年からは「ドラゴンボール」シリーズで主人公の孫悟空と、その子孫である孫悟飯、孫悟天を長きにわたり演じ、代表作のひとつとなった。「いなかっぺ大将」や「怪物くん」「ドラゴンボール」では主題歌、キャラクターソングも担当。2012年12月19日リリースの人気ゲーム「ロックマン」25周年記念アルバム「ROCKMAN HOLIC ~the 25th Anniversary~」ではSOUND HOLICのプロデュースのもと、収録曲「カットマンブルース」でボーカルを務めている。