ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls

夢から生まれた「夢1号」に迫る 初披露舞台裏レポ&インタビュー

2012年は「ライブイヤー」をテーマに掲げ、過去最大数のワンマンライブを開催しているNICO Touches the Walls。彼らがそんな1年を締めくくるニューシングル「夢1号」を12月19日にリリースする。今回のシングルは、光村龍哉(Vo, G)が夢の中で作ったというメロディと歌詞をベースに、各メンバーがアイデアを持ち寄る形で制作。これまでにないほどバンドの奔放さと実験的な一面が感じられる1曲だ。

今回ナタリーは「夢1号」が初披露された11月16日のZepp Tokyo公演のリハーサルに潜入。その舞台裏のレポートとメンバーインタビューを通して新曲の魅力をひも解く。

取材・文 / 中野明子

NICO Touches the Walls「夢1号」インタビュー

NICO Touches the Wallsが「夢1号」をライブ初披露することをアナウンスしたのはライブ開催の約1週間前。その様子をインターネットで生中継することも発表し、そのニュースは大きな注目を集めていた。

そんな中で迎えたライブは、準備も普段以上に入念なものに。お昼過ぎに会場入りしたメンバーは、まずはステージで楽器のサウンドチェックを開始した。対馬祥太郎(Dr)と坂倉心悟(B)のリズム隊が音を固め、それに続いて光村と古村大介(G)の2人がギターの音を調整する。それぞれ真剣な表情を浮かべながらも、対馬のリズムにあわせて他の3人が軽いセッションを始める一幕もあり、この時点で4人はまだリラックスしているようにも見えた。

またスタッフが作業している間に4人はフロアに降り、「夢1号」の鍵となるコーラスの練習を誰からともなく始める。「3拍目で切って、4拍目でブレスを入れるのとかどう?」「そうしようか」といった会話も聞こえ、新曲披露に向けて調整をする様子が伺える。そして「よっしゃ始めますか!」と光村が合図をしたことをきっかけにリハーサルが本格的に始まった。

ライブでは笑顔を浮かべ激しく動き回る4人だが、このときは表情も動きもどこか抑えめ。リハーサルはセットリストをなぞりながら、フルサイズで通す楽曲とワンフレーズの確認のみで済ませるものと2パターンあり、どのような形で確認するかは現場での話し合いで決められていく。途中で光村が「目まぐるしいセットリストだね」とつぶやくと、古村は笑いながら「大変でしょ?」と返し、スタッフ陣の笑いを誘った。

そして本番まで2時間を切った頃、いよいよ「夢1号」のリハーサルが始まる。本番仕様の照明演出が入る中、まずはオープニングのコーラスパートがスタートした。手慣れた雰囲気で演奏されていたほかの楽曲に比べると、ぴりっとした空気が場内に漂う。演奏を中断することなくフルサイズでのパフォーマンスを終えると、緊張の糸が切れたのかメンバーは口々に「うっわ、こえー!」「ヤバい!」と叫んだ。一見すると全く問題ないようだが、本人たちにとってはいまいちな様子。それだけこの曲に賭ける思いが強いということだろう。また「この曲って『できるかな』のコーナーだよね」「これを4人でちゃんとできたら褒めてもらえるかな」と互いの顔を見合わせ、笑う姿も見られた。そして「夢1号」は2回目のリハーサルに突入。今度は緊張した空気も少し落ち着き、オープニングもバッチリ決まり、その後も美しいハーモニーが会場中に響きわたった。

「夢1号」の2度目の確認が終わるとリハーサルもほぼ終了。最後にオープニングの演出を確認する時間が設けられ、メンバーはフロアに降り、観客と同じ視点からステージを見つめる。ひととおり演出の確認が終わると、光村がバンドを代表しスタッフに挨拶をする。「今日も皆さんの力を僕らに貸してください。お客さんを驚かせましょう。今日もよろしくお願いします!」と全体の士気を高めるように語った。

練習の成果もあって、実際のライブは大盛り上がり。生中継の視聴者は延べ10万人を数え、大成功と言える結果となった。だがメンバーは自分たちに合格点を与えられなかったようで、後日行われたインタビューでその思いを吐露した。

ニューシングル「夢1号」 / 2012年12月19日発売 / Ki/oon Music
ニューシングル「夢1号」初回限定盤 [CD+グッズ] 1600円 / COZA-737~8
ニューシングル「夢1号」通常盤 [CD] 1223円 / KSCL-2172
収録曲
  1. 夢1号
  2. 決戦は金曜日
  3. Live from "ALGORHYTMIQUE"
  4. Live from "ALGORHYTMIQUE"
  5. Live from "ALGORHYTMIQUE"
初回限定盤封入グッズ
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NICO Touches the Walls (にこたっちずざうぉーるず)

2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、現在の編成となる。2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2006年2月に初のミニアルバム「Walls Is Beginning」をインディーズレーベルから発表し、翌2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たす。2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」、2009年11月に2ndフルアルバム「オーロラ」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催した。2011年4月には3rdアルバム「PASSENGER」、7月にシングル「手をたたけ」、12月に4thアルバム「HUMANIA」を発表し、それぞれの作品でバンドの新たな音楽性を提示する。2012年3月には幕張メッセイベントホールでワンマンライブを実施し、成功を収めている。2012年は「夏の大三角形」「夢1号」というシングルを2作発表。