ナタリー PowerPush - ねごと
ふんわり4人組バンド 奔放さあふれるデビュー盤を語る
ファイナルのステージで「この4人だったらもっとできるかも」って思えた
──「閃光ライオット」に応募する頃はバンド内で盛り上がりました?
沙田 ……1次、2次(審査)では、ないよね?
蒼山 全然。というか、1次がまず通るとは思ってなかったから、通ったってわかったときはビックリしちゃって。「あ、1次通ったね!」って。……2次のときはもう「ループ」ができてたので、「ループ」をすごく緊張しながら、スタジオで関係者の皆様の前で演奏して(笑)。それから3次まで行ったときは、同年代のアーティストと地方のライブ審査みたいなのがあって、それがすごく刺激になって。そこらへんから結構本気で「もうここまで来たらファイナルは出たいよね!」って気持ちになってました。
──うーん。そこまで行ってようやくそういう気持ちになったのか、という気もするんですけど。
(全員爆笑)
沙田 でもホント「あれ? 通った?」みたいな(笑)。「おかしいな」と。
蒼山 びっくりしたよね。
──じゃあファイナルのステージで演奏したときは盛り上がりました?
蒼山 はい! すごかった、景色が(笑)。6000人の方が「ループ」で手を振ってくれてる景色がすっごく感動的で……涙が出てきちゃったぐらい。あんな大きいところでやったことも、あんな大勢の人の前でやったこともなかったけど……もう、その一瞬にみんなのエナジーを詰めて詰めて、爆発させた! みたいな瞬間だったから、すっごく気持ち良かったし、楽しかった。あのときに、何か先が見えた……ただ楽しいからやってるという気持ちよりも、もうちょっと深いもの、「音楽ってすごいな」っていうか……「この4人だったらもっとできるかも」って思えた瞬間でしたね。
──なるほど。そのときの思い出は、ほかにどんなものがあります?
澤村 私はステージに上がる20分ぐらい前からずーっとトイレに行きたくって。トイレがすごく遠かったんですね。それでもう緊張どころじゃなくって……「今行ったら帰ってきて間に合うかな?」とかばっかり考えてて、結局行かずに。すごく、したいまま、ステージに上がって……でも、景色がホントすごくって、海みたいだったから、そういうことは忘れちゃって。もう楽しんでやりましたね。
──じゃあ出番が終わったら……。
澤村 あ、もう即! 行ってきました。
沙田 即だったね(笑)。
藤咲佑(B, Cho) 私は、始まる前はほんと緊張しちゃって「演奏できないなあ」「ステージ上がれない」って思ってたんです。でもみんなでステージに上がって1音パッと出した瞬間に、緊張よりも楽しくなって。それがとても思い出に残ってます。
──そういった体験を経て、このバンドでもっといろいろやっていこうということになったんですか。
蒼山 うん、そうですね。受験でライブ活動を休止するのは決まってたんですけど、「大学行ってもバンド続けようね」みたいな感じでしたね。はい。
あんまりありきたりになりたくない
──このデビューアルバムを聴いても、ねごとらしさがすでにあると思うんですよ。もう一度訊きますけど、その自分たちらしさって、どんなものだと思います?
澤村 「こういう曲」とか「こういうジャンル」とかは(最初から)全然なかったと思うな。バラバラだったし。「どういう音楽を作りたいか」みたいなこだわりって……あった?
藤咲 なんか「バラバラだからねごと」みたいなのはあって(笑)。ずっと。
沙田 去年の夏に初めて合宿をしたんですけど、その合宿中に「四つ打ちのダンスっぽいのを作りたいな」と思って「♪タッチー、タッチー」っていうのを一生懸命想像しながら作ったんですけど……なんか四つ打ちなのにダンスにならないんですよ~。
(全員爆笑)
蒼山 踊りきれない(笑)。
沙田 そう、踊りきれないダンスミュージックなのかなあ、みたいな(笑)。それは、逆にすごくねごとらしい。
──なんでそうなっちゃうんですかね?
沙田 えー、わかんないです。たぶんコードとかにこだわりすぎて、そんな、ポップなのには……ね。
蒼山 ああ、すごい明るくとか、できないんだよね? たぶん(笑)。
沙田 そう、できない(笑)。
──音にこだわりすぎて?
沙田 いや、こだわりすぎてっていうか、音に敏感だから。結構、みんなが。
蒼山 うん。あんまりありきたりなコードとかになっちゃうと、その時点でもう「あ、気持ち悪いよ!」「やだー!」みたいになっちゃうことが多くて。
沙田 「却下!」みたいな(笑)。
──それは沙田さんが決めるんですか?
沙田 そうですね、私……ですね(笑)。でも、みんな同じ意見なんだよね。「これ、ダメだ」「うん」みたいに。
蒼山 うん。「ねごとでは、ちょっと違うね」みたいになっちゃう。今回のアルバムに入ってる曲も、ねごとを結成したときに作った曲がほとんどなんですよ。だから元から「あんまりありきたりになりたくないな」っていう気持ちがあったかもしれないですね。
──なんで「ありきたりになりたくない」と思ったんですか?
蒼山 えー、なんでだろう? でも新しいことやったほうが楽しいから……。
沙田 うん。やっぱり最初に洋楽をコピーしたのが、相当良かった気がします。
──でもコピーから始まってる分、「あれみたいなの」「こういう感じ」ってなっちゃう可能性もあるんじゃ?
沙田 んー、なんか部分部分で「ここがいいから、これっぽくしたい」みたいなのはあるけど。最終的には全然そうならないのはなぜなんだろう?(笑)
蒼山 そうだね(笑)。
藤咲 「ねごとはねごとだね」って最終的に言っちゃう。
ねごと
蒼山幸子(Vo, Key)、沙田瑞紀(G, Cho)、藤咲佑(B, Cho)、澤村小夜子(Dr, Cho)から成る4人組バンド。高校2年生だった2008年1月に結成し、春に開催された「閃光ライオット2008」に応募。予選を順当に通過し、8月に行われた決勝大会に進出。審査員特別賞を受賞する。同年11月に発売された「閃光ライオット2008」コンピレーションアルバムにも、大会で披露した楽曲「ループ」で参加する。その後勉強に専念するため一時ライブ活動を休止するも、2009年9月に本格活動開始。2010年2月より行っている自主企画「お口ポカーンフェス?!」も毎回好評を博している。2010年9月29日、1stミニアルバム「Hello! "Z"」をKi/oon Recordsよりリリース。