音楽ナタリー Power Push - 南條愛乃
“南條のハコ”に詰め込まれた13の大切な言葉
カッコいいなあ、KOTOKOさん
──KOTOKOさん作詞の「idc」は、けっこうビックリさせられる1曲になりましたね。
サビの始まりが「うるさいな!」ですもんね(笑)。KOTOKOさんいつも私のことを「かわいいかわいい」って言ってくれるんですけど、そこからこんな歌詞が飛び出すとは(笑)。
──南條さんはさすがに自分で「マシュマロガールは雲の上 本当は苦くて毒もある」とは書かないだろうけど、この詞で描かれているのは確かに南條さんの一側面である、と。
そうですね。「ふわふわしてるだけじゃないところがいい」っていつも言ってくださっていて、まさにそれが出てるなって。私の曲にここまで挑発的なものは今までなかったんですけど、だからこそライブでやるときも楽しそうな曲になったなって感じですね。あとこの曲がすごいなって思ったのが小悪魔的に強気なこともたくさん言っているけど、「記念日だって忘れちゃうけど ポーズより心でしょ? こだわり見抜いて」とか、「素直なキモチ ひと雫 ブラックでいかがですか?」とか、攻撃的というよりも強気で不器用、漢気を感じるけど巡り巡って愛らしい、絶妙なバランスを堂々と表現していて。最後まで歌詞を読んだとき「カッコいいなあ、KOTOKOさん!」ってなりました(笑)。
“南條愛乃のソロアルバム”だから書けた言葉
──アルバム後半の幕開けを飾る「ツナグワタシ」は南條さんの自作詞曲……なんですけど、これ“葛藤ミュージック”その2ですよね(笑)。明るい未来に着地させてはいるけど「実力の数値なんか 目に見えないセカイで 単純思考・評論ゴッコ 今日は誰が勝ちましたか」「ワタシの存在理由? そんなこと悩む前に 他にやるべきアレコレは山積みでしょ」と強い言葉を歌ってます。
そういう思いを発散したかったのかもしれないですね(笑)。私に限らず、今、日本で普通に暮らしていると、足を引っ張るような言葉とか、いろんなノイズも聴こえてくると思うんですけど、とりあえずやらないとなんにも起きませんよっていう。そういうメッセージを私から私へ送るっていう体で書きました。
──“いつの私”が“いつの私”にメッセージを送ってるんですか?
“過去の私”が“現在の私”に、でしょうかね。自分の活動についてモヤモヤ考えたりしていた時期があったんです。当時は葛藤しながら、「これで本当によかったのか?」とか「もっと良い別の方法があったんじゃないか?」とか、不安に思っていたんですけど、過去にやった仕事から元気をもらうことができて。それに結局意味なんか考えて動けなくなるよりも、信じて前に進んでみないと何も始まらなかったんです。そんな思いを表した曲ですね。“過去の私”から“現在の私”。そして“現在の私”から“未来の私”へツナグ歌です。
──そのメッセージ性の強さにビックリさせられたんです。fripSideでの自作詞曲にここまで強い主張を詰め込んだことは……。
ここまでストレートなものはないですね。fripSideはやはりsatさんの世界観からつくる音楽だと思っているので。fripSideで書くときは、その世界観に沿うことができるよう言葉の選び方から変えていますし。「ツナグワタシ」みたいな歌詞を書けたのは、南條愛乃のソロアルバムだからなんでしょうね。
畑亜貴の生み出す“独る私”
──畑亜貴さん作詞の「ヒトビトヒトル」もある種 “葛藤ミュージック”というか。あまり声に感情を乗せずに「独りには 不埒に笑う自由がある」と歌っています。
そうやって1人でいることを「独る」っていう単語を作って表現してしまうところが畑さんのすごさですよね(笑)。しかもこの歌詞って聴けば聴くほど意味がわかって。そしてそれが自分にすごく合っていたんです。ライブでファンの方と一緒にいる空間も楽しいけど、1人でいる時間も大事なものとして取っておきたいですから。1人でいる時間は好きだし、1人でいないと見えてこないこともあったりしますし。
──確かに1人でゆっくり思索にふけることって、すごく大切な時間だったりしますよね。続く「Dear..」はこの間までμ'sで一緒に活動していた声優・飯田里穂さんが作詞。そして南條さんは飯田さんの1stアルバム「rippi-rippi」で収録曲「まだ言えないけど、◯◯◯」を作詞していて。今回は詞を交換するようなかっこうになりました。
そうですね。
──で、その飯田さんの詞なんですけど、いい意味で一番荒削りというか。出だしからして「聞いてくれる ボクの気持ち」「今だからこの言葉 伝えたくて」と、表現がすごくストレートです。
飯田さんは去年ソロで音楽活動をスタートさせていて、今回歌詞をお願いしたときも「人に歌詞を書いたことはないけど、やる気は十二分にある!! 頑張って書くよ!!!」「よろしくお願いします!!!」とりっぴー(飯田里穂)のマネージャーさんぐるみでよろしくされました(笑)。その気持ちがまずうれしかったですし、ストレートな歌詞は彼女ならではのもので。そういう歌詞だからこそ聴いてくれた人も共感できるものになったんじゃないかなって思ってます。
──確かに聴く人に“開かれた”詞になってますよね。
ですよね。そのピュアさが彼女らしくていいですよね。
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- 2ndフルアルバム「Nのハコ」 / 2016年7月13日発売 / NBCユニバーサル・エンターテイメント
- 初回限定盤 [CD+特典CD+Blu-ray2枚] / 6264円 / GNCA-1486
- 初回限定盤 [CD+特典CD+DVD2枚] / 5184円 / GNCA-1487
- 通常盤 [CD] / 3240円 / GNCA-1488
CD収録曲(共通仕様)
- きみからみたわたし
[作詞:南條愛乃 / 作曲・編曲:戸田章世]
- Oh my holiday!
[作詞:yozuca* / 作曲・編曲:黒須克彦]
- NECOME
[作詞:rino / 作曲・編曲:lotta]
- 灰色ノ街へ告グ
[作詞・作曲:しほり / 編曲:長田直之]
- ゼロイチキセキ
[作詞:南條愛乃 / 作曲・編曲:橋本由香利]
- Gerbera
[作詞:はるかひとみ / 作曲・編曲:渡辺拓也]
- ヒカリノ海
[作詞:ミルノ純 / 作曲・編曲:安瀬聖]
- idc
[作詞:KOTOKO / 作曲・編曲:黒須克彦]
- ツナグワタシ
[作詞:南條愛乃 / 作曲・編曲:黒須克彦]
- ヒトビトヒトル
[作詞:畑亜貴 / 作曲・編曲:安瀬聖]
- Dear..
[作詞:飯田里穂 / 作曲・編曲:増谷賢]
- 0-未来-
[作詞:川田まみ / 作曲・編曲:増谷賢]
- 今日もいい天気だよ
[作詞:南條愛乃 / 作曲・編曲:井内舞子]
初回限定盤付属CD収録曲
- 全力少年(スキマスイッチ)
- Time goes by(Every Little Thing)
- ラブソング(サンボマスター)
- ガーネット(奥華子)
- Stay by my side(倉木麻衣)
初回限定盤付属Blu-ray / DVD収録内容
- Yoshino Nanjo 1st LIVE「TOKYO 1/3650 ミンナとつながる365日×???」(約126分)
- リスアニ!TV「南條一間 ~じじいとわたしの60日~」全9話(約46分)
初回限定盤封入特典
- フォトブック(32ページ)
- 南條愛乃 LIVE TOUR 2016 "N" CD購入者先行応募券(シリアルナンバー付き)
通常盤封入特典(※初回生産分のみ)
- 南條愛乃 LIVE TOUR 2016 "N" CD購入者先行応募券(シリアルナンバー付き)
南條愛乃 LIVE TOUR 2016 "N"
- 2016年9月4日(日)
- 愛知県 日本特殊陶業市民会館
- 2016年9月10日(土)
- 福岡県 福岡市民会館
- 2016年9月11日(日)
- 大阪府 オリックス劇場
- 2016年9月19日(月・祝)
- 神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
- 2016年9月24日(土)
- 宮城県 仙台市民会館
南條愛乃(ナンジョウヨシノ)
7月12日、静岡県生まれの声優アーティスト。2009年よりfripSideのボーカルとしての活動を開始し、テレビアニメ「とある科学の超電磁砲」のオープニングテーマ「only my railgun」など数多くのアニメソングをユニット名義で発表する。また2010年にはメディアミックスプロジェクト「ラブライブ!School idol project」に絢瀬絵里役として参加し、同プロジェクトのユニット・μ'sのメンバーとしての活動では社会現象ともいうべき注目を集めた。その一方で2012年12月にはミニアルバム「カタルモア」でソロデビューを果たし、2015年7月、1stフルアルバム「東京 1/3650」を発表。2016年7月13日には2ndアルバム「Nのハコ」をリリースする。