音楽ナタリー Power Push - 南條愛乃
“南條のハコ”に詰め込まれた13の大切な言葉
財布は忘れません!
──いや、yozuca*さんはまさに「南條はずぼら」的な詞を……。
そうなんですよねえ(笑)。最初にいただいた詞がyozuca*さんの「Oh my holiday!」だったから「このあともみんな、こういう詞を書いてきたら……」って余計に焦りました。
──明日は休みだから「ネイルもランチもしたい」「Cafeにも行こうかな♡」って計画を立てていたにもかかわらず、午後3時まで寝てた上に二度寝を決め込んで、また別の休みの日にはカメラ片手に気張って出かけたはいいけど財布を忘れ……っていう詞だし(笑)。
一応「さすがの私も、出かけるときに財布を忘れたりはしません!」とはお伝えさせていただきつつ(笑)、でも私のことを書いたらこうなるのはよくわかるし、こういうイメージはほかの人からも持たれているだろうなあと(笑)。そしていつか本当に財布も忘れるかもしれないので(笑)、このまま歌わせていただきました。大切な方たちからいただいた歌詞で、1曲ずつ思い入れもできたので、ほかの曲についてもお話ししたくなってしまいますね……。
──あっ、ぜひ全曲解説してくださいよ。ここまでのお話を踏まえた上で3曲目「NECOME」のrinoさんの詞を読むと「なんでネコ目線?」って気になったりしますし。
私もrinoさんもネコが好きだからですね(笑)。実際、ネコって私のことを一番身近なところで見ていると思うし、そのネコの目線を借りるとより身近な存在として私のことを描けるってことなんでしょうね。
──詞の中のネコは南條さんの部屋着がアレなことを軽くディスったりしながらも(笑)、「泣きたい時は そばにいるよ」「たまに 抱きしめてほしいかも」と南條さんに愛情を寄せています。
まさに猫っぽいですよね。なんでもない日常のワンシーンがrinoさんの手によって、とんでもなく優しく穏やかで、愛情にあふれた1曲になりました。優しすぎて、いただいた歌詞を読みながらホロっときてしまいました。
私はパステルカラーの世界を見ていたのか
──そして「灰色ノ街へ告グ」は“葛藤ミュージック”その1。しほりさんが作詞と作曲を手がけています。
しほりさんと制作のお仕事でご一緒するようになったのは、私のソロデビューミニアルバムの「カタルモア」(2012年)からなんですけど、付き合い自体は10年近いんですよ。
──その10年のうちには「白み始めた窓の向こう ため息 零れた」日や、「灰色ノ街ヘ告グ 覚悟はできてる」と宣言しなきゃいけない日もあった?
しほりさんからはそう見えていた時期もあったかもしれません。この長い10年の中で、私がソロとしても活動したいことや、さまざまなことに葛藤したり、もがいてたことも打ち明けてましたからね。歌詞の中に出てくる「愛のカタチ」が私の名前の「愛乃」にかけてあったり、今作の歌詞がソロデビューミニアルバム「カタルモア」に収録されている「飛ぶサカナ」の後日談であったり、クリエイティブな遊びを交えつつも先輩として、歳上のお姉さんとして、愛情を感じました。
──ハードな1曲ではあるけど、優しい曲である「NECOME」と同じく、そこに描かれている南條愛乃像には頷けるものがある?
そうですね。こういう南條愛乃を見てくれてたんだろうなと思いますね。そして私自身に初心を思い出させてくれるような歌詞です。たとえば「パステルのカラフルな景色を」とか。
──実際は違います?
カラフルなのは変わらないですね。でも今は昔より少しは強くなれて。そうだなあ……もし今自分で書くとしたら、パステルよりも原色とか、強い言葉を選んでいたかもしれません。だけど見ている景色はやっぱりパステルなのかもしれない。
私「ガーベラが好き」って言ってたんですよ
──続く5曲目の「ゼロイチキセキ」は南條さんが作詞している上に既発曲だから……。
でもアルバムのコンセプトにちゃんとハマる曲になってくれてよかったなって思ってます。
──Twitterでつぶやいてましたもんね。「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」というネットゲームを題材にしたアニメのエンディングテーマだから、「ファイナルファンタジーXIV」をプレイしている自分とほかのプレイヤーとのつながりをイメージして詞を書けたって(参照:南條愛乃 (@nanjolno) | Twitter)。
「FF14」をやってなかったら書けなかった歌詞という意味では、この曲も“南條愛乃”のある一面を描いた曲なんです。
──だからTwitterでの言葉を借りるなら「ありがとうエオルゼア(「FF14」の舞台)」だと(笑)。で、6曲目は声優仲間、はるかひとみさん作詞の「Gerbera」。はるかさんはなぜ南條さんのことをガーベラになぞらえたんでしょう?
ひっとん(はるかひとみ)は私が最初に所属した事務所で知り合った先輩なんですけど、当時からよく一緒に遊んでくれていて。で、その頃私「ガーベラが好き」って言ってたんですよね。
──さっき言っていた「よくそんなこと覚えていてくれたな」的エピソードだ(笑)。
自分がそう言っていたことは覚えているんですけど、まさか出会ってから10年近く経っても、忘れずにいてくれたんだって……。当時のことを走馬灯のように思い出しました(笑)。
──その花言葉を盛り込みつつ、知り合った頃から現在に至るまで「希望」を胸に「前進」してきた南條さんの姿を描いているあたり、すごくこなれてますよね。
ひっとんは知り合った当時からよく作詞をしていて、その詞がすごくきれいだったから、いつか私の曲でも書いてみてほしいなって思ってたんです。そうしたらこんな素敵な歌詞が届いて。すごく背中を押されましたね。「Gerbera」の次の曲「ヒカリノ海」も当時同じ事務所の先輩だったミルノ純さんが書いてくれたんですけど、すごくミルミル(ミルノ)らしい世界観の歌詞だと思いました。
──はるかさんと同じく、すごく書き慣れてますよね。音数の少ないメロディに乗せて同じく少ない言葉数で、でもしっかりと物語を紡いでいる。
ミルミルは長く音楽活動もしていますし、当時から本当に音楽が大好きなんだなと思っていました。今回歌詞を書いていただき、自分の曲でミルミルの世界観に触れることができてよかったです。今回の曲、昔から応援してくれてるファンの人たちには刺さるワンフレーズがありますので、喜んでもらえたらうれしいですね。
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- 2ndフルアルバム「Nのハコ」 / 2016年7月13日発売 / NBCユニバーサル・エンターテイメント
- 初回限定盤 [CD+特典CD+Blu-ray2枚] / 6264円 / GNCA-1486
- 初回限定盤 [CD+特典CD+DVD2枚] / 5184円 / GNCA-1487
- 通常盤 [CD] / 3240円 / GNCA-1488
CD収録曲(共通仕様)
- きみからみたわたし
[作詞:南條愛乃 / 作曲・編曲:戸田章世]
- Oh my holiday!
[作詞:yozuca* / 作曲・編曲:黒須克彦]
- NECOME
[作詞:rino / 作曲・編曲:lotta]
- 灰色ノ街へ告グ
[作詞・作曲:しほり / 編曲:長田直之]
- ゼロイチキセキ
[作詞:南條愛乃 / 作曲・編曲:橋本由香利]
- Gerbera
[作詞:はるかひとみ / 作曲・編曲:渡辺拓也]
- ヒカリノ海
[作詞:ミルノ純 / 作曲・編曲:安瀬聖]
- idc
[作詞:KOTOKO / 作曲・編曲:黒須克彦]
- ツナグワタシ
[作詞:南條愛乃 / 作曲・編曲:黒須克彦]
- ヒトビトヒトル
[作詞:畑亜貴 / 作曲・編曲:安瀬聖]
- Dear..
[作詞:飯田里穂 / 作曲・編曲:増谷賢]
- 0-未来-
[作詞:川田まみ / 作曲・編曲:増谷賢]
- 今日もいい天気だよ
[作詞:南條愛乃 / 作曲・編曲:井内舞子]
初回限定盤付属CD収録曲
- 全力少年(スキマスイッチ)
- Time goes by(Every Little Thing)
- ラブソング(サンボマスター)
- ガーネット(奥華子)
- Stay by my side(倉木麻衣)
初回限定盤付属Blu-ray / DVD収録内容
- Yoshino Nanjo 1st LIVE「TOKYO 1/3650 ミンナとつながる365日×???」(約126分)
- リスアニ!TV「南條一間 ~じじいとわたしの60日~」全9話(約46分)
初回限定盤封入特典
- フォトブック(32ページ)
- 南條愛乃 LIVE TOUR 2016 "N" CD購入者先行応募券(シリアルナンバー付き)
通常盤封入特典(※初回生産分のみ)
- 南條愛乃 LIVE TOUR 2016 "N" CD購入者先行応募券(シリアルナンバー付き)
南條愛乃 LIVE TOUR 2016 "N"
- 2016年9月4日(日)
- 愛知県 日本特殊陶業市民会館
- 2016年9月10日(土)
- 福岡県 福岡市民会館
- 2016年9月11日(日)
- 大阪府 オリックス劇場
- 2016年9月19日(月・祝)
- 神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
- 2016年9月24日(土)
- 宮城県 仙台市民会館
南條愛乃(ナンジョウヨシノ)
7月12日、静岡県生まれの声優アーティスト。2009年よりfripSideのボーカルとしての活動を開始し、テレビアニメ「とある科学の超電磁砲」のオープニングテーマ「only my railgun」など数多くのアニメソングをユニット名義で発表する。また2010年にはメディアミックスプロジェクト「ラブライブ!School idol project」に絢瀬絵里役として参加し、同プロジェクトのユニット・μ'sのメンバーとしての活動では社会現象ともいうべき注目を集めた。その一方で2012年12月にはミニアルバム「カタルモア」でソロデビューを果たし、2015年7月、1stフルアルバム「東京 1/3650」を発表。2016年7月13日には2ndアルバム「Nのハコ」をリリースする。