「それソロでやったほうがええんちゃう？」

──エゴの曲とソロの曲って、どう作り分けているんですか？

うーん、まちまち。私の作る曲ってメロウになりがちで、それで森（雅樹 / G）くんに「それソロでやったほうがええんちゃう？」って言われてソロ用にした曲もあったりして。

──じゃあエゴでやるかもしれなかった曲もあるということですね。

うん。「エゴで出すのも違うかな？」って思ったのもあったから、それをソロ用にして。森くんって、ある音に合わせるよりも、自分から作っていくほうがええもん作れるっていうか。そういう作り方なんですよね。私が作った曲に対して森くんの何かを乗せていくっていうよりは、エゴの曲はそういうほうがいいものができる。

──中納さんってどういうふうに曲を作っていくんですか？

ピアノに向かって作ることもあれば、サンプラーで声を重ねていってできることもありますし。あとはギターで作った曲もありますね。

──ギターで作った曲もあるんですね。

今回のアルバムだと、「beautiful island」とか。永積くんと一緒にやるにあたって、永積くんにギターを弾いてもらいたかったから。

──永積さんはボーカルでも参加してますけど、ギターも弾いていたんですね。

そうそう。永積くんにギターを弾いてもらって、私がピアノに回って。

──すごく親密な雰囲気が出ていた楽曲でした。一方で坂本さんは「写真の中のあなた」の作詞のみでの参加ですか？

そうです。もともと作りかけていた曲があったんですけど、坂本さんに詞を提供してもらえることになって。それで「あの曲、いいかも」って思って。

──アレンジがとてもシンプルで、言葉がとても立っていました。

そうなんですよね。だから弾き語りでいいかなって。

聴き手が魅力を感じられるかどうか

──さっきも少し触れましたけど、中納さんのソロアルバムって、2作ともいろいろなタイプの曲が混在していますよね。でも一貫性があります。

今回は中村くんとスガちゃんががんばって一貫性を持たせてくれたから。ミックスとか、すごく中村くんが考えてくれていたと思う。

──個人的にはやっぱり中納さんが歌っているからっていうのが一番大きいのかなって。

まあ、ソロアルバムですから。

──いやいやそういう意味じゃなくて。例えば鼻歌を軽く歌っただけでも、音楽的に聞かせてしまう人っていると思うんですよ。その人が歌うだけで音楽として成立してしまう声というか。中納さんもそういう声を持っているなあと個人的に思っていて。

どうですかね。あんまり自分じゃわからないです。聴く人によるんじゃないですかね？（笑）

──聴く人の好みってことですかね？

好みっていうか、その人がどういうふうに聴くかというか。なんて言ったらええんかな。絵とか映画とか音楽とかって、全部受け手によると思っていて。例えばピカソがいいから「ピカソがいい」って思うのは前提としても、その絵がピカソの絵と知らないで観て「ええな」って思える人もいるじゃないですか。

──ああ。

だから受け手がその魅力みたいなものを感じ取れるかどうかというか、共感できるかどうか。歌っている側はただ鼻歌で「ふーん」ってやっているだけなわけですから。