ナタリー PowerPush - the mornings

ヒャッハー! 狂ったオルタナシンデレラ 1stアルバム「SAVE THE MORNINGS!」

新曲できるたびに「なんなのこれ!?」って

──ラリーさんから見て、the morningsの曲はどうですか?

ラリー なんか自分でもあんまり、わかんないんすよ。結構音楽聴くほうだと思うんですけど、でもこのバンドをやってると、どんな曲ができるのかよくわからないから楽しい。それがうちのバンドの良さだし、先が見えないから続けたいといつも思うんです。新曲できるたびに「なんなのこれ!?」って。

──「これはこういう曲です」とは言いにくいけど、よくわからない要素をたくさん詰め込んで、それを全部テンションでねじ伏せるという感じですよね。

けいか うんうん。

ジュンヤ 曲を作ってるときは、別に盛り上げるために作ってるんでもないし、むしろお客さんにはこれわかんないっしょ?っていうところも多少あるんですけど、でもライブでテンション上げて演ると、お客さんがボカーーン!!ってなって、もうバカなんじゃないかと思うくらいの反応もらったりして。

──ははは(笑)。

ポンタ 自分らもなんでここで盛り上がってるのかわからないっていう(笑)。

ジュンヤ 「ここ15拍子だよ!?」みたいな。

ラリー 「どうやって踊んの!?」って最初は思ったもんね。

ジュンヤ すっごい難解な曲をやってるのに、いきなりモッシュとか起こり始めたりして、それがびっくりした。

the mornings

ポンタ 外人がボワーー!って踊ってて。

ラリー 外人がボワーー!って踊ってたね。

──そもそもどうして変拍子なんですか?

ジュンヤ わっかんないっす。初めから面白いことをやろうってコンセプトはあって、その中の1つが、他の人があんまりやってない変拍子だったんですよ。

けいか でも変拍子流行ってたよね?

ジュンヤ いや。そんときまだそんなに流行ってないよ。てか俺はそんなに知らなかった。

──けいかさんが変拍子を叩きたくてしょうがないということではないんですか。

けいか ううん、ぜんっぜん。8ビートが叩きたくてしょうがない。

──わはは(笑)。

ラリー でも8ビート飽きるでしょ。

けいか 飽きないよ! でも最近はわりと8ビートの曲が増えてきてて「マッドチアガール」とか。叩いててすごい気持ちいい。

──「マッドチアガール」かっこいいですよね。

全員 アザース!

ポンタ 推し曲です!

感情がないんです

──あと、the morningsの特徴のひとつに、どこか乾いた感じっていうのがあると思うんです。ねっとりした日本的情緒みたいなものから遠いというか。

ジュンヤ あ、それたぶん構造がそうなんですよ。形にはすごいこだわってるけど、感情がそんなにないんですね。機械とか、なんかそういうので作ってる感じ。

けいか でもそんなマスロックみたいに数字で作り上げてるわけじゃないよね。

ジュンヤ うん。

──なんかめちゃめちゃ叫んでるのにエモくないんですよね。

全員 ああー。

ラリー 何かを伝えるような叫びじゃなくて、勝手に叫んでるみたいな。

the mornings

──そうそう。気の狂った人がただ奇声を上げてるだけ。そこにメッセージが込められてない感じが気持ちいいなあと思うんです。

ジュンヤ そうですね。歌ってる内容は仕事がめんどくせーとか、女の子が変な踊りしてるとか、そんなもんで。そこに感情を込めて歌ってるってわけじゃない。

──俺のこの思いをわかってくれ! みたいな叫びじゃないですもんね。

ジュンヤ うん、全っ然ないっす。このコードの組み合わせとか、構造とか、歌の乗り方とかカッコいいでしょ!ってそれだけ。洋楽とか昔よく聴いてたときも、歌詞なんか全然わかんなくて、ただ「わああああ!!!」って。

──ヒャッハー!気持ちいいー!! みたいな。

ジュンヤ そう、そういう感覚になるんですよね。

売るものがなくて寂しかったんで

──今回のアルバムは素晴らしい内容になったと思うんですけど、自分たちとしてはどうですか?

the mornings

けいか できた。

全員 うんうん。

ラリー うん、やっとできた。

──ライブのあのテンションをちゃんとパッケージできてますよね。

ジュンヤ そうですね、基本的には一発録りでやって。すごいミスとかしまくってて、改めて聴くと気になるっちゃ気になるんですけど、まあそれもどうでもいいやって感じです。

けいか とにかく1枚出したかったんですよね。何もなかったから、なんかライブとかすごいいっぱいやってても、初めて観て「かっこいい! CDくださーい!」って言ってくれた人に売るものがなくて寂しかったんで。

ポンタ 押し付けがましくない感じにできたっていうのは思いますね。飽きないアルバムになった。無駄なところは全部そぎ落としてるし。だから何も考えずにまずは聴いてみてください、とオススメしたい。そしてライブのほうがもっといいですって言える、今のバンドの状態はいいと思ってます。

──4人ともバンド楽しそうですよね。不安とかない感じで。

ジュンヤ 全然ないっすね。

ラリー いつも同じ感じだもんね。

ポンタ ずーっとバンドやりたいですし、その気持ちと同時に僕らの良いところって言うのは、わりと飽きっぽいっちゅうか。新しいことを求めるクセがあるっていうか。それがあるから8年間やってこれたのかなーとか思うし、そのサイクルが続く限りは気の向くままに心身捧げて働けばいいじゃんって思ってます。

the mornings - amazon surf

1stフルアルバム「SAVE THE MORNINGS!」 / 2011年1月19日発売 / 1890円(税込) / TAKE A SHOWER RECORDS / TASR-01

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CD収録曲
  1. opening act
  2. 冤罪テンプテーション
  3. amazon surf
  4. マッドチアガール
  5. 悪いお兄さん
  6. 秋芳洞
  7. マッドダンサー
  8. drug me
  9. chief
  10. 冤罪マッドサーフ remixed by Fragment(術ノ穴)
the mornings(もーにんぐす)

アーティスト写真

2003年結成。ワタナベシンペイ a.k.a. ポンタ(Vo, G, Syn)、キシノジュンヤ(Vo, G)、ナカガワ"ラリー"シンゴ(B)、けものけいか(Dr)から成る4人組。全国狭しとところかまわずライブを行い、自主企画を連発している東京オルタナティヴ界期待の若手。2008年にARTLESS NOTEとのスプリット「ARTLESS NOTE×the mornings」、2009年には「earth.ep」を自主制作音源としてリリース。VOID COMMUNITYからリリースされたDEAD KENNEDYS公認トリビュートアルバム「GET DRUNK MORE FUCK」、SEBASTIAN X、SuiseiNoboAzら東京の若手新世代バンドが集結した「Tokyo New Wave 2010」などのコンピレーションにも参加している。2011年1月、待望の1stアルバム「SAVE THE MORNINGS!」をリリース。