音楽ナタリー Power Push - デストロイはるきち(ミソッカス)×ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)対談

インディーズ時代からの盟友と本音で放談

シングル「ライジングレインボウ」でメジャーデビューを果たしたミソッカスが1stミニアルバム「反逆の♭m7(フラットマイナーセブンス)」を10月21日にリリースする。リード曲「i wanna be a ハンサム」やフジテレビ系ドラマ「無痛~診える眼~」の挿入歌「闇夜のキャラバン」などを含む本作。1990年代のJ-POPを想起させるメロディ、ヘヴィメタル、ギターロック、メロコアなどが混然一体となったミクスチャーサウンドからは、このバンドのユニークな個性と独自のクリエイティビティが強く伝わってくる。

今回音楽ナタリーでは、ミソッカスのデストロイはるきち(Vo, G)と、同じく10月21日にニューアルバム「人生はまだまだ続く」をリリースするキュウソネコカミのヤマサキセイヤ(Vo, G)の対談を企画。2011年から始まったという両バンドの交流、お互いの新作についての批評、現在のバンドシーンの分析と戦い方まで、奔放に語り合ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 小坂茂雄

「うわ、こいつらと対戦か!?」

──ミソッカスのメジャー1stミニアルバム「反逆の♭m7(フラットマイナーセブンス)」、キュウソネコカミの3rdフルアルバム「人生はまだまだ続く」が同じ日にリリースされるということで。

ヤマサキセイヤ そうなんですよ。なんでカブらせたん?

デストロイはるきち あえてカブらせたわけじゃないんだけど(笑)。俺らと交流あるアルカラの新しいアルバム(「ちぎれろ」)のリリースもカブってるし。

ヤマサキ え、何してんの? 混戦になるやん。

──ミソッカスとキュウソネコカミの交流が始まったきっかけはなんですか?

ヤマサキ 最初は(愛知・名古屋栄)TIGHT ROPE?

ヤマサキセイヤ

はるきち そうそう。「Synchronized Rockers」という深夜のイベントでツーマンライブをやって。

ヤマサキ イベントに呼ばれて行ったら、着物を着てるヤツら(当時ミソッカスはひらがなの“みそっかす”を名乗り、着物を着てライブを行っていた)がいて。その頃はミソッカスのほうが有名だったんですよ。インディーズバンドのまとめサイトで特集が組まれたりして。俺らはほかのバンドのウワサとか人気?をめっちゃ気にしてたから、「なんやねん、こいつら」と思ってチェックしてみたら「ム●ンライト伝説」という曲のクオリティがやたら高くて。「うわ、こいつらと対戦か!?」と思ってたら、ライブもめっちゃカッコよかったんですよね。お客さんもかなりついてたし。それが始まりで、2011年ですね。

はるきち 俺らもキュウソネコカミの名前はすごく聞いてました。検索してみたら、「役立たず」という曲のPVしかアップされてなくて。途中で小芝居が入って、観るのが面倒でやめちゃったんですけど。

ヤマサキ ハハハハハ(笑)。

はるきち ムチャクチャだなって思いましたね。ライブのときは“ヤンキーこわい”(「DQNなりたい、40代で死にたい」)が印象的でした。途中でシンセが入ってくるのもカッコよかったし、そこに乗ってるメロディもすごくよくて。しかも、セイヤが全然歌えてないっていう。

ヤマサキ そうやな(笑)。

はるきち そのときのイベントはほとんどミソッカスのお客さんだったんですけど、キュウソがすごくウケたんですよ。「このあとはやりづらいな」っていう感じでしたね。

ヤマサキ 僕らは次の週にハチゲキ(0.8秒と衝撃。)と対バンだったんですけど、ハチゲキは東京の強いヤツ、ミソッカスは名古屋の強いヤツっていう感じでしたね。もちろん「対バンするんやったら絶対食ってやろう」と思ってたけど。僕、売れてるバンドのフロントマンがめちゃくちゃ嫌いだったんですよ、その頃。だからその日ははるきちとも全然話してなかったんじゃないかな。はるきちが話しかけてきたけど、斜に構えてた気がする。

はるきち そうだったっけ? 物販やってたんですけど、キュウソのCDは30枚くらい売れて、俺らは8枚くらいしか売れなくて。でも、最後にセイヤが1stミニアルバム(「三次元からの離脱」)を買ってくれたんです。しかも「めっちゃカッコよかったです」って言ってくれて。素直ないい子やなって思った(笑)。

ヤマサキ 全然斜に構えてなかったか(笑)。

このくらいの年齢だと、もう売れてるか解散してるかのどっちか

──そこから継続的に対バンしてますよね?

ヤマサキ ミソッカスにはめっちゃ呼んでもらってますね。

デストロイはるきち

はるきち 俺らも名古屋でやったキュウソのレコ発に呼んでもらったりしてます。僕のほうが年上なんですけどね、セイヤより。今年30歳なんで。

ヤマサキ え、2個上?

はるきち そう。うちのほかのメンバーとセイヤがだいたい同じくらいかな。

ヤマサキ そうか。この年代のバンドって意外と少ないんですよ。30歳くらいってほかにいる?

はるきち RADWIMPSとか?

ヤマサキ あの人ら、そうなんや。ベボベ(Base Ball Bear)もそれくらいじゃない?

はるきち 後藤真希も一緒だよ。

ヤマサキ それはいいわ(笑)。28歳くらいだと、テスラは泣かない。とかブルエン(BLUE ENCOUNT)とか。KANA-BOONあたりはもっと下だしね。

はるきち (同じ世代のバンドで)横で固まれるとうれしいんだけど、このくらいの年齢だと、もう売れてるか、解散してるかのどっちかなんですよね。あとは活動休止とか“歌い手”のバンドに入ったりとか。そういうのが多くなってきて、さみしいですねえ。

ヤマサキ 同じ時期にスタートした名古屋のバンドも解散してたりする?

はるきち all that jaz:っていうバンドはがんばってるけどね。去年、解散するとかしないとかって話になって、俺もがんばって止めた。新しいアルバムで彼らに向けて1曲書いてるからね。「T.M.ハイテンション」がそうなんだけど、思い入れのあるバンドに対して書いたから、ちょっと歌詞がマジメなんだよ。

ヤマサキ そうなんや。「T.M.ハイテンション」のサビのメロディ、アルカラの「夢見る少女でいたい」に似てない?

はるきち ハハハハハ!(笑) 大丈夫、アルカラの新譜に入ってる曲にも「♪ちょっと待って」(「愛しさと切なさと純情な感情」)みたいなメロディがあるから。

ヤマサキ そこで相殺してんねや。なんや、その関係(笑)。

ミソッカス 1stミニアルバム「反逆の♭m7(フラットマイナーセブンス)」 / 2015年10月21日発売 / avex trax
初回限定盤 [CD+DVD] 2592円 / AVCD-93062/B
通常盤 [CD] 1944円 / AVCD-93063
CD収録曲
  1. i wanna be a ハンサム
  2. BTスナイパー
  3. ライジングレインボウ
  4. 真夏の果実にぶら下がって
  5. T.M.ハイテンション
  6. サンタなんていない
  7. 闇夜のキャラバン
  8. 不思議な小屋
初回限定盤DVD収録内容
  • 「ミソフェス2015」ライブ映像
キュウソネコカミ ニューアルバム「人生はまだまだ続く」 / 2015年10月21日発売 / Getting Better
「人生はまだまだ続く」
初回限定盤 [CD+DVD] 3672円 / VIZL-894
通常盤 [CD] 2916円 / VICL-64437
CD収録曲
  1. 泣くな親父
  2. MEGA SHAKE IT !
  3. イマジネンス
  4. ビーフ or チキン
  5. NEKOSAMA
  6. フラッシュバック
  7. 春になっても
  8. 記憶にございません
  9. ハッピーポンコツ
  10. ヤブ医者
  11. 適度に武士道、サムライBOYS。
初回限定盤DVD収録内容
  • OTODAMA'15~音泉魂~ × キュウソネコカミ
    1. ウィーワーインディーズバンド!!
    2. DQNなりたい、40代で死にたい
    3. MEGA SHAKE IT !
    4. ファントムヴァイブレーション
    5. GALAXY

    <MC>

    1. ハッピーポンコツ
    2. お願いシェンロン
    3. ブルース
    4. ビビった
    5. ありがとうオトダマ(アンコール)
  • DOCUMENTARY MOVIE
ミソッカス
ミソッカス

デストロイはるきち(Vo, G)、ノブリル(G, Cho)、ブルマン藤井(B, Cho)、マイケルTHEドリーム(Key)、ジャンボリー加藤(Dr, Cho)からなる5人組。デストロイはるきちの生み出すキャッチーなメロディと古今東西問わず幅広い音楽ジャンルを融合させた多彩な楽曲展開を持ち味とするロックバンド。2006年12月に「みそっかす」名義で結成され、メンバーチェンジやパートチェンジを経て現在の編成になる。地元愛知や、大阪で開催した自主企画でソールドアウトが続出するなど、精力的なライブ活動で着実に知名度を上げていく。2013年にはオーディションイベント「出れんの!? サマソニ!?」で勝ち残り、「SUMMER SONIC 2013」東京公演への出演を果たした。2014年1月1日にバンド名を「ミソッカス」に改名。2015年9月にシングル「ライジングレインボウ」でエイベックスからメジャーデビューし、10月にミニアルバム「反逆の♭m7(フラットマイナーセブンス)」をリリースする。

キュウソネコカミ
キュウソネコカミ

2009年末に大学内の“就活敗残者”を中心に兵庫県西宮で結成される。ヤマサキセイヤ(Vo, G)、オカザワカズマ(G)、カワクボタクロウ(B)、ヨコタシンノスケ(Key, Vo)、ソゴウタイスケ(Dr)による“5人組全方位対応型ネガティヴディスコパンクバンド”。2012年3月に1stフルアルバム「10代で出したかった」、12月に2ndフルアルバム「大事なお知らせ」、2013年10月に1stミニアルバム「ウィーアーインディーズバンド!!」を発表する。6月に2ndミニアルバム「チェンジ ザ ワールド」をビクターエンタテインメント内のレーベルGetting Betterよりリリース。2014年に出演したフェスやイベントでは、入場規制がかかるなど注目度の高さを証明し、メジャーにフィールドを移したあとも、バンド名の通り“窮鼠猫噛み”のごとく強いものに噛み付きながら精力的に活動している。2015年10月にフルアルバム「人生はまだまだ続く」をリリースし、対バンツアー「試練のTAIMANツアー2015」をスタートさせる。2016年には史上最大キャパとなるワンマンツアー「DMCC REAL ONEMAN TOUR 2016」を行うことが発表されている。