音楽ナタリー Power Push - デストロイはるきち(ミソッカス)×ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)対談
インディーズ時代からの盟友と本音で放談
バンドそれぞれの“戦い方”
──実際、キュウソネコカミは勝負して実績を残してますよね。「MEGA SHAKE IT !」は「メガシャキ」という大型のタイアップが付いていたし、「ミュージックステーション」にも出演して。
ヤマサキ タイアップは基本やりたいと思ってます。Mステに出させてもらったときも、やらなくていいのに(演奏中に)早着替えして。「まあ、テレビやしな。キュウソも抑え込まれるよな」って思われるのがイヤだったんで。
はるきち キュウソがMステに出てるのを見て、カート・コバーン(Nirvana)がギターを逆に構えてテレビに出たときのことを思い出した。キュウソのあれはすげえよかったな。
ヤマサキ ただ、ルールは守ったほうがええで。俺らはルールの範囲でやってるからな。
はるきち そこがうまいよな。ルールを守りながらハミ出すっていうのが。
ヤマサキ 「ダイブしたらダメ」って言われたら絶対やらないから。「ヒヨってる」って言われても、スルーする能力も身に付けたし。
──ロックバンドも戦い方を考える必要がある、と。
ヤマサキ 周りのバンドがみんな売れてますからね。ドロス([Alexandros])なんてホントに強いですよ。ミュージシャンとしての偏差値、めっちゃ高いでしょ。戦い方うまいし、カッコいいし。
──そのあたり、はるきちさんはどうですか? ミソッカスに合った戦い方もあると思うんですが。
はるきち うーん……。今見えてるところをやっていく、という感じですね。セイヤほど視野は広くないかもしれないです、まだ。
ヤマサキ でも、ミソッカスはチャンスやと思うで。だって「ライジングレインボウ」、iTunes Storeでめっちゃ売れてたやん。
はるきち そうなんだよね。
ヤマサキ 曲だけじゃなくて、それを聴いてライブに来て「うわ、こんなにいいんや!」って思わせないと。それをやらないと、一発屋で終わるで。
はるきち うん、うん。
ヤマサキ せっかく大勢の人が聴いてくれてるんやから、それをどうつなげていくか、どう売っていくか考えないと。アニメ(※「ライジングレインボウ」はアニメ「食戟のソーマ」オープニングテーマ)の人気だけじゃなくて曲のよさも絶対あるんやから、アニメのファンを巻き込んでいかないとな。
はるきち (アニメのファンが)まだバンドを認知してないのかもね。
ヤマサキ アニメ好きな人たちは「ライブハウスに行く」っていう思考になりづらいからな。声優のライブとかは行くんだろうけど。それをどうやって自分たちのお客さんに結び付けるか考えなあかんで。
音楽的流行、オマージュ、下ネタ……曲に取り入れる?
──音楽的な流行も意識してますか?
はるきち EDMとかですか? そういえば、(キュウソネコカミの)この前のアルバムでAuto-Tune使ってる曲あったよな。新しいものを入れてきてるなって思った。
ヤマサキ 今回はないけどな(笑)。でも、EDMは楽しいで。「SUMMER SONIC」で外人のDJの人を観てたら「こんなん、無限に盛り上がるやん」と思って。ギャルとかがすげえ踊ってて「チャラ!」って思ったけど(笑)、人っていうのは、音だけでこんなに踊るんやなって。俺らは踊らせたいだけじゃないけど、「やろうと思ったらできます!」という雰囲気は適当に出してるよ。今回のアルバムもレッチリみたいな曲もあれば、歌謡曲、メロコアっぽい曲もあって。「どこまでも手を出せます」ということを示したかったから。だからEDMもめっちゃ興味ある。
はるきち ミソッカスは流行りをあまり取り入れてないんだよね。
ヤマサキ 逆やな。俺ら、流行り取り入れまくりやで。後輩のバンドとか、余裕でパクるよ(笑)。「イマジネンス」は夜ダン(夜の本気ダンス)みたいにしようと思ってたし、「ビーフ or チキン」はOKAMOTO'Sと対バンすることになってそこからインスパイアされて作った曲だから。ホンマにそんな感じやで(笑)。
はるきち へー! でも、セイヤはミュージックラバーなイメージもあるけどな。タクロウ(カワクボタクロウ / B)とかもマニアックな音楽をけっこう知ってるし。
ヤマサキ 俺以外は音楽に詳しいよ(笑)。あいつらが俺を支えてくれてるから。
はるきち 音楽的なバッググランドがしっかりあるから、チャラいバンドに見えないんだよね。ちゃんと説得力があるというか。
──ミソッカスは流行に左右されず、自分たちの音楽性を追求するスタンスですか?
はるきち 「ルーツを大事にする、昔気質のバンドマン」みたいなところはありますね。曲の中にもいろんなオマージュが入ってるんですよ。アルバムに入ってる「BTスナイパー」の「シャバダバ」という歌詞はユニコーンの「大迷惑」のオマージュなんです。ひとつ前のEP(「ゴールデンミソアワード EP」)にも「愛しさと切なさと純情な感情」という曲があるし。まあ、それはモロですけど(笑)。
ヤマサキ 「BTスナイパー」って、なんで“BT”なん?
はるきち “バス停”だから。
ヤマサキ あ、そうなんや。“バスストップ”って歌詞があるから、何で“BS”じゃないんだろうと思って。
はるきち 「BSスナイパー」だと、語呂が悪いじゃん。この前、間違えて「DTスナイパー」ってスタッフに言われたけどね。童貞スナイパーはやばい(笑)。
ヤマサキ 下ネタは絶対あかんで。俺、「サンタなんていない」の「ギシギシ」(「隣の部屋では 二人愛し合ってて ギシギシ、たまらず」)もイヤやもん。
はるきち それ、初期の頃に書いた歌詞なんだよ。すげえガキっぽいし、納得しているわけではないんだけど、そのまま入れることに意味があると思って。
──セイヤさん、下ネタ嫌いなんですか?
ヤマサキ グループ魂は大好きですけど、あの人たちがいる限り、自分たちでは絶対やらないと思いますね。
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- ミソッカス 1stミニアルバム「反逆の♭m7(フラットマイナーセブンス)」 / 2015年10月21日発売 / avex trax
- 初回限定盤 [CD+DVD] 2592円 / AVCD-93062/B
- 通常盤 [CD] 1944円 / AVCD-93063
CD収録曲
- i wanna be a ハンサム
- BTスナイパー
- ライジングレインボウ
- 真夏の果実にぶら下がって
- T.M.ハイテンション
- サンタなんていない
- 闇夜のキャラバン
- 不思議な小屋
初回限定盤DVD収録内容
- 「ミソフェス2015」ライブ映像
- キュウソネコカミ ニューアルバム「人生はまだまだ続く」 / 2015年10月21日発売 / Getting Better
- 「人生はまだまだ続く」
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3672円 / VIZL-894
- 通常盤 [CD] 2916円 / VICL-64437
CD収録曲
- 泣くな親父
- MEGA SHAKE IT !
- イマジネンス
- ビーフ or チキン
- NEKOSAMA
- フラッシュバック
- 春になっても
- 記憶にございません
- ハッピーポンコツ
- ヤブ医者
- 適度に武士道、サムライBOYS。
初回限定盤DVD収録内容
- OTODAMA'15~音泉魂~ × キュウソネコカミ
- ウィーワーインディーズバンド!!
- DQNなりたい、40代で死にたい
- MEGA SHAKE IT !
- ファントムヴァイブレーション
- GALAXY
<MC>
- ハッピーポンコツ
- お願いシェンロン
- ブルース
- ビビった
- ありがとうオトダマ(アンコール)
- DOCUMENTARY MOVIE
ミソッカス
デストロイはるきち(Vo, G)、ノブリル(G, Cho)、ブルマン藤井(B, Cho)、マイケルTHEドリーム(Key)、ジャンボリー加藤(Dr, Cho)からなる5人組。デストロイはるきちの生み出すキャッチーなメロディと古今東西問わず幅広い音楽ジャンルを融合させた多彩な楽曲展開を持ち味とするロックバンド。2006年12月に「みそっかす」名義で結成され、メンバーチェンジやパートチェンジを経て現在の編成になる。地元愛知や、大阪で開催した自主企画でソールドアウトが続出するなど、精力的なライブ活動で着実に知名度を上げていく。2013年にはオーディションイベント「出れんの!? サマソニ!?」で勝ち残り、「SUMMER SONIC 2013」東京公演への出演を果たした。2014年1月1日にバンド名を「ミソッカス」に改名。2015年9月にシングル「ライジングレインボウ」でエイベックスからメジャーデビューし、10月にミニアルバム「反逆の♭m7(フラットマイナーセブンス)」をリリースする。
キュウソネコカミ
2009年末に大学内の“就活敗残者”を中心に兵庫県西宮で結成される。ヤマサキセイヤ(Vo, G)、オカザワカズマ(G)、カワクボタクロウ(B)、ヨコタシンノスケ(Key, Vo)、ソゴウタイスケ(Dr)による“5人組全方位対応型ネガティヴディスコパンクバンド”。2012年3月に1stフルアルバム「10代で出したかった」、12月に2ndフルアルバム「大事なお知らせ」、2013年10月に1stミニアルバム「ウィーアーインディーズバンド!!」を発表する。6月に2ndミニアルバム「チェンジ ザ ワールド」をビクターエンタテインメント内のレーベルGetting Betterよりリリース。2014年に出演したフェスやイベントでは、入場規制がかかるなど注目度の高さを証明し、メジャーにフィールドを移したあとも、バンド名の通り“窮鼠猫噛み”のごとく強いものに噛み付きながら精力的に活動している。2015年10月にフルアルバム「人生はまだまだ続く」をリリースし、対バンツアー「試練のTAIMANツアー2015」をスタートさせる。2016年には史上最大キャパとなるワンマンツアー「DMCC REAL ONEMAN TOUR 2016」を行うことが発表されている。