音楽ナタリー PowerPush - 「Download feat. 初音ミク」「Upload feat. Vocalist」

ボカロと歌い手の“今まで”と“これから”そらる、りぶ、minato、halyosy インタビュー

ハロルド作石 インタビュー

──CDジャケットのイラストを手がけたのは初めてだそうですね。

ハロルド作石「RiN」キービジュアル(c)ハロルド作石 / 講談社

ジャケットイラストを描いてほしいというお話を編集者経由でいただいて、ぜひやってみたいと思いまして。これまで依頼がなかったわけではないんですけど、なかなかタイミングが合わなかったんです。今回はかなりスケジュールに余裕を持ってご依頼いただいたのと、このコンピレーションアルバムの内容に興味があったんですね。歌い手さんやボーカロイドに詳しいわけではないんですけど、初音ミクという存在に興味があって。去年「SONICMANIA」の生中継で、初音ミクのパフォーマンスを初めて観たんです。実体はなくて、ステージに登場するCGに対してペンライトを持った人が盛り上がっているという光景と、日本のテクノロジーのすごさに感銘を受けて。そんなときに初音ミクのジャケットを描いてほしいっていう話がきたので、縁を感じてお受けしました。

──どんな形で制作を進めていったんですか?

レコード会社のスタッフの方からそれぞれのコンピレーション盤のコンセプトをお聞きして、何度かやり取りしながら進めました。歌い手さんについては詳しくはなかったので、「どういった感じの人ですか?」と探り探りで描いていきましたね。

──制作期間は?

本業と並行して作業していたので、構想から考えると3カ月くらい。けっこう時間かかったかもしれません。

──「Upload feat.Vocalist」には複数のキャラクターが登場していますが、描き分けに苦労されたりは?

いえ、けっこうすんなりいきましたね。女性を2人入れてください、というリクエストをいただいたのでそれを反映しつつ、自分なりにイメージを膨らませて描きました。

──歌い手ってあまり顔を出していない方もいるので、ユーザーはハロルド先生のジャケットで「これはあの歌い手じゃないか?」とか想像力をかき立てられているようですよ。

そうなんですね(笑)。でも特にどなたがどのキャラクターとは決めてはいないんです。

──一方、初音ミクを描き下ろす上で心がけたことは?

せっかく依頼をいただいた以上は、僕流のタッチでミクを描こうと思いましたね。ミクの画集をいただいて、拝見した上で、いろんなパターンがあったので、それとは違う形にしようと意識しました。

──ちなみにミクが立っている場所って……。

幕張メッセに続く屋根付きの歩道橋ですね。テレビを介してですが、僕が初めてミクを観たのが幕張メッセで行われていた「SONICMANIA」というのもありまして。あとレコード会社の方から、ミクのほうは「未来」をテーマにしてほしいとリクエストされたんですね。でも、僕はこれまで未来をイメージしたマンガやイラストを描いたことがなかったので、自分の行動範囲内で未来が感じられる場所を考えていたところ、今年の「SUMMER SONIC」に行った帰りに「これだよね!」って。あと名古屋にあるオアシス21のイメージも混ざってます。

──コンピをお聴きになっての感想は?

歌い手盤に参加している方たちは本当に歌がうまい! ボーカロイド盤はネット用語などが散りばめられた歌詞の世界が興味深かったですね。特に早口で歌われている「初音ミクの消失」はすごかったです。あれは打ち込みだからできる曲なのかなと。

──先生は仕事中はどんな音楽を聴きますか?

歌詞が入ってきてしまうとそっちが気になってしまうので、ネームとか集中したいときは歌詞がない音楽や、言葉がわからない音楽を聴くことが多いですね。

──個人的に気になっているアーティストがいたら教えてください。

最近は「SUMMER SONIC」で観たArctic Monkeysと、tofubeatsさんですね。Arctic Monkeys の「AM」は最高です。tofubeatsさんの音楽は世代もジャンルも超えてるし、すごく興味深かったです。あとBABYMETALかな。これも「SUMMER SONIC」で観たんですが、アイドルとメタルの融合というコンセプトが本当に面白いですね。音楽の進化を感じました。

──最後に読者にメッセージをいただけますか?

今回のジャケットは初音ミク、そして歌い手さんに対する尊敬の思いを持って描かせていただきました。手描きによる完全アナログで描かれた初音ミクは珍しいかなと思います(笑)。ジャケットを含めて、アルバムを楽しんでもらいたいですね。

Contents Index
そらる、りぶ、minato、halyosy インタビュー
ハロルド作石 インタビュー
V.A.「Download feat.初音ミク」 / 2014年12月10日発売 / ワーナーミュージック・ジャパン
初回限定メモリアル盤 [CD] 2808円 / WPCL-12021
通常盤 [CD] 2376円 / WPCL-12002
収録曲
  1. Connecting / halyosy feat. 初音ミク、鏡音リン、鏡音レン、巡音ルカ、KAITO、MEIKO
  2. 恋愛裁判 / 40mP feat.初音ミク
  3. 厨病激発ボーイ / れるりり feat. 鏡音レン
  4. magnet / minato feat. 初音ミク、巡音ルカ
  5. ストリーミングハート / DECO*27 feat. 初音ミク
  6. 教えて!ウィキペディアン / じーざす(ワンダフル☆オポチュニティ!) feat. 鏡音リン、鏡音レン
  7. 初音ミクの消失(feat. 石川綾子 ヴァイオリン ver.)/ cosMo@暴走P
  8. おこちゃま戦争 / ギガP feat. 鏡音リン、鏡音レン
  9. おちゃめ機能 / ゴジマジP feat. 重音テト
  10. まさに…まさに…女神サマ!! / うたたP feat. 初音ミク
  11. ロミオとシンデレラ / doriko feat. 初音ミク
  12. Right×Dark Re:stand / ELECTROCUTICA feat. 鏡音リン
  13. Calc. / ジミーサムP feat. 巡音ルカ
  14. Miss you / buzzG feat. 初音ミク
  15. morning haze / keeno feat. 初音ミク
  16. ECHO / CIRCRUSH(Circus-P + Crusher-P)feat. Gumi English
V.A.「Upload feat.Vocalist」 / 2014年12月10日発売 / ビクターエンタテインメント
初回限定メモリアル盤 [CD] 2808円 / VICL-64258
通常盤[CD] 2376円 / VICL-64259
収録曲 / アーティスト
  1. Connecting / halyosy feat.Vocalists
  2. SPICE! / minato×りぶ(Music&Lyrics:minato)
  3. 恋愛裁判 / そらる(Music&Lyrics:40mP)
  4. おちゃめ機能 / ろん(Music&Lyrics:ゴジマジP Arrangement:デスおはぎ)
  5. Miss you / KK(Music&Lyrics:buzzG)
  6. ストリーミングハート / れをる(Music&Lyrics:DECO*27)
  7. まさに…まさに…女神サマ!! / しゃけみー(Music:うたたP Lyrics:鳥居羊)
  8. 厨病激発ボーイ / りぶ(Music&Lyrics:れるりり)
  9. おこちゃま戦争 / kradness×れをる(Lyrics:れをる Music:ギガ)
  10. 初音ミクの消失(feat.石川綾子) / 弟の姉(Music&Lyrics:cosMo@暴走P)
  11. ヨンジュウナナ / りぶ(Music&Lyrics:みきとP)
  12. 教えて!ウィキペディアン / そらる×ろん(Music&Lyrics:じーざす(ワンダフル☆オポチュニティ!))
  13. ロミオとシンデレラ / halyosy(Music&Lyrics:doriko)
  14. morning haze / KK(Music&Lyrics:keeno)
ハロルド作石“直筆サイン色紙”をプレゼント!

2作品のリリースを記念して、ビクターTwitterアカウントと、ワーナーミュージックTwitterアカウントでキャンペーンを同時開催! ハロルド作石"直筆サイン色紙"をそれぞれ抽選で1名様にプレゼント!

「Download」&「Upload」発売記念トーク&サイン会

GUEST:halyosy / 弟の姉 / しゃけみー / 石川綾子 / cosMo@暴走P
MC:事務員G

開催日:2014年12月13日(土)
開催場所:アニメイト横浜
入場順抽選予定時間:14:00 / 開場時間:14:30 / 開演時間:15:00

「Download feat.初音ミク」または「Upload feat.Vocalist」を、参加券配布対象のアニメイトにてご予約(全額内金)もしくはご購入のお客様に先着でイベント参加券をお渡しいたします。

<参加券配布店舗>
アニメイト横浜店 / アニメイト池袋本店 / アニメイト秋葉原店

ハロルド作石(ハロルドサクイシ)

1969年生まれ、愛知県出身の男性マンガ家。1987年に「そうはいかん」で「第17回ちばてつや賞」優秀新人賞を受賞。同年「週刊ヤングマガジン」にてデビューを飾る。1989年、同誌に「ゴリラーマン」を連載し、強烈なインパクトを放つ主人公が話題になり、ヒットする。同作は1990年に「第14回講談社漫画賞」の一般部門を受賞した。1999年に「月刊少年マガジン」で「BECK」の連載を開始。同作は2002年に「第26回講談社漫画賞」少年部門を受賞した。さらに2002年にはトリビュートアルバムがリリースされたほか、2004年にはアニメ化、2010年には実写映画が公開された。現在「月刊少年マガジン」にて「RiN」を連載中(最新コミックス第8巻は12月17日刊行)。