ナタリー PowerPush - MAGIC PARTY
エッジの効いた本心剥き出し 名刺代わりの移籍第1弾シングル
この曲ができたことで“MAGIC BOX”が開いた
──歌詞に関しても映画からのインスパイアをもとに紡いでいったんでしょうか?
AIRI そうですね。映画の中に、オバケを作り出してしまう“ネックマシーン”っていう機械が出てくるんですけど、そこから不可能を可能にさせるパワーっていうものをまず感じたんです。あとは、相武紗季さんが演じている杉奈という女の子にもインスパイアされました。誰に何を言われても、笑われても自分を貫き通す強さを持ってる子なんですよ。
──歌詞にはまさにそういうフレーズが出てきてますね。
AIRI はい。そもそも“ネックマシーン”というものは杉奈の好奇心から生まれたものなんですね。で、そういう好奇心っていうのは、普段の生活の中で絶対に忘れちゃいけないものだし、自分にしかない特別なものでもあると思ったんです。なので、それを“MAGIC BOX”っていうものに見立てて、あなた自身の心の中にかならずあるんだよっていうことを伝えたいなって。
──この曲が、聴く人それぞれが持っている箱を開けるカギになりそうですね。
AIRI 私自身、この曲ができたことで“MAGIC BOX”が開いたというか、「あ、忘れたらいけない」って改めて気づけたんですよ。だからできるかな、できないかなって迷ってるヒマがあったら、その箱を開けてみるほうが絶対早いんだよ、それが絶対プラスになるんだよっていうことにリスナーの皆さんにも気づいてほしいですね。
──ちなみに本田さんの“MAGIC BOX”は?
本田 昔はあったと思うんですけどね。もちろん今もあると思うんですけど……探さないと見つからないかもしれないです(笑)。
AIRI アハハハハ。
──でも音楽を作る上では、意識せずともそういう箱が開いてるのでは?
本田 あ、そういうときに関しては開いてると思うんですけど、プライベートではなかなかね、見つからない(笑)。
──アハハ。あとはグルーヴィなサウンドにマッチした歌声もすごく気持ち良かったです。
AIRI 聴いてる人のカラダが自然に踊り出すような感じで歌いました。あのギターリフから始まって、どんどんテンションが上がっていき、サビは言葉が伝わるように真っ直ぐ伸びやかに。自分もレコーディングブースの中でかなりノリノリでした(笑)。そういう感じが伝わればいいですね。
本田 Aメロはすごく自由に。で、サビでは一気に解き放たれる感じですよね。曲作りの段階でそういうイメージがあったので、それをうまいこと歌ってくれたなって思います。
「わがままJOYガール」の歌詞は「モロにAIRI」
──ではカップリングのお話も。まずはドラマ「豆腐姉妹」(WOWOWで放送)のエンディングテーマとなっている「わがままJOYガール」。ほんのり切なさがありつつも、すごく気持ち良い曲ですね。
本田 これも台本を先にいただいて、それを読んでから楽曲制作に入りました。ちょっと切なさがありつつ、でも明るいポップロックみたいなリクエストがあったので、そこを意識しつつ、自分たちとしては初めてシャッフルのリズムを取り入れてみて。ただ、それだけだとストレートな印象になってしまうんで、あえてサビでは半音転調させたりとか、ちょっとクセをつけたりもしました。
AIRI 歌詞では、強そうに見えてもホントは弱い部分があるっていう、みんなに当てはまるようなことを私の言葉で表現しました。光史郎さんには「モロにAIRIちゃんだね」って言われちゃいましたけど(笑)。
本田 今までいろいろ歌詞を見てきた中で、たぶん一番自分をストレートに出してるなって。
AIRI 自己紹介みたいな感じですね(笑)。あとは、今を楽しく生きることが一番大事なんだよっていうことも伝えたくて。過去にこだわったり、未来に不安があったりしても、今があるからこそすべてが成り立つと思うんです。何の変哲もない、ありふれた日常でも、それが未来のためになるから。
──この曲はすでにライブでも披露されているそうですね。
本田 やり始めてまだ数回なんですけど、僕らのライブのキモになってきてます。テンポ感もすごくあるので。
AIRI やっていて、自分たちも気持ちが盛り上がりますからね。
MAGIC PARTY(まじっくぱーてぃー)
AIRI(Vo)と本田光史郎(B、Compose)の2人からなるポップユニット。2008年春結成。ライブハウスを中心に活動をスタートさせ、2009年9月にインディーズから初音源「エリナリ」を発表。11月にリリースしたメジャー1stシングル「Believe in Paradise」はドラマ「深夜食堂」主題歌に抜擢され話題を集める。12月2日には風味堂の渡和久をフィーチャーした2ndシングル「奇跡の夜」をリリース。60~70年代のサイケデリックロックをベースにさまざまなジャンルの音楽を取り入れた最新型のサウンドは、AIRIが手がける歌詞の世界ともあいまって、独自の魅力を作り出している。