「It's You」はいろんな人の応援歌にしたかった

──今回の「It's You」はドラマ主題歌のオファーがあって、そこから作り始めた曲なんですか？

NAOKI（G, B, Key）　ええ。今年の頭ぐらいにそういう話があって。でも曲は随時作っていたので「よし『It's You』を作ろう」っていう感じではなかったですね。

KUMI（Vo）　今年の2月ぐらいにスタジオに入り始める前はちょっと休んでいたから、「そろそろ曲書こうか？」っていう時期と、ドラマの制作側からお話をいただいた時期が重なったので、ちょうどよかったですね。

──話はさかのぼるんですけど、「絶対零度」のシーズン1では「Dry Town ～Theme of Zero～」がメインテーマに起用されましたよね。あれはどんな理由から？

KUMI　ドラマのプロデューサーさんが「dry town」が大好きで。

NAOKI　最初からこの曲をイメージしてたって言ってたよね。で、「ドラマに合わせてこの曲のリミックスができないか？」って打診がシーズン1のときにあったんだけど、リミックスを作りたいという気持ちは自分たちの中になかったので「2010年の『dry town』を提供します」って言って、レコーディングし直したんだよね。

──そして今回も主題歌を、とオファーがあったと。いかがでしたか？

NAOKI　うれしかったね。プロデューサーの方が、頭の中でLOVE PSYCHEDELICOの音楽とストーリーをリンクさせて、作品に反映させてくれているのが単純にうれしかったし。もう一度コラボレートしたいと思ってくれることに対して感謝の気持ちがありましたね。

──曲に対するリクエストはあったんですか？

KUMI　いえ、もう好きに作ってくださいって（笑）。

NAOKI　ただそのタイミングで震災が起きたので、それがドラマの方向性に少なからず影響を与えたみたいなんです。震災直後に電話で話しているときに「シーズン1とはちょっと形が変わってしまうかもしれないけれども、今の日本の皆さんに夢と希望を与えたい。今、自分たちのようなエンタテインメントの世界にいる人にできるのはそれだと思うので」って言われて、そういう作品を作りましょう、って。約束ごとはそれぐらいでしたね。

KUMI　うん。

NAOKI　そういう中で、ドラマの主人公を応援する歌であると同時に、被災された方々に希望を与えられるような歌にしたいと思ったんですよね。明日を信じてがんばろうとしている全国のみんなへの応援歌にもしたかったし。そういうことを考えて作りましたね。

私たちにできることは曲を作ること

──震災直後は、音楽を作ることに対してどんな心境でしたか？

KUMI　もう1回見つめ直したというか。「音楽ってなんだろう」とか「音楽を通して私たちは何ができるんだろう」ということを考えましたね。自分と向き合った末に、早い段階で音楽の力を認識して。今、私たちにできることは曲を作ることだ、っていう答えは割とすぐに出ましたね。

──アーティストの中には、震災以降、歌詞が書けないっていう人もいたりしますが。

KUMI　気持ちはわかりますね。でも今回のシングルは、人を元気付けたい、ポジティブな気持ちになれるようなものを作りたいっていう思いが強かったから、メロディも歌詞も迷わなかったかな。震災を受けて「（自分が）何か変わらなきゃいけない！」って思ってたら曲は書けなかったと思うんですよね。だからとにかくそのときは、私たちが今できることをシンプルにやったというか。

NAOKI　この曲で自分たちがしたいことっていうのが明確だったよね。やっぱり1曲にすべての思いを詰め込むのは無理だと思うんですよね。実は今、何曲か並行して作っていて、できあがった曲を1曲単位でもいいから、みんなに届けたいっていう気持ちが強くなってるんです。「It's You」もその中の1曲ですね。