音楽ナタリー Power Push - LoVendoЯ

開花し始めた4人の表現力

LoVendoЯが両A面シングル「宝物 / イツワリ」をリリースした。今作の表題曲はどちらも田中れいなが作詞を担当。魚住有希作曲の「宝物」はこれまでのハードな路線とは一線を画した温かみのあるミディアムナンバーに仕上がっており、一方の「イツワリ」は作曲家・鈴木盛広による大人の恋愛を歌ったクールかつエッジーなロックチューンとなっている。

音楽ナタリーでは、今作の発売を記念してメンバー全員にインタビューを実施。歌詞が生まれるまでのエピソードや、楽曲制作に取り組む姿勢などをたっぷりと語ってもらった。

取材 / 倉嶌孝彦 文 / 田中和宏 撮影 / 入江達也

自作曲が音源化されるまで

──今回の2ndシングルにはメンバー自身が作詞、作曲に携わった楽曲が収録されています。デビューシングル「いいんじゃない? / 普通の私 ガンバレ!」(2015年7月発売)では中島卓偉さん、つんく♂さんが楽曲を提供していましたが、なぜ今回は自分たちで制作することになったんですか?

LoVendoЯ

田中れいな(Vo) 今回初めて「みんなで曲を作るぞ!」という気持ちになったわけではないんです。それぞれが作詞なり作曲なりを続けてきた結果、ディレクターさんからも「今なら自作曲でいける」って判断してもらえて、音源化することができました。

──1曲目の「宝物」はこれまでのLoVendoЯにない友情を歌った温かみのあるミディアムチューンになっています。作詞を担当した田中さんはメンバーのことを思い浮かべて書いたんですか?

岡田万里奈(Vo) ミュージックビデオはメンバー同士の友情を描いたものになっていますが、この歌詞は田中さんが私たちについて書いたものではないんですよ。

田中 素敵なMVを監督さんに作っていただいたんですけど、歌詞が生まれた経緯は全然違って、私の友達を思って書いた曲なんです。これまで全然友達がいなかったんですけど、去年の夏に友達がたくさんできて、11月の自分の誕生日を盛大にお祝いしてもらって。たくさん「ありがとう」って伝えたけど、この先もうこんなふうに集まることはないんだろうなって想像したら寂しい気持ちになって泣けてきちゃったんです。そういううれしさ、悲しさや、感謝の気持ちを歌詞に込めました。

「宝物」は友情がテーマ

──去年の夏に友達が増えたのはどうしてですか?

田中れいな(Vo)

田中 時間に余裕ができたっていうのが大きいですね。今までは仕事優先で広く浅くみたいな付き合いが多かったけど、去年の夏にひょんなきっかけで知り合った友達とすごく仲良くなって。その友達と一緒にいるのが本当に楽しくて、どんどんその輪が広がっていったんです。モーニング娘。のときは毎日に追われて心に余裕がないのが普通だったけど、卒業してから気付いたのが「ああ、毎日戦ってたなあ」っていうことでしたね。

──グループのセンター争いからも解放されたわけですからね。

田中 モーニング娘。だとセンターをやることになったら、もう次のシングルでどうなるかが気になるんですよ。センターだとキープするか落とされるしかないから、手放しで「センターやったー!」って喜ぶことはほとんどなかったんです。

──そのときに比べると、今は気持ち的にも余裕がありそうですね。

田中 でも私は「勝ちたい!」という思いとか競争心がない状況だと、自分が腐ってしまうって常に思っていて。LoVendoЯをやり始めてから、参考にする先輩もバンドもいなかったので、自分がモーニング娘。で先輩よりも目立つ方法を探してた時期の映像を観たんです。そこでとにかくダンスで目立とうと必死になってる自分を「このときの自分ってすごい健気でかわいいなあ」と我ながらに感じたので、初心は忘れちゃいけないなって思います。

──魚住さんは歌詞のテーマを受けて作曲したんですか?

魚住有希(G) いえ、シングルを出す前にディレクターさんから「デモを作ろう」って課題が出たタイミングで曲作りをしました。いくつか作っていて、最初は「イツワリ」のようなハードな曲ばかり書いていたんですが、明るいバラード曲がなかったことに気が付いて方向性を変えてみました。そしたら田中さんが書こうとしていた歌詞のテーマとマッチしたんです。

田中 今までのLoVendoЯだと「宝物」で歌っているようなことがハマる曲調がなかったんですけど、姉さん(魚住)が素晴らしいデモを作ってくれたんで、「よし、これに思いを込めよう!」って決めて1日で歌詞が書けました。

宮澤茉凜(G) 私もオケを聴いた段階で「友達」というキーワードが浮かんでたんです。で、歌詞を見たらまさにそのテーマだったので驚きました。出会いと別れの多い春にぴったりの曲になったと思います。

岡田万里奈(Vo)

岡田 もともとこういう曲調が好きだったし、ストレートな歌詞だから自分のことのようにも思えました。歌に感情を込めやすかったです。

──この曲はバンドサウンドにも温かみがある気がします。

魚住 今回もギターは全部自分たちで演奏しています。デモの段階ではサビに入る前までがRadioheadみたいなダークな感じだったんですが、アレンジャーの宮永治郎さんが編曲してくださったことで全体がふんわり明るい印象になりました。

ニューシングル「宝物 / イツワリ」 / 2016年2月24日発売 / zetima / 初回限定盤 [CD+DVD] / 2000円 / EPCE-7194~5
ニューシングル「宝物 / イツワリ」初回限定盤
通常盤A [CD] / 1080円 / EPCE-7196
通常盤B [CD] / 1080円 / EPCE-7197
初回限定盤CD収録曲
  1. 宝物
  2. イツワリ
  3. 宝物(Instrumental)
  4. イツワリ(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  • 宝物(Music Video)
  • イツワリ(Music Video)
通常盤A CD収録曲
  1. 宝物
  2. イツワリ
  3. カレーライス
  4. 宝物(Instrumental)
  5. イツワリ(Instrumental)
通常盤B CD収録曲
  1. 宝物
  2. イツワリ
  3. YELL~あなたに贈る~
  4. 宝物(Instrumental)
  5. イツワリ(Instrumental)

LoVendoЯ「ラベビタEX ライブツアー2016春」

2016年3月5日(土)
神奈川県 F.A.D yokohama
2016年3月26日(土)
埼玉県 西川口Hearts
2016年4月2日(土)
東京都 SHIBUYA CYCLONE
2016年4月9日(土)
大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
LoVendoЯ(ラベンダー)
LoVendoЯ

田中れいな(Vo / ex. モーニング娘。)、岡田万里奈(Vo)、魚住有希(G)、宮澤茉凜(G)の4人組バンド。2012年6月に「田中れいなとバンドやりたい女子メンバー大募集!」と題したオーディションが実施され、田中が応募総数約4000人の中から勝ち残った3人を迎え、ツインボーカル、ツインギター編成で11月に活動をスタートさせた。田中が2013年5月に10年以上在籍していたモーニング娘。を卒業した翌日、インディーズデビュー作となるカバーアルバム「ラベンダー カバー The ROCK」を発売。その後アップフロントグループ所属のアーティストが登場するライブイベント「MUSIC FESTA」への出演や、ライブツアーを重ね、2015年7月に1stシングル「いいんじゃない? / 普通の私 ガンバレ!」でメジャーデビュー。同年の「第48回 日本有線大賞」で新人賞を受賞した。2016年2月に2ndシングル「宝物 / イツワリ」をリリースし、3月からは岡田、魚住、宮澤とBitter & Sweetの田崎あさひ、長谷川萌美の5人編成によるライブツアー「ラベビタEX ライブツアー2016春」を開催。また5月6日からはLoVendoЯの全国ツアー「LoVendoЯ LIVE TOUR 2016 ~POWEЯ!~」を実施する。