ナタリー PowerPush - KETTLES

気にしてばっかりのロックスター 目指すは「おいしいバンド」

2010年9月、下北沢発の音楽配信サイトMajixよりアルバム「ビー・マイ・ケトル」を発表し、一気に注目を集めた男女2人組バンドKETTLES(ケトルス)。配信限定で発売されたこのアルバムが、追加楽曲を含むリニューアル盤となって6月15日にCDリリースされた。

今回ナタリーではメンバーのコイケ(Vo, G)、オカヤス(Dr, Vo)にインタビューを行い、独特なムードを持つ2人のパーソナリティに迫った。

取材・文/臼杵成晃 撮影/中西求

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10年ぐらいずーっと一緒

──KETTLES結成の2008年まで、お2人はどういう音楽活動を行ってたんですか?

コイケ 僕ら2人は前のバンドも含め、10年ぐらいずーっと一緒にやってるんです。

──KETTLESはボーカル&ギターとドラムの2人だけという変則的なスタイルですけど、それ以前のバンドには、ベーシストはいましたか?

コイケ はい。最初はギター、ベース、ドラムのスリーピースのバンドで。そのバンドが解散したあと、ちょうど同じ頃にバンドを解散したギターの子と一緒にスタジオで遊んでて「じゃあ、やる?」って。ギター、ギター、ドラムのスリーピースで、KETTLESの直前までやってました。

インタビュー風景

オカヤス それも3年ぐらいでまた解散になって。半年くらい経ってじゃあとりあえず2人でやろうかと。

──ひとつ前のバンドですでにベースレスだったんですね。ギターのうちの1人が「じゃあベースに持ち変えてみようか」っていう発想にはならなかったんですか?

オカヤス 前のバンドを始めた頃は、とりあえずスタジオに集まって好きな曲をコピーしてるだけだったんです。遊びに来た友達がベースレンタルして弾くみたいな。もう1人の子もギターボーカルだったから、コイケさんとその子が好きな曲を歌い合ってるだけ。

コイケ どっちもベースをやりたくない(笑)。

80年以降は信じねえ

──KETTLESはレコーディング作品もベースレスだから、サウンドとして確固としたこだわりがあるのかなと思っていたのですが。

コイケ 単にベースが弾けないんですよ(笑)。でも、CDにはベースがいるのにライブにはいないというのは興ざめというか、しっくりこないんですよね。いないならいないなりに、そのままいきたい。

オカヤス 結局、ベースを入れるというよりは、もう1人入れるのが難しいんですよ。バンドに人間をもう1人入れることが。

コイケ 2人で長くやってる分、感覚的なことは説明しなくてもわかるんですけど、もう1人いるとそれを説明しないとならない。いい感じでお互い共有できて、刺激もあって、っていう関係が理想だから、3人目を探すのが大変なんです。

──2人の音楽的傾向は10年前とそんなに変わってない?

インタビュー風景

オカヤス いや、変わってます。

──10年前は具体的にどういうバンドを目指してたんですか?

コイケ 俺は初期パンクとか好きなんで、1980年以降は信じねえみたいな(笑)。ニューウェイブ以降の音楽はちょっと苦手だと思ってたんですけど、前のバンドを始めた頃にTHE STROKES、THE LIBERTINESとかあのへんを聴いて「これもいい!」って。そこからまたたどっていって、今の感じになったのかな。

オカヤス 私は最初の頃は8ビートばっかりやってました。8ビートをいかにカッコよく叩けるか。私はTHE CLASHの1st(アルバム「白い暴動」)のチープでタイトな感じに衝撃を受けて。キックも軽くて、トンタ、トンタみたいな。ベースがいなくなっちゃってからは、やる作業がちょっと増えちゃいましたけど。8ビートだけだとちょっと音楽の幅が狭くなっちゃうので。

──ドラムがもっと饒舌にならざるを得ない。

オカヤス そう。そのあともう1人抜けてからは、ステージでも前に出るようになったんですよ。これでまた大幅に変わりましたね。「2人しかいないのに俺が前、お前が後ろはおかしい」って(笑)。

まずは「名刺代わりの盤」を作りたかった

──KETTLESとしての最初の自主音源CD-R「ケトルス上陸作戦」は、カセットMTRを使って録ったんですよね。2008年以降なら廉価なデジタルMTRやDTMソフトがいくらでもあったと思うんですが。

オカヤス 2人ともパソコンも持ってないし、どうせいい機材使っても使いこなせないから。もともとカセットの音が好きだったんで、これでやってみようかって。

コイケ ハードディスクのやつはなんかもうボタンがいっぱいあるし、使いきれなくて(笑)。とりあえず最終的にCD-Rに焼ければいいやっていう。

オカヤス でも1stは結構気に入ってるよね。作ったときは「よし、これを引っさげてライブだ!」みたいな。

──2008年の8月に結成して12月には1枚目のCD-Rを作ってるんですよね。結構早いペースですね。

インタビュー風景

コイケ もうとりあえず最初に音源を作ろうって思ったんです。このバンドでは。

オカヤス 「名刺代わりの盤を作ろう」とか言って。

コイケ ライブだけで広めていくには限界があると思ったんです。僕だってリスナーの立場だったらまず音源が聴きたいし。

オカヤス うん。いい音源があればひとり歩きするはずっていう理想があって。

コイケ だから、まずCD-Rを作ることと、パソコンを買うこと。

オカヤス これでもう天下取ったと思ったもん(笑)。

──実際にライブハウスで手売りをしてみて、リアクションはどうでしたか?

コイケ まぁちょこちょこですけど、思ったよりは買ってくれましたね。でも結局はライブハウスによく足を運ぶ人にしか届かないんですよ。

ニューアルバム「ビー・マイ・ケトル」 / 2011年6月15日発売 / 2310円(税込) / Majix/UK PROJECT / MJXC-0002

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CD収録曲
  1. つまんないから
  2. 気にしてばっかり
  3. 夢の中まで
  4. ELEPHANT STONE
  5. デビル・ハート
  6. 扉ない
  7. コレクション
  8. パンクミュージック
  9. 傘忘れた
  10. まだまだ
  11. 今日も過ぎてく
  12. 手当たり次第
  13. 目が痛ぇ
KETTLES(けとるす)

アーティスト写真

コイケ(Vo, G)、オカヤス(Dr, Vo)の2人組バンドとして2008年8月に結成。東京・下北沢を拠点にライブ活動を行い、2010年9月には音楽配信サイト「Majix」より1stアルバム「ビー・マイ・ケトル」を発表した。ポップな楽曲センスとオリジナリティあふれる演奏が話題を集め、2011年6月15日にはハヤシ(POLYSICS)のプロデュースによる新録音源などを加えたCDアルバム「ビー・マイ・ケトル」がリリースされる。