KAMIJO|無限の可能性提示するフランス革命時代のIfストーリー

「憂いの花が綴る愛」は自分のベーシックを作った曲

──通常盤にはLAREINE時代の楽曲「憂いの花が綴る愛」のセルフカバーが収録されています。

LAREINEがメジャーデビューする前、インディーズでリリースした楽曲なのですが、この曲ができたときに「このセンスを一生変えない」と自分で決めたんですよね。そのセンスは「mademoiselle」にも出ているので、「憂いの花が綴る愛」のセルフカバーを収録したいなと。当時の自分に「今も変わってないよ」と言ってあげたい気持ちもありましたね。2015年にリリースした「Royal Blood ~Revival Best~」のときもセルフカバーが収録曲の候補に挙がっていたのですが、このタイミングまで取っておいたということですね。

──「憂いの花が綴る愛」で得たセンスとは、どのようなものだったんですか?

季節感や情景描写をうまく取り入れた音作りやメロディ、譜割りなどですね。当時はまだ経験が浅かったんですが、この曲に対して自分なりに普遍的なものを感じたんですよね。それは今も自分のベーシックになっていて、ソロ作品にもVersaillesの楽曲にも込められていると思います。

──この楽曲がKAMIJOさんの表現の基準になっているんですね。セルフカバーするにあたって、原曲を聴き直しましたか?

いや、あえて聴きませんでした。自分の頭の中や心の中で最大限に美化された「憂いの花が綴る愛」を表現したかったので。レコーディングで歌ったときは歌詞の内容について「今の自分はこんなに弱くないな」と思いました。深夜の列車で傷心旅行をしているという状況を歌っているんですが、当時の僕はおそらく切なさをただただ夢中に求めていたんだと思います。だからこそ「どんなに笑ってみても なぜか涙が止まらない」という人物像を作り上げようとしたんじゃないかなと。

「Heroes」の秘密は来年のツアーで明かされる?

──さらにインスト曲「Heroes」も。初回限定盤Aに「Heroes -First Layer-」、初回限定盤Bに「Heroes -Second Layer-」、通常盤に「Heroes -Third Layer-」がそれぞれ収録されています。

「Heroes」と言う曲を3つのレイヤーに分けて各仕様に収録したので、合わせて聴いていただければと思います。同時に再生したり、少しずらして再生してみたりすることで、違った表情が見えてくるはずなので。これはレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」をヒントにした曲なんですよ。実は「モナリザ」の絵は何層にもなっていて、目に見えるあのイラストの下には別の絵が隠されているという実話があるんです。「Heroes」も同じような構造になっているんですよ。その中に何が隠されているかは、ここでは言いません。その答えは来年のKAMIJOのツアーでわかるはずなので。

──本当にさまざまな仕掛けがあるんですね。

そうですね。1つひとつの楽曲を楽しんでもらえるだけでうれしいのですが、僕の楽曲の世界に深く入ってきていただければ、もっといろいろな楽しみ方ができるようになっています。もちろんこれまでの作品ともつながっているので、点と点を結ぶことで壮大な物語が現れるんです。その“原作”をまとめて知ってほしいという気持ちも実はあるんですけどね……ふふふ(笑)。

いつかフルオーケストラライブを

──10月9日に東京・東京キネマ倶楽部で行われる公演のうち、昼の部の「Epic Rock Orchestra -Chamber Music Ensemble-」はバンドではなく、ストリングスを中心とした室内楽ライブになるそうで、ロックとクラシックの垣根を破壊する」と宣言した7月のライブよりも、さらにクラシカルな内容になりそうですね。

はい。普段のライブはロックのテイストが強いのですが、僕はポール・モーリアをはじめ、室内楽的なサウンドも大好きなんです。今はライブに向けてリアレンジを進めています。佐山くんとやりとりしているのですが、本当に楽しみです。

──KAMIJOさんの楽曲はストリングスが似合いますからね。

実はストリングスの音色から楽曲を作り始めることも多いんです。例えばVersaillesの「MASQUERADE」はチェロのフレーズが最初にあって、そこから楽曲を作っていきました。だから7月のライブで生のストリングスと共に演奏できたことは、まるで自分の曲に初めて息を吹き込まれたような喜びがありました。いつか必ずフルオーケストラのライブをやりたいと思っています。僕自身が指揮をしながら、歌い、同時に映像を観ていただく。映画のサウンドトラックを生演奏するようなイメージですね。

──期待しています。Versaillesの結成10周年を記念したワールドツアー、国内ツアーも開催されますし、来年にはKAMIJOさんのソロツアーも行われます。2つのプロジェクトが同時に進んでいるということですよね?

そうですね。ソロの楽曲制作を進めながら、Versaillesのツアーを準備して。モードの切り替えはそこまで大変じゃないんですけどね。どちらもKAMIJOだし、基本的なセンスは変えようがないので。

──表現を変えることも意識していない?

自然と違っていきますからね。歌詞も全然違う視点から書いているし、アレンジもそう。バンドのときはほかのメンバーに「どういうサウンドにする?」という相談をするんですよ。ソロの場合は自分が思うように突き進むので、そこはまったく違います。例えば「カストラート」のようなシンフォニックなサウンドをバンドに持ち込みすぎると、ほかのメンバーのやることがなくなってしまいますからね(笑)。大変なことがあるとすれば、現実的な時間が限られていることかな。1年が800日くらいあればいいのにと思いますが、それだけやりがいを感じながら制作を進めています。

KAMIJO
KAMIJO「mademoiselle」
2017年9月27日発売 / Sherow Artist Society
KAMIJO「mademoiselle」初回限定盤A

初回限定盤A [CD+DVD]
2700円 / SASCD-083

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KAMIJO「mademoiselle」初回限定盤B

初回限定盤B [CD+DVD]
1944円 / SASCD-084

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KAMIJO「mademoiselle」通常盤

通常盤 [CD]
1620円 / SASCD-085

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初回限定盤A・B CD収録曲
  1. mademoiselle
  2. 証言
  3. Heroes -First Layer-
通常盤 CD収録曲
  1. mademoiselle
  2. 証言
  3. 憂いの花が綴る愛
  4. Heroes -Third Layer-
  5. mademoiselle(Instrumental)
  6. 証言(Instrumental)
  7. 憂いの花が綴る愛(Instrumental)
初回限定盤A DVD収録内容
  1. 「カストラート」Music Clip
  2. 「mademoiselle」Music Clip
初回限定盤B DVD収録内容
  • 貴重な制作現場やコンサートの舞台裏の映像と共にKAMIJO自身を紐解く約40分の特別映像

公演情報

KAMIJO「Epic Rock Orchestra -Chamber Music Ensemble-」~高貴なる室内楽の調べ~

2017年10月9日(月・祝)東京都 東京キネマ倶楽部
OPEN 14:15 / START 15:00

KAMIJO「Epic Rock Orchestra -Halloween Rock Party-」~怪物達のロックハロウィーン~

2017年10月9日(月・祝)東京都 東京キネマ倶楽部
OPEN 18:15 / START 19:00

KAMIJO TOUR 2018
  • 2018年3月24日(土)東京都 鹿鳴館
  • 2018年3月30日(金)京都府 KYOTO MUSE
  • 2018年4月1日(日)大阪府 OSAKA MUSE
  • 2018年4月8日(日)神奈川県 新横浜 NEW SIDE BEACH!!
  • 2018年4月14日(土)千葉県 KASHIWA PALOOZA
  • 2018年4月21日(土)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
  • 2018年4月29日(日・祝)兵庫県 神戸VARIT.
  • 2018年4月30日(月・祝)岡山県 IMAGE
  • 2018年5月3日(木・祝)熊本県 熊本B.9 V2
  • 2018年5月4日(金・祝)福岡県 DRUM SON
  • 2018年5月12日(土)愛知県 ell.FITS ALL
  • 2018年5月13日(日)静岡県 Sunash
  • 2018年5月19日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2018年5月26日(土)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
  • 2018年5月27日(日)石川県 vanvanV4
  • 2018年6月2日(土)北海道 DUCE
  • 2018年6月3日(日)北海道 DUCE
  • 2018年6月10日(日)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
  • 2018年6月16日(土)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
-TOUR 2018 FINAL-
  • 2018年7月15日(日)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
KAMIJO(カミジョウ)
KAMIJO
1995年からヴィジュアル系ロックバンドLAREINEのボーカリストとして活動し、1999年にSME Recordsよりデビュー。その後2007年春にVersaillesを結成し、2009年にワーナーミュージック・ジャパンよりデビューした。Versaillesはデビュー作となるシングル「ASCENDEAD MASTER」でオリコン週間ランキング8位を記録し、2012年12月に活動休止。KAMIJOは在籍したバンドでほぼすべての作詞と大半の作曲を手がけており、劇伴制作でも才能を発揮している。2013年8月にシングル「Louis ~艶血のラヴィアンローズ~」でソロデビュー。2014年3月にはワーナーミュージック・ジャパンからソロメジャーデビュー作品「Symphony Of The Vampire」をリリースし、同年9月に1stフルアルバム「Heart」を発表した。活動20周年を迎える2015年はワールドツアーの開催に加え、オールタイムベストアルバム、リバイバルベストアルバムの発売と一層精力的に活動を行った。2015年末にVersaillesの活動再開を発表し、現在はバンドと並行してソロ活動を行っている。2017年は5月にシングル「カストラート」をリリースし、7月にワンマンライブ「Epic Rock Orchestra」を実施。9月にシングル「mademoiselle」をリリースする。2018年3月より自身最大規模のツアーを開催することも決定している。